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A piece of rum raisin、第一章『プロローグ』* ー ガンマ線バースト(Gamma Ray Burst、GRB)

 超新星、異常に大きな恒星の破局的爆発だ。安定している期間、その星はずっと巨大な質量によってそれを圧し潰そうとする重力と、内部の核融合反応によってそれを吹き飛ばそうとする輻射圧との間で均衡を保ち続けている。輻射のエネルギーは光子によって星の表面へと運ばれるが、その途中で何度となく物質による吸収と放出が繰り返されるため、移動の速度は極めて遅い・・・

A piece of rum raisin
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第一章『プロローグ』*

第三ユニバース:極超新星爆発

 超新星、異常に大きな恒星の破局的爆発だ。安定している期間、その星はずっと巨大な質量によってそれを圧し潰そうとする重力と、内部の核融合反応によってそれを吹き飛ばそうとする輻射圧との間で均衡を保ち続けている。輻射のエネルギーは光子によって星の表面へと運ばれるが、その途中で何度となく物質による吸収と放出が繰り返されるため、移動の速度は極めて遅い。星の内部で発生するエネルギーが。表面から輻射されるエネルギーを上回る結果、中心部の温度は上昇していく、どこまでも。やがてそれは六百億度に達する。この数字がどのくらいのものか、実際には誰にも想像すらできないだろう。

 だが、この臨界温度で、ニュートリノの生成率が突然空隙に膨大な数に増大するのである。ニュートリノは物質とほとんど相互作用しない。そのため恒星の内部をまっすぐに突き抜けて、それまで光子となって出ていったエネルギーを運び去っていく。そのため、ふいに光子の生成がぐっと減少し、それに伴って、星自体の重力による圧力を支えていた輻射圧も急激に減少する。

 この時点において恒星は、突然猛烈な勢いで潰れ始めるのだ。

 その過程で、重力のエネルギーが一気に放出される。速すぎて恒星の外層はそれを吸収しきれない。そのため外層は空間へ吹き飛び、超新星が誕生する。その爆発の反作用が、既に潰れかけている中心部を、更に強く、早く、内側へ向けて圧縮する。そして、超新星の中心部は、ブラックホールにまで圧縮されてしまう。

 この超新星の中でも極めて質量の大きな恒星の爆発は、極超新星と呼ばれる。極超新星爆発からは、ガンマ波バースト(Gamma Ray Burst、GRB)が起こされる。それはガンマ線が数秒から数時間にわたって閃光のように放出され、そのあと地球からでもX線の残光が数日間見られるようになる。これによってブラックホールも形成される。

 多くのガンマ波バーストが何十億光年も離れた場所で生じている事実は、この現象が極めてエネルギーが高く(太陽が百億年間で放出するエネルギーを上回る)、めったに起こらない現象である事を示している。ひとつの銀河で数百万年に一度しか発生しないのだ。これまで観測された全てのガンマ波バーストは銀河系の外で生じている。

 ガンマ波バーストが銀河系で生じ、地球方向に放出された場合、大量絶滅を引き起こすと推定されている。ガンマ波バーストの継続時間は短いので、被害は限定されるが、十分に近い距離で起きた場合は地球大気に深刻な被害をもたらし、オゾン層が破壊されて大量絶滅を引き起こす可能性もあるとされている。ガンマ線バーストによる被害は、同じ距離で起こる超新星爆発による被害よりは小さくなると考えられている。

 古生代デボン紀と石炭紀の境界にあたる約三億五千九百万年前に起きた大量絶滅は、地球から比較的近い場所で発生した超新星爆発によって引き起こされた可能性があるとする研究もある。デボン紀後期に起きた大量絶滅では、海洋生物を中心におよそ八割の生物が絶滅した。この時代の地層からは何世代にも渡り紫外線の影響を受け続けたとみられる植物の胞子の化石が見つかっており、超新星爆発によるガンマ波バーストの原因によりオゾン層が破壊された証拠とみられている。

 超新星爆発で地球にはわずか10秒間しかガンマ波が降り注がなくても、地球大気のオゾン層の約半分がなくなる可能性がある。消滅したオゾン層の回復には少なくとも5年を要するとされている。オゾン層の破壊によって、太陽からの紫外線が地上や海・湖沼の表面近くに生息する生命の大半を死滅させ、食物連鎖も破壊される。

 地球から二十パーセク(約六十五光年)先という比較的近くで超新星爆発が起きた場合、爆発時に放射された紫外線、X線、ガンマ波だけでなく超新星に加速された宇宙線が地球に飛来することで、地球は最長で十万年続くダメージを負う可能性がある。

第三ユニバース:記憶転移の開始

 この第三ユニバースと呼ぶマルチバースのひとつで極超新星爆発が起こった。それは第三ユニバースの地球の属する銀河系からはるか離れた銀河団で起こったもので、生じたガンマ線バーストは方向がそれていたために、その銀河系にも第三ユニバースの地球に住む全生物、人類にも影響はなかった。ところが、あまりにも大きな爆発であったために、時空のゆらぎが生じた。第三ユニバースの軸がぶれた。そして、第三ユニバースに隣接する第一ユニバースと第二ユニバースに第三ユニバースの軸が触れたのだ。

 その際に、物質的な影響は極微であった。極超新星爆発の瞬間的なエネルギー放出は非常に短時間に行われ、それが物質的影響を免れさせた。しかし、その影響は、第三ユニバースの幾多の銀河団に生息する生物の思念・記憶を第一ユニバース、第二ユニバースに飛ばしてしまった。どうしてそのような現象が起きたのかは、未来に検証する必要があるだろう。だが、生息する生物の思念・記憶がエネルギーとして圧縮され、パケット通信のような形で、第三ユニバースから第一ユニバース、第二ユニバースへとダウンロードされてしまったのは確かだ。そして、第三ユニバースと類似の存在の生物が生息する第一、第二ユニバースの生物にダウンロードされてしまった。

 極超新星爆発で、ガンマ波バースト放射が続き、ユニバースの軸がぶれ、振れ動いている時、各ユニバースで落雷が発生している場所で、それぞれのユニバースのアキヒコと手を握っている人間に対して、並行宇宙間の記憶転移は起こる。

 このおかしな現象に気づいた湯澤研一は、明彦の手を取って落雷の現場に立ち尽くす。しかし、何も起こらない。明彦は研一に「ホラ何も起こらないじゃないか?」という。しばし、考える研一。「そうか、わかった。つまり、明彦、第一、第二ユニバースは、どんな気まぐれなのか、ボクという存在はない。そういうことだ」

 研一は実験を続け、洋子と明彦にさらに手を触れ合わせさせ、落雷を待つ。次第に記憶転移の間隔が短くなり、とぎれとぎれに第一、第二ユニバースと記憶を共有していく洋子。その洋子の記憶をたどりに、第三ユニバースの森絵美を探し出そうとする研一。

 そして、研一は、何故落雷時に明彦と手が触れ合った人間は記憶転移が起こるのかを発見する。その理論に基づき、記憶転移をリアルタイムで発生させる装置の開発に取り掛かる明彦と研一。

 その頃、第三ユニバースの森絵美は、内閣調査室の情報を基に、明彦と研一の研究が極めて危険な結果を招くことになる可能性があるという理論に思い至った。明彦と研一に対して、防衛省、政府、警察庁で研究を妨害する絵美。そこに洋子が現れ、第一、第二ユニバースとの記憶転移と共有が行われていることを証明する。落雷が起こり、明彦に手を掴まれた絵美に記憶転移が起こる。第一ユニバース、第二ユニバースでの明彦のことを思い出す絵美。

 政府に対して、これらのことを政府に隠蔽し、明彦と研一の研究を手伝う絵美。彼らは密かにKEKのつくば市にある物質構造科学研究所にマルチバース間記憶転送装置*1を設置した。

*1: MHMTD(マルチバース間記憶転送装置、Multiverse Human Memory Transfer Device)

第三ユニバース:CERN Control Center
2008年9月8日(月)

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 今回のCERN訪問は、文部科学省からの派遣である。文科省の大学共同利用機関法人の高エネルギー加速器研究機構(KEK)から宮部明彦博士、国立研究開発法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA)から湯澤研一博士、それから文科省の広報が手配した日経サイエンス契約のジャーナリスト岬麗子女史。宮部と湯澤は大学の同期生で37才の同年輩の独身である。岬は32才の独身。CERNの彼らの担当者は加速器開発主任研究員の島津洋子博士で、彼女もプロファイルによると37才の独身のようだ。大学などの高等教育機関への進学で晩婚化が進行している象徴のような集まりである。島津と宮部、湯澤はテレカンでは何度も話しているが、実際に会うのは初めてである。

 三人はジュネーヴ・コアントラン国際空港で入国した。成田11:55発アムステルダム経由でジュネーブ着08:35のKLM便だ。飛行時間は13時間40分。機内の夕食が終わった後、宮部は岬に簡単なブリーフィングを行った。

「岬さんはレジュメのよると理学部物理科卒なので、この方面の知識はあるということですよね?」と宮部が岬にたずねた。

「大学1、2年生の物理科必修科目程度の知識とお考えください。物性理論の研究室で、磁性、高温超伝導、固体電子に関しては知っておりますが、量子力学や素粒子物理学などはあまり詳しくありません。科学ジャーナリストが一般的に知っている知識程度と考えていただければいいのですが・・・」と岬は答えた。

「ああ、それだけわかれば十分ですよ。磁性、高温超伝導、固体電子の一般的な知識があれば、我々がCERNに提供している衝突点用強収束四極磁石や超流動ヘリウム冷却システムもわかりますよ。今回、文科省から指示を受けているのも我々の提供しているこれらの技術とパーツユニットの検証なのです。ただ、ご存知のように、文科省広報から言われているのが、CERNに日本政府が支援している計138.5億円の加速器建設協力内容を、マスコミ媒体、つまりあなたを通じて広報アピールして欲しいということです。だから、CERNの担当者の島津博士とは少々難しい話もしますが、できるだけ広報アピール向けの解説を加えたいと思っています」「わかりました。よろしくお願いいたします」と岬は答えた。

「ええっと、まあ、機内だし、堅苦しいのは止めましょう。呼び方から変えましょうよ。岬さんは私をアキヒコと呼んでください。私も岬さんをレイコさんと呼びますので。あ、あっち、湯澤はケンイチね」と宮部が彼らの座席の通路を挟んで向こう側に座っている湯澤を指差した。宮部が2D、岬が2Gで、湯澤は2Kに座っている。

「レイコさん、ケンイチです、よろしく。アキヒコのやつ、女性対応となると自分が前に出て、ボクは後方に回るのですよ。ズルイですよ。ところで、レイコさん、お酒飲めますか?ボクはグレンフィディックのロックをいただきますよ」と湯澤が岬に言う。「あ、ユザワ・・・ケンイチさん、私も同じものいただきますわ」「おお、同じ好みで。アキヒコも同じか?」「ああ、私も同じものを」

 湯澤は通りがかったCAを呼びとめて彼らの飲み物を注文した。「え~、あ!日本人の方。じゃあ、日本語で。中野さん?」と湯澤がCAの胸のネームプレートを見ていった。「ボクら三人ともグレンフィディックのロックをいただけますか?何度もオーダーするのも気が引けるからトリプルでお願いします。それから、カマンベールあります?」「ございますよ」「そう、じゃあ、カマンベールと、あの柿ピーありますか?」と湯澤がたずねると「湯澤様、柿ピーもあります、さすがにベビースターラーメンはございませんが」と中野さんが笑って答えた。「さすがKLMだ。ベビースターラーメンはいいですよ。小さい時の好物でしたが。中野さん、アムスで降りちゃうの?ボクらジュネーブまで行くのだけど・・・」などとCAから連絡先を聞こうとしている。岬がそのやり取りを聞いてクスッと笑っていた。(女性対応となると自分が前に出て、ボクは後方に回る、って前方に出るのは湯澤さんのことじゃないのかしら?)

 酒がきて三人は乾杯をした。「うまい。シングルモルトはうまいなあ。重いから成田じゃ買わなかったが、着陸前にウィスキーを仕入れておこうか?三人で2本ずつ買えば6リットルになるぞ。寝酒には十分だろう?」と湯澤が言った。「ケンイチ、滞在が1週間で、毎日1本空けるのか?」「おまえが飲まなかったらボクが飲むからさ。レイコさんの分はボクが払うから、税関チェックのときだけお願いしますね」「え、私が払いますよ」「いや、どうせ、ボクが飲んじゃうんだからボクが払います。さて・・・」と湯澤が岬に話し始めた。

 CERN、つまり、欧州原子核研究機構は、欧州の加盟国20ヶ国を中心として、オブザーバーの日本、米国、ロシア、インド、トルコ、欧州連合(EU)、国連教育科学文化機関(UNESCA)が参加している。そこで行われる実験は、LHC、つまり、大型ハドロン衝突型加速器を用いて、ATLAS、CMSの2実験のほかに、重イオン衝突実験を中心にしたALICE、CPの破れの実験を中心にしたLHCb実験などがある。

 そのうちのATLAS(アトラス)とCMSが、未発見のヒッグス粒子や、理論で予想されている様々な新粒子の発見を目指した汎用実験グループである。

 アトラス実験には、日本からKEKや東京大学素粒子物理国際研究センターを含む15の大学・研究所から約100人の研究者が参加し、測定器の開発設計、建設、物理解析のための計算機設備の整備、物理解析準備に携わっている。実験全体では37の国と地域からの約3千人の研究者が共同で研究している。

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アトラス検出器の日本分担部分、LHCの陽子・陽子衝突点に置かれていて、衝突点から出てきた様々な粒子の種類や運動量を高い精度で測定する。

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 アトラス測定器は直径22m、長さ43mの巨大な円筒型をした検出器である。内部から外に向って順に、磁場中の粒子の飛跡を見て運動量を測る内部飛跡検出器、粒子を止めてエネルギーを測るカロリーメーター、そこを突き抜けてくるミューオンを検出する測定器が衝突点を覆っている。アトラス測定器全体で約9千万個の検出器が積み重なっている。

 日本グループは、粒子の飛跡を曲げるための超伝導磁石(ソレノイド)、内部飛跡検出器の中でもシリコン検出器をつかった飛跡検出器、ミューオンが発生したことをいち早く検知するためのミューオントリガー検出器の製作を担当した。

 ソレノイドは、直径2.3m、長さ5.3mの超伝導磁石で、中心磁場は2Tである。

 シリコン検出器はソレノイドの内部におかれて、粒子の飛んだ位置を十数μmの精度で測定する。1辺6.4cmのシリコン検出器で80μm間隔ストリップを設けてあり、粒子が通過した近くのストリップから電気信号を取り出す。約1万6千枚の検出器を衝突点の周りに並べてある。

3. LHCビーム衝突点電磁石

 ミューオン検出器はアトラス測定器の一番外側になるので、広大な面積をカバーする必要がある。ミューオンができたかどうかを判定する信号(トリガー)を作る測定器は、Thin Gap Chamber(TGC)とよばれる、畳ぐらいの大きさの薄いガス検出器である。総計3,588枚を使って、検出器の両端部を覆う直径約25mの円盤に組み上げる。日本グループはこのうち1,100台の検出器を作るとともに、この検出器の読み出し回路と、ミューオンができたかどうかを判定する論理回路全体を担当した。全部で約32万チャンネル分ある信号を組み合わせて判定を行う回路は非常に複雑で、専用の集積回路も開発した。

5.LHCの全景イメージ図

 地下92mの実験室が完成した2003年以来、順々に検出器を搬入してアトラス測定器を組み上げてきた。2006年にはシリコン検出器が組み込まれた。ミューオントリガー検出器は、地上で扇型の部品を組み立て、それを地下に搬入して円盤に仕上げるという手順で作業が行われ、2007年9月に完成した。2008年の6月にはアトラス検出器の中にLHC加速器のビームパイプが接続され測定器と加速器が一体になった。LHCにビームが入るまでは、宇宙線を使ってアトラス検出器全体の調整を進めてきた。

 日本としては、計138.5億円の加速器建設協力で経済支援しているが、実際は、その金額以上に日本企業からの機械素材調達が多い、日本からの輸出超過状態が続いているのだ。LHC本体では宮部の言った超流動ヘリウム冷却システム、アトラスでは衝突点用強収束四極磁石などの主要部品の他に、古川、新日鐵、東芝、JFE、IHI、三菱、日立などが、超電導ケーブル、超電導ソレノイド、低温ヘリウムコンプレッサーなどなど、組上げられたユニット以外に素材・部品が多数使われている。

 今回文科省から、CERNの将来計画上で、日本企業の製品がこれからどのくらい使われるか(もちろん、正規入札に参加した上だが)、その潜在市場を探ってこい、という御用聞きみたいな役目も宮部、湯澤には指示されている。また、衝突点用強収束四極磁石は、日本のKEKと東芝、アメリカのFNALが受注して分け合っているが、FNALの四極磁石で不具合がある、という噂もあり、それも探ってこいということだった。

 宮部、湯澤は、理論物理学者であるが、素材・材料工学にも詳しく、現場での施工、試運転調整、立ち上げ経験もあることから文科省からご指名されたのだ。そういう優れた日本の技術がふんだんに使われていますよ、というアピールもして欲しい、そのためには、科学ジャーナリストの岬にも協力して欲しいということだった。

「なにか、産業スパイみたいな響きですね?」と岬が言うと、「そう、まさに、産業スパイなんだが、正々堂々正面から聞く、調べるので相手も文句は言えない。トム・クルーズは出てきません。酒飲みで女好きの物理学者が2名出てくるだけってこと」と湯澤が言う。

「ケンイチ、酒飲みで女好きの物理学者はお前だけだろう?」と宮部が言った。
「アキヒコ、何をおっしゃるウサギさんだね、まったく。レイコさん、今回、あなたは宮部から安全ですよ。今回は、宮部はずっと前からご執心なCERN担当の島津洋子博士がお目当てですから」とグラスを親指と中指でひらひらと振ってクスッと笑い、湯澤は岬に言う。「ケ、ケンイチさん、私、なんと言ったらいいのか・・・」「きにしない、きにしない、冗談です」と湯澤。「おまえ、飲みすぎ。もう止めなさい」と宮部が言う。そこにCAの中野さんが通りかかったので、湯澤は「あ!中野さん、すみません、お酒のお代わりをいただけますか?」とお願いした。「ハイハイ、湯澤様、同じものですね?」「お願いします。え~っと、この二人はもう良さそうです、いらないみたい。それでさ、中野さん、アムスから成田帰るんでしょ?その後はどのフライト?」などとCAと話しだした。

(リケジョとか言われて、ちやほやされていたけど、リアルには恋愛経験もない、仕事で出会う科学者・技術者の方たちも私から見たら魅力がないスクエアな性格の人たちばかり。彼らと比較すると、この二人、イケメンだし、いいんだけどなあ。湯澤博士はちょっと飛んでいるけど、宮部博士は好みだなあ。島津洋子さんって、どんな人なんだろう?)

 そんな妄想に岬がふけっていると、心を読んだかのように、湯澤が「レイコさん、島津洋子という女性は、テレカンで話しているだけなんだけどね、ありゃあ、氷のオンナですよ。厳しい海外の科学界で生き残ってきたのだから、プラグマティストだね。アキヒコはそういう女性がタイプだな。まあ、CERNの取材もいいけど、そっちも見ていると面白いかもね?」とか言って寝てしまった。宮部博士もウトウトしている。岬も寝てしまい、あっという間にアムステルダムに着いた。むろん、湯澤はCAの中野から連絡先を聞き出していた。

 CERNのコントロールセンターはフランス側のプリサモンズ(Prévessin Moëns)に位置する。しかし、隣接する最も近い空港はスイス側だ。空港でレンタカーを借りる。空港を出て立体交差で右折、西に向うとCERNホステルの案内板があるので右折してホステルにチェックインして欲しいと島津洋子の案内状メールに書いてあった。ホステルのレセプション前にはインド原子力研究所から寄贈された破壊神シヴァのブロンズのモニュメントがあった。円の中で踊っているナタラージャとも呼ばれる踊りの王の彫像だ。

4.ホテルマップ

 ホテルは5階建ての日本の地方のビジネスホテルと変わらない。ホテルの裏にはCERN Bldg.40という訪問者向けの施設があった。チェックインすると414、415、416号室の続きの部屋を指定された。部屋は20平米くらいのごく普通の日本のビジネスホテルの部屋と変わらない。シングルベッド、作り付けじゃない後置きのワードローブ、狭いシャワー室と付属する洗面所。星2つ程度のホテルだ。部屋で一息ついていると10時半になっていた。時差は7時間だから日本では夕方の5時半。

 まだホテル併設のレストランは11時半からなので開いていない。

 島津博士の案内メールではお昼をご一緒しましょうとあった。12時半くらいにホステルに来るということだろう。日本時間で夕方。小腹もすいている。宮部、湯澤、岬の三人は、カフェテリアで軽食を取ることにした。

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