マガジンのカバー画像

国際結婚に学ぶ「愛」という名のイリュージョン(連載全40話)

35
愛の奇跡~愛が壊れる時 国際結婚、恋愛ノンフィクション 前編 話1〜話18  愛の奇跡 後編 話19〜話40 元カノに夫を取られる まとめ 「愛」という名のイリュージョン
運営しているクリエイター

#アメリカ生活

【35話】離婚への道「リスクを恐れず家を出よう」

【35話】離婚への道「リスクを恐れず家を出よう」

一時は浮気相手の元へ走る思いもあったが、ゆっくり静かに火照りは冷めてきた。かと言って、この時点で夫と再び仲良しになり、人生を一緒に歩む自信もなかった。

昼間は間借りしているオフィスが唯一私の自由な居場所。そこは生活拠点ではないが、家に戻れば彼の支配圏となる。忙しいわけでもないのにオフィスに居る時間は長くなり、夕食も一人で机に向かってスナックを食べる毎日。ゴミ箱にはスナックの袋がいつも満杯になって

もっとみる
#12 離婚から立ち直れない、私の中の“エンプティー”

#12 離婚から立ち直れない、私の中の“エンプティー”

4月、私は人生最も悲しいイベントの為、日本へ一時帰国した。離婚の最終整理をしに夫が住む東京に一週間滞在した。この時、夫もまた真剣に付き合っている彼女がいた。ほぼ同居をしているにもかかわらず、私が滞在する2週間、彼女は私達を二人きりにしてくれた。私は、「なんという理解ある彼女なんだろう」と感動した。

夫は私が帰ってきたのをとても喜んでくれ、毎晩私が作る料理を喜んでくれたり、彼も私に料理を作ってくれ

もっとみる
#14 バレンタインデー:プロポーズの日

#14 バレンタインデー:プロポーズの日

恋人達が愛を語り合うバレンタインデーの日、私は自分が受け持つタウン雑誌の3月号の取材原稿をかき集め、朝からバタバタと忙しくしていた。

この週、日本のある有名野球選手がサンフランシスコジャイアンツに入団した事もあり、寝ない日もあるくらい忙しかった。恋人同士にとって大切なバレンタインデーの日、約束のレストランに着替えと化粧道具を持ち込みで汗だくで駆け込んだ。それでも30分も遅刻してしまった。

それ

もっとみる
#15 愛が壊れる時

#15 愛が壊れる時

アメリカに帰って私達はケンカが激しくなった。婚約したら当然、その先にあるのは結婚。新しい二人の家を夢みるに私に対して、彼の綿密すぎて冒険できない、“小心者”の性格にイライラし始めた。数字を綿密に計算して100%自信が無ければ物事を進めないタイプだ。

私を「愛している」という彼の言葉とは裏腹に、具体的に何かを始めようとすると「進めない」「決定できない」で私の期待を裏切ってしまう。そんな私たちの低速

もっとみる
#16 エンゲージリングを返す日

#16 エンゲージリングを返す日

ついに私が彼にエンゲージリングを返す日がやってきた。すでにこの何ヶ月、結婚の話もしなくなっていた。「この人と上手くやっていけるのだろうか?」二人の疑問が段々大きくなり、どちらかこの話を持ち出したら、多分、「別れ」が具体的になるのを恐れていた。


そんなある日、私の方から切り出した。ケンカをしたり、結婚するかどうか分からない関係をこれ以上続けるのは意味が無いと思った。ダメならダメで一人でやり直すし

もっとみる
#17 波乱続きの恋愛の果て:大どんでん返し

#17 波乱続きの恋愛の果て:大どんでん返し

私にはアメリカでの労働許可VISA(H-1Bステータスという専門職ビザ)の延長問題があった。すでに初期のビザは取得しているから、あと3年の延長を申請し切り替えるだけだったのだが、婚約もしているし、結婚をすれば必然的にグリーンカードに変わるし、忙しさもあって放って置きっぱなしになっていた。

それに弁護士を通じて更新するには$5000かかるので、その費用の工面もあった。思いがけない事態を予想してなか

もっとみる
#18 人生2回目の結婚式「I DO」を交わす

#18 人生2回目の結婚式「I DO」を交わす

彼から別れを引き止められた3日後、私は最終的に2度目の彼からの結婚の申し入れを受け入れた。

「ブライドになる」この喜びは女性なら誰でも共有できる、「女として生まれた最高の褒美」だと思う。彼のお嫁さんになる。輝く私。私は街にショッピングでかけ、「式に何を着よう」と考えたり、化粧品などを物色しながら高まる“ブライダルスピリット”を押さえられなかった。

2003年11月、私達は小さな結婚式をした。二

もっとみる
【24話】元カノ、リベンジの足跡

【24話】元カノ、リベンジの足跡

結婚2年目、彼が突然、「ハンガリーに行こう」と言い出した。彼は私に出会う前は一年の半年をハンガリーで過ごしていたのだから、僕にとって第2の故郷のようなもの。「君もフリーなんだから長期滞在しよう」と満遍の笑顔で誘った。

ハンガリーと言えば、夫の元カノの国。結婚した安心からか、この2年元カノは話題にもならなかったし、私もすっかり彼女の存在は忘れていた。でもどうして今ハンガリー?そして長期間どこに滞在

もっとみる
【26話】嘘の匂いーー元カノの結婚は偽装かもしれない

【26話】嘘の匂いーー元カノの結婚は偽装かもしれない

3ヶ月のハンガリー生活からアメリカに帰ってきた。またいつもの暮らしが戻るかに見えたが甘かった。彼がハンガリーの家のキーを元カノに返してくると言った。嫌な気がしたけどもちろん「ダメ」とは言えない。元カノはずっと私たちが住む家の近所に住んでいる。それ自体が気持ち悪い。

元カノが両親をアメリカに呼ぶ為に私たちに「ハウススワップ」(家交換)を提案し、お互いの目的を果たしたのは事実。「キーを返すだけ?まさ

もっとみる
【27話】「悶々とした」結婚生活にターニングポイントが来る

【27話】「悶々とした」結婚生活にターニングポイントが来る

結婚3年目。私はフリーランスになったにも関わらず、相変わらずバークレーの同じ事務所を借りていた。自宅には夫が一日中居るし、狭い家の中で24時間顔を突き合わせたくないというのもあったが、夫から指図されず、この事務所で過ごす間が私の唯一の「自由時間」だった。 

この頃、「地球の歩き方」を始め、「まっぷる」、「ことりっぷ」、タビトモなど日本のガイドブックの現地担当として執筆していた。ガイドブックのクラ

もっとみる
【28話】アメリカ人夫は煽り運転常習犯

【28話】アメリカ人夫は煽り運転常習犯

家を離れたい理由は他にもあった。あの旅行以来、夫とへの信頼が崩壊しつつあるからだ。
不信感が広がった原因のひとつは、ハンガリーに行く前、彼が(鍵をもらう為に)元カノと会う事を私に言わなかった事。そしてもうひとつ、決定的なのが車の事故だった。

彼の愛車はMazda のスポーツカー。運転が大好き。でも問題は煽りの常習犯だった事だ。夫は運転をすればたちまち人格が変わり、前を走るノロノロ車をいつも煽って

もっとみる
【29話】「OCD」(強迫性障害)ーー夫の仮面が剥がれていく

【29話】「OCD」(強迫性障害)ーー夫の仮面が剥がれていく

あの事故から、私の心はどんどん夫から離れていった。夫婦生活を立て直そうとしても、次から次へと打ちのめされるような暴力的な「言葉」だったり「行為」があった。

かといって毎日が暗いわけではない。週末は彼が大好きなワイナリーに行ったり、高級レストランや週末はお決まりのカフェで朝ごはんを食べたり、ウォーキングをしたり、生活上は普通に見える。ただこれは週一回だけのこと。行き先はいつも彼が決めるし、旅行の計

もっとみる
セックスレス、会話レス、家庭内暴力、その先は?

セックスレス、会話レス、家庭内暴力、その先は?

「安定した仕事」を持ってなかった私は不覚にも深いジレンマに堕ちていた。パッションを持って仕事をしていたのに、仕事を辞めて彼との結婚生活の安定を選んだのだ。今更前のポジションには戻れない。 

夫がOCDと分かってから「一緒にいてはいけない」という気持ちが強くなった。でも答えはいつも「独り立ちできない」という否定で終わっていた。「お金がなければ独立した生活は出来ないし、夫に支配されるだけ。どこへも行

もっとみる
【31話】夫に支配されていた「生活圏」から脱出する

【31話】夫に支配されていた「生活圏」から脱出する

そんな時通訳アテンドとしての長期出張は私にとって好都合だった。フリーランスになって始めての大きな収入となり、夫に支配されていた箱から自由な気持ちが蘇ってきた。「経済的自立」は私にとって最も必要なものだった。

私の仕事は「タービントップ」と呼ばれる、パワープラント(発電所)の要のタービンを取り付ける日本からの監督でエンジニアの付き添いだ。日本の大企業から派遣されるエンジニア達はほとんど英語が皆無で

もっとみる