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2023年10月の記事一覧

【詩】あなた(過去作)

【詩】あなた(過去作)

私、あなたに会いまして
変わりました
あなたに会いまして
人を好きになりました
あなたに会いまして
愛をおぼえました
ですから、会いまして
不安もおぼえました
あなたがいなければ
私はもうおしまいです
どうか長生きしてください
私も長生きしたくなりました
でもあなたがいるのなら
傷ついてもいいと思っています
あなたがいるのなら
あなたを守って
自分を差し出してもいいと思っています
あなたに会いまし

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暗がりの中で

暗がりの中で

暗がりの中で
闇の音を聞いている
暗がりの中で
何かを変える光を探す
暗がりの中で
このまま消える想像をする
暗がりの中で
誰かの心の色を見る
暗がりの中で
私の心の黒さを知る
暗がりの中で
皆が等しく平等と思える
暗がりの中で
視覚に頼らない生き方を願う
暗がりの中で
たくさんのことを考えて
暗がりの中で
ただの空想だと知る
暗がりの中で
みんなで変わらないと嘆く
暗がりの中で
自ら動くとはどう

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私になる (縦スク文庫)

私になる (縦スク文庫)

心躍る魅惑の世界
光の集まるそこに 真夜中の混沌
暗い気持ちを 上へ上へと 押し上げる
自分の鼓動など聞くな

速まるリズム
交わる人々
交わされる 軽々しい 言葉たち

振り返る
そこに あのこはいない

戻らない

あのこのいない 場所へ
あのこではない 誰かになる

心のネジをふたひねり
「さあ わたしは だれ」

今は精一杯
忘れるとき

あのこは 私
#縦スク文庫

縦スク文庫を作

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傷  (短編小説)

傷 (短編小説)

あなたは「その人」であり「私」である。

その人は泣いていた。
私にはとても耳障りな声で。醜い顔で。
流れる涙は濁って見えた。

私は自分の体を、足の先から順に視点をあげて眺める。そして訊いた。
「あなたには何が見えているの?」

「ぼろぼろで、痛々しくて、見るに耐えない……」
その人の目から、泥水のような涙が溢れた。
どうやら、私たちは見ている世界が違うようなのだ。同じ場所に立っているようで、違

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残響 《詩》

残響 《詩》

「残響」

地球がゆっくりと回転してゆく

僕は時のくぼみの中に
取り残されたまま

指先には彼女の記憶が刻まれていた

月の明かりの下 

形の無い想いが

白い砂となり
静かに心の空白を埋めてゆく

窓際の花が小さく揺れて

僕は時間の過ぎる音を聞いていた

その中に
時折り波打つ様に繰り返す残響

バラバラに飛び散った
意識を回収する様に 

カーテン越しに
朝の光が射し込んで来る

乱れた

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道化師。【詩】

道化師。【詩】

辛くとも笑顔でおどける道化

舞台で舞い踊る様は滑稽

降りる緞帳事切れる身体

その様まるで棄てられた傀儡

決して見せない舞台裏

見せるは愛しく優しい貴女

推し量られるこの世の沙汰

後には戻れぬ茨道

貴女と歩く茨道

そんなわたしは彷徨う道化

月見草 《詩》

月見草 《詩》

「月見草」

いつも僕は青空を望んでいた 

其処に澄み渡る
青がある事が当然の様に

燃える太陽 

その光を受けて暗闇の星は輝く

眠れない僕達は

夜空の月を連れて
真夜中に外へ出かけた

真白な淡い光に
つつまれて夢を見る 

月見草

静かな森の湖 

独りじゃない 嬉しかった

ふたりは朝が来るまで愛し合った

僕等の真実 君の好きな青と白 

その色で世界は出来ていた

そして 

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楽園のドア 《詩》

楽園のドア 《詩》

「楽園のドア」

僅かに開いた楽園のドア

命が宿る陽の光 

喜びと悲しみを秘めた花

無機質な愛撫に
溢れた風に殺された夜

野良猫と話す老人の姿 

とても純粋に見えた

僕は夜の長さを測っていた

嘘を買い占め真実を売り捌く人の波

踊りませんか僕とふたりで

どうせ 夜は変わらない