残響 《詩》
「残響」
地球がゆっくりと回転してゆく
僕は時のくぼみの中に
取り残されたまま
指先には彼女の記憶が刻まれていた
月の明かりの下
形の無い想いが
白い砂となり
静かに心の空白を埋めてゆく
窓際の花が小さく揺れて
僕は時間の過ぎる音を聞いていた
その中に
時折り波打つ様に繰り返す残響
バラバラに飛び散った
意識を回収する様に
カーテン越しに
朝の光が射し込んで来る
乱れたベッド
シワの入ったシーツ
其処には消える事の無い記憶と
残響だけがうずくまっていた
それでも朝はやって来る
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