「流行っているものは読まない」と意地をはってきた、ひねくれ者(偏食もち)が、本を読み、世界を広げて行く過程の記録もろもろ。
他にも、読書や本に関するエッセイ・コラムを集めています
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#1日1エッセイ
甘い毒~米沢穂信さん、『儚い羊たちの祝宴』読了(ネタバレなし)
果物を盛り付けた籠か。
それとも、美しい石を連ねたネックレスかブレスレットか。
米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』を、例えるならば後者の方が良いかもしれない。
連作短編という形式を持つのが一つ。
個々の話は独立して読むこともできるが、「バベルの会」という読書会が透明な糸(テグス)となって、緩やかに繋がっている。
「バベルの会」とは、夢想家のお嬢様たちが集まる読書サークルだ。
就活中に読みたかった本
就活中に、あるいは、就活をすると決めた時に、この本に出会えていたならなあ。
そう思えるのは、それが既に過ぎ去った事だからだ。
蛙の腹を切り開いて、内臓の位置を確かめるように、「過去」についてなら、心構えさえちゃんと整っていれば、冷静に向き合って、分析することは不可能ではない。
社会に出て「働く」、ということの意味は何だろう。
お金のためもあるかもしれない。
生きていれば、楽し
原田マハさん「群青 The Color of Life」(『常設展示室』)覚え書き
「朝、目覚めると、世界が窮屈になっていた」
原田マハさんの短編集『常設展示室』の冒頭におかれた『群青』は、このようなカフカの『変身』を思わせる文章で始まる。
主人公は、メトロポリタン美術館(メット)で働く日本人キュレーター美青(みさお)。
子供時代からの夢の場所だったメットで働く彼女を、突如襲った異変―――その正体は、緑内障だった。
そんな美青が、病院で出会う少女パメラ。彼女