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ひねくれ偏食家の、読書挑戦録

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「流行っているものは読まない」と意地をはってきた、ひねくれ者(偏食もち)が、本を読み、世界を広げて行く過程の記録もろもろ。 他にも、読書や本に関するエッセイ・コラムを集めています
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記事一覧

徒然日記~朝井まかて『グロリア・ソサエテ』

Kindleで『小説 野性時代』の4月号を購入。目当ては、朝井まかての『グロリア・ソサエテ』。大正時代という、日本の伝統と、西洋風の文化が混ざりあった時代の空気の香り(バターの匂いが少し入っているイメージ)が、行間から漂ってくるかのよう。民芸運動が題材らしいが、そのうち棟方志功も出てくるのだろうか?
続きが楽しみだ。
読むためにも、自分の原稿を。

徒然日記~原田ひ香さん『ランチ酒』

最近、原田ひ香さんの『ランチ酒』シリーズを写経しているが、やはり彼女の短編には20枚シナリオの手法に通じるものがあるような気がする。
主人公・祥子の職業を「見守り屋」に設定し、職業も年齢も様々な人と出会い、数時間の間、間近に接し、彼らとの抱える問題や、これまでの時間の積み重ねを垣間見する。
それは時に主人公自身の抱える過去(妊娠したのをきっかけに結婚したものの、うまく行かず、最終的には娘を置いて離

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大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』~クリエイターを目指す人へのオススメ本

大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』~クリエイターを目指す人へのオススメ本

今更ながら、大島真寿美の直木賞受賞作『渦』を読んでいる。
人形浄瑠璃の作者(つまりシナリオライター)の話なのだが、主人公や彼を取り巻く人々の浄瑠璃や芝居の仕掛けに賭ける熱量に圧倒されるばかりである。
文字通り「三度の飯よりも浄瑠璃が好き」で、芝居の内容について話し出したら止まらない主人公・半二。
「近松門左衛門の後継は自分」と決め込み、しかし、肝心の作品は一行も書けずに、鳴かず飛ばずの日々を過ごす

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読書日記~有栖川有栖『双頭の悪魔』

有栖川有栖『双頭の悪魔』を読了。
最初に読んだのはかなり昔だが、犯人と真相の一部は覚えていた。そのため、さりげなく文中に張られた「伏線」を探しながら、読んでいった、と言って良い気がする。
最近、ミステリーを読むときや、ドラマを見るとき、さりげなく書き込まれた「伏線」を探すようにしながら進んでいく、「分析」目的で読むことが多くなっている気がする。
また、解説を読んでいて面白いと思ったのが、今回の登場

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内田康夫『薔薇の殺人』読後録

内田康夫『薔薇の殺人』を読了。
宝塚がからむ話、というあらすじだけは読んで記憶していたが、実際に読んだのは今回が初めて。
犯人の動機は何となく予測していたが、最後の最後になって、真相が少しずれたところにあったとわかる。(この「ずらし」が上手い)
犯人の結末も含め、ほろ苦い読後感が残る。(被害者自身には何の落ち度もないから尚更)
私はやはりガチガチのロジックや、トリックの妙よりも、ドラマ性のある話が

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内田康夫『華の下にて』~降り積もった花弁の下にあるもの

内田康夫『華の下にて』~降り積もった花弁の下にあるもの

ミステリーを意識的に読もう、と思い立って二冊目は再び内田康夫。
華道がテーマと聞いて、なんとなく心惹かれて手に取ったこの『華の下にて』は、氏にとっては百冊目になる作品だそうな。

京都を舞台に、華道の家元の家系にからむある「秘密」をめぐっておきる殺人事件がテーマ。
伝統と革新、男と女、老人と若者。様々な対立がここにからむ。

読み通して見た時の印象は、たとえるなら幾重にも分厚く降り積もった花弁の山

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型の話~内田康夫『終幕のない殺人』を読みながら

サスペンスのシナリオを書くため、ミステリー小説に意識的に触れるようにしたいな、と思っていたので、ここ数日ベッドの中で内田康夫の『終幕のない殺人』の文庫本を読んでいた。
赤川次郎といい、作家さんの初期は「本格」を意識した固めの作品が多い気がする。
この『終幕のない殺人』は、「本格」の中でも古典的作品『そして誰もいなくなった』を下敷きにしているのがよくわかる。

本格ミステリーは、トリックやストーリー

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読書日記~湊かなえ『落日』

湊かなえ『落日』を読了。昨日今日の二日で読んでしまった。
湊かなえといえば、イヤミス。後味が悪い話はどちらかと言うと苦手なのだが、中毒性と言うのだろうか、時々手を伸ばしてしまう。
最後に読んだ彼女の本は、『ブロードキャスト』だったか。こちらは、「イヤミスの女王」という名前から想起されるにしては珍しい、青春小説だった。(一気読みした)

さてこの『落日』は、過去の事件を軸に据えた、新進の映画監督と売

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原田ひ香『口福のレシピ』

原田ひ香さんの『口福のレシピ』読了。
フリーのSEかつ、SNSを中心に料理研究家として活動する主人公と、彼女の曾祖母にあたる女性の物語が、あるメニューを通して、からみ合う話。
料理関係のお仕事小説×ファミリーヒストリーと言ったところか。
母や祖母との確執にはハラハラさせられたが、それも全体を引き締めるスパイスといったところか。
章ごとに、美味しそう、作れそう、と思わせる料理が出てくるのは、さすが。

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徒然日記~久しぶりの読了

誉田哲也の『ソウルケイジ』読了。
ここ数ヶ月で、新しい小説を最後まで読みきる、ということがなかったような気がする。
とにかく、「原稿」のことばかり考えていて、資料以外の本を開くと、頭に原稿のことが戻ってきて、集中できなかった。
物語の世界に頭まで浸かること、自分をとにかく引っ張ってくれるだけの力を持つ物語体験が欲しかったのかもしれない。
そう考えると、映画館というのは、とにかく物語と向き合うための

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英語多読日記~who HQシリーズについて

 100万語を目指して始めた英語多読。
 最近は、ややペースダウン気味で、ようやく先日30万語を越えたところ。
 停滞した原因の一つが、こちら。

レオナルド・ダ・ヴィンチなど、偉人の生涯を、子供向けに分かりやすく書いた''Who was-?‘’シリーズは前から存在を知っていた。
最近は、人物だけではなく、パール・ハーバーやコロナなどの歴史的事件や、世界の名所を紹介したものも増えている。
上にあげ

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英語多読日記

7月に読んだ英語多読本は、総計87冊か・・・
あと3冊を埋めておきたかったな、と思うと少し悔しい気もする。
現時点での総語数は、268,585語。
こちらももう少し上に行きたかった・・・などと、言い出せばキリはない。
多読以外にもやる事、やりたい事は少なくないのだし。

8月の達成目標は、とりあえず
・総語数50万語以上へ
・総冊数は、150冊に→つまり、63冊は読みたい

そんなところか。

英語多読日記

"Amelia Earheart"(obw2, 語数:8703語)読了。
これで244,590語。

OBW、レベル1(400語レベル)は、時間さえ確保できれば、パッと読めてしまえるが、レベル2(700語レベル)はまだそうはいかない。
昨日今日でほぼ半分ずつ読んだ。

それでも、読むスピードは上がってきているだろうか。
レベル4(1400語レベル)と並行して、それよりも簡単な短いものを沢山読むよう

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英語多読日記 ~ハローキティとプーさんと・・・

“What Is the Story of Hello Kitty?“(7323語)読了。

https://www.amazon.co.jp/What-Story-Hello-Kitty/dp/1524788392

ハローキティについて、意外と知らなかったのだなあ、と実感。
そういえば、昔、留学する前に、当時のペンフレンドに「お土産何がいい?」と聞いたら、「ハローキティのグッズが欲しい」と言わ

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