内田康夫『薔薇の殺人』読後録

内田康夫『薔薇の殺人』を読了。
宝塚がからむ話、というあらすじだけは読んで記憶していたが、実際に読んだのは今回が初めて。
犯人の動機は何となく予測していたが、最後の最後になって、真相が少しずれたところにあったとわかる。(この「ずらし」が上手い)
犯人の結末も含め、ほろ苦い読後感が残る。(被害者自身には何の落ち度もないから尚更)
私はやはりガチガチのロジックや、トリックの妙よりも、ドラマ性のある話が好きらしい。

宝塚といえば、思い出した話が一つ。
私は中高一貫だったが、高校に上がる際に、宝塚に入るために、学校を出た人を二人知っている(学年は違った)
特殊な世界だと聞いてはいる。
舞台に立てる期間は決して長くはないし、スターになれるのはほんの一握りだ。
退団後、女優になる人もいれば、普通に結婚する人もいる。
『薔薇の殺人』でも、元男役の女性が、当時を振り返ってこう語っていたのが印象深い。
「青春を燃焼しつくした」
「おばあさんになろうと、宝塚にいた時期はもっとも輝かしい思い出」

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