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歌詞の解釈

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#象徴

「トドを殺すな」(友川かずき)俺たちみんなトドだぜ!

「トドを殺すな」(友川かずき)俺たちみんなトドだぜ!

友川かずきの「トドを殺すな」は、社会に対する強い反抗と、生きることの理不尽さを嘆く叫びが込められた詩です。この詩は、動物としてのトドを直接描いているのではなく、人間社会の不条理を「トド」という象徴を通して表現しています。社会での役割や価値観、人間の冷酷さや無力感が深く描かれており、挿入歌として使用された『三年B組金八先生』のテーマとも共鳴しています。以下、この詩の奥に秘められた意味を解釈します。

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「空蝉」(さだまさし)人生の最終章に何を思う?

「空蝉」(さだまさし)人生の最終章に何を思う?

さだまさしの「空蝉」は、時間の流れとともに儚くなる人間の愛や期待、そして現実を描いた歌詞です。詩全体を通じて、過去の熱い恋や愛情が、時間とともに衰えていく一方で、それを支え合いながら生きてきた夫婦の姿が象徴的に描かれています。以下、詩の解釈を行い、さらに源氏物語の「空蝉」との関係性も探っていきます。

1. 儚い現世の道連れ

「名も知らぬ駅の待合室で 僕の前には年老いた夫婦 足元に力無く寝そべっ

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「鳥辺野」(さだまさし)は、愛の終焉を告げるのか。

「鳥辺野」(さだまさし)は、愛の終焉を告げるのか。

さだまさしの「鳥辺野」は、愛、別れ、移ろいやすい心を、自然の風景と巧みに重ね合わせて描いた歌詞です。この詩全体を解釈し、各部分の意味を探っていきます。

1. 鳥辺野の象徴と別れ

「寂しいからとそれだけで来るはずもない 鳥辺野」

鳥辺野は、京都の火葬場のある場所で、死や別れを象徴する場所です。ここでは、主人公は「寂しさ」だけではなく、もっと深い意味で鳥辺野に足を運んでいます。鳥辺野は、愛や人生

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「風の篝火」(さだまさし)は、愛を照らすのか、はたまた燃やし尽くすのか。

「風の篝火」(さだまさし)は、愛を照らすのか、はたまた燃やし尽くすのか。

さだまさしの「風の篝火」は、儚い別れと心のすれ違い、そして風景に溶け込んでいく愛の終焉を繊細に描いた詩です。自然や風景が愛や感情を象徴的に表現しており、移ろいやすい心と別れの瞬間が重ねられています。以下、この詩の部分ごとの解釈を行います。

1. 儚い命の象徴:蜉蝣と細い腕

「水彩画の蜉蝣の様な 君の細い腕がふわりと 僕の替わりに宙を抱く 蛍祭りの夕間暮れ」

「蜉蝣(かげろう)」は、短命で儚い

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「檸檬」(さだまさし)は希望、それとも絶望?

「檸檬」(さだまさし)は希望、それとも絶望?

さだまさしの「檸檬」は、青春や過去の愛、そして時間の流れによって失われていくものに対する感傷が深く描かれた作品です。特に男女の感情の揺らぎや、女性の心情の繊細な変化が、象徴的な言葉で表現されています。

以下に、詩全体の解釈をまとめます。

1. 湯島聖堂の石の階段

「或の日湯島聖堂の白い石の階段に腰かけて」

湯島聖堂は学問の象徴としての歴史ある場所であり、ここでの「石の階段」は、時の流れや永

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「檸檬(Lemon)」(米津玄師)は、喪失感か、ロマンスか。

「檸檬(Lemon)」(米津玄師)は、喪失感か、ロマンスか。

米津玄師の「檸檬(Lemon)」は、深い喪失感とそれに伴う悲しみ、未練、そして忘れられない愛を描いた曲です。この曲は、ドラマ「アンナチュラル」の主題歌であり、特にその背景にある、愛する婚約者が殺されてしまったという裏ストーリーと重なり、歌詞により深い意味合いを持たせています。以下に、歌詞の解釈を掘り下げて解説します。

1. 夢と現実の交錯

「夢ならばどれほどよかったでしょう 未だにあなたのこと

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「ひとり上手」(中島みゆき)決して一人になんてならない。

「ひとり上手」(中島みゆき)決して一人になんてならない。

中島みゆきの「ひとり上手」は、愛する人との別れや孤独をテーマにした歌詞で、主人公がひとりになってしまった心情が深く描かれています。表面的には「ひとり上手」、つまりひとりで上手に過ごしているように見えるかもしれないが、実際はその孤独に苦しんでいる主人公の内面が切実に綴られています。

1. 愛する人を探し続ける孤独

「私の帰る家は あなたの声のする街角 冬の雨に打たれて あなたの足音をさがすのよ」

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「ヘッドライト・テールライト」(中島みゆき)は、未来を照らすのか、過去を振り返るのか。

「ヘッドライト・テールライト」(中島みゆき)は、未来を照らすのか、過去を振り返るのか。

中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」は、人生の旅路を象徴的に描いた詩です。歌詞全体を通して、過去と未来を見つめながらも、旅が続いていくというテーマが繰り返されています。これは、人生の道を歩む人々が、希望や過去の記憶に支えられながらも、終わりのない旅を続けていく様子を表しています。

1. 忘れられていく存在

「語り継ぐ人もなく 吹きすさぶ風の中へ 紛れ散らばる星の名は 忘れられても」

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「修二会」(さだまさし)失われた愛や罪の意識

「修二会」(さだまさし)失われた愛や罪の意識

さだまさしの「修二会」は、奈良の東大寺で毎年行われる伝統的な行事「修二会(しゅにえ)」を背景に、主人公の心情と儀式の壮大さが交錯する内容です。この歌詞は、宗教的な儀式の中で、失われた愛や罪の意識が織り交ぜられた非常に象徴的な作品です。

以下、わかりやすく解説します。

1. 儀式と季節の象徴

「春寒の弥生三月花まだき 君の肩にはらり 良弁椿」

この冒頭部分では、3月のまだ肌寒い時期に、東大寺

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「この空を飛べたら」(中島みゆき)未練それとも希望。

「この空を飛べたら」(中島みゆき)未練それとも希望。

中島みゆきの「この空を飛べたら」は、失われたものや叶わない夢を追い求める心情と、それでもなお諦めずに前に進もうとする強い意志が込められた詩です。この歌詞は、未練や希望、そして現実の中で感じる限界に対してもがきながら、それでも夢を手放さずにいる主人公の心情が描かれています。

1. 失われた愛と希望への執着

「あの人が突然戻ったらなんて いつまで考えているのさ」

ここでは、主人公が過去の恋愛に対

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