金指 歩(ライター・編集者)

フリーライター7年目、編集3年目。信託銀行→不動産→証券→IT→いま。編集はオールジャ…

金指 歩(ライター・編集者)

フリーライター7年目、編集3年目。信託銀行→不動産→証券→IT→いま。編集はオールジャンル、執筆は金融記事や企業取材記事が中心。最近法人成りしました→https://write-edit-kana.com/ 【note創作大賞2024参加中!恋愛小説部門、オールカテゴリ部門】

マガジン

  • 小説『Overnight』

    note創作大賞2024応募作品。 渋谷の小さなITベンチャーで働く派遣社員の石井ゆうかは、都内で一人暮らしの34歳。同僚の“篠田ちゃん”こと篠田あかりには「浮いた話なんてない」と話しているが、夜は銀座のガールズバーで働き、店長とは唇を重ねる仲、同じシェアハウスで暮らす年下男子・大輝とは肉体関係を持っていた。 それでもゆうかの心は動かない。彼女の心はある日死んだからーー。 3人組の音楽プロジェクト「neu Monent」の楽曲『Overnight』をモチーフに、東京の暗い夜に今にも溺れそうな主人公の葛藤を描く。

  • 編集者/ライターの頭の中【エッセイ】

    編集者・ライターの金指(カナサシ)が日頃から考えることをアウトプットしたエッセイ集。いつかZINEにまとめるかも?

  • 人からもらったお題で書く【エッセイ】

    誰かからお題をもらって書いたエッセイ集です。

  • 人からもらったお題で書く【創作】

    誰かからもらったお題で書いた創作(短編小説)集です。

  • シリーズ「絶滅危惧種:小児分野の言語聴覚士」

    なぜ小児を見てくれる言語聴覚士となかなか出会えないのだろう……。そんな疑問から生まれた言語聴覚士(ST)に関する連載です。現役の言語聴覚士さんや言語聴覚士に関連する団体、支援を受けている当事者などにお話を伺っています。

記事一覧

『Overnight』 第7話 “Let's get started now”(終)

第7話 Let's get started now 「ゆうかさん、今日でラストって本当ですか?」 「えー、さみしい!」 「結婚するんですか?」 出勤するなり、女の子たちに囲まれた。ああ、…

『Overnight』 第6話 “Shall we go now? Without fail”

第6話 Shall we go now? Without fail そのままタクシーで中目黒方面へと向かい、住宅地の一角で私たちは降りた。 20階建ての高すぎず低すぎない、ややこぶりなタワーマ…

『Overnight』 第5話 “Feel hustle and bustle, I'll take you”

第5話 Feel hustle and bustle, I'll take you 冬の寒さがさらに深まった2月半ば、私は今日も渋谷で働いていた。今日は退勤後に、水野さんと食事に行く予定だった。 「や…

『Overnight』 第4話 “Do you hear me? My voice”

第4話 Do you hear me? My voice 銀座の冬は冷え込む。 「うー、寒いねまりんちゃん」 「ほんと寒いです、ゆうかさん」 その日は22時すぎから、看護学校に通っているまり…

『Overnight』 第3話 “Melting into the crowd, I look for your answer”

第3話 Melting into the crowd, I look for your answer 今年の秋は暑いな、なんて思っていたら、11月半ばを過ぎて唐突に寒くなり、早めの冬がやってきた。 昼に、母から…

『Overnight』 第2話 “Passing by many words, I can't find the truth one”

第2話 Passing by many words, I can't find the truth one 小さい頃から「まじめだね」「頭がいいね」と言われてきた人生だった。 完璧な家庭環境、完璧な両親。でもどこ…

『Overnight』 第1話 “Hang out, why don't we? Let me know something”

第一話 Hang out, why don't we? Let me know something 「石井ちゃん、お昼行かない?」 11時半を過ぎて、同僚の篠田ちゃんが私の席にやってきた。 「行く行く。ちょっ…

【お知らせ】7/8(月)〜12(金)小説『Overnight』を連続公開します

noteやX、Instagram、そしてリアルの世界でいつもお世話になっております。カナサシです。 ちょっと告知させてください〜!ああ〜どきどき。 【告知】恋愛小説を7/8〜連…

【予告】note創作大賞の「恋愛小説部門」と「オールカテゴリ部門」に出品します!
恋愛小説はたぶん来週から公開!オールカテゴリ部門に出すのは言語聴覚士の支援を受けた方や家族きっかけで言語聴覚士になった方の取材記事で絶賛準備中🥹必死!!それぞれ多くの人に届きますように🙏

【募集】子どもが言語聴覚士の支援を受けた方&子どもがきっかけでSTになった方!取材させてください!

ご無沙汰しております!ライター・編集者の金指(かなさし)です。 このたび、新たな取材記事を製作したく、このnoteでご協力いただける方を募集したいと思います。 ※20…

珍しく本を読んでおりまして

今日、『まとまらない言葉を生きる』(荒井裕樹/著、柏書房)を読み始めた。 SNSで見て気になって。言葉の扱い方を考えていたこともあり、これは読んだほうがいいな、と思…

12/1の文学フリマに出店できることになったので、ぼちぼちエッセイ再開しよかな〜と。書く筋力が弱っております。リハビリ!

コロナになって指が痛くなって、幸せになった

最近noteを書くのが止まっているなーと思いつつ、書くことがあんまりまとまっていないんだけど、たまにはゆるっと日記もいいよね。というわけで、最近の出来事をつらつらと…

わぁぁあわあわあわ「ま、いっか」

これはさっき起こったこと。 今日は日中こそ余裕こいてたくせに、夕方から安定の「やばい、終わらん...」が発動。途中に息子のお迎えと夕食を挟みつつ、22時前まで働いて…

「幸せ感じ力」の高め方

先日、終末期の患者を診ている在宅医の中村明澄先生に話をうかがった。 そのなかで、多くの患者を看取ってきたなかで、どんな状態でも「今が一番幸せ」と思えている人がい…

誰が為の二日酔い

「あいたたた……」 痛む頭を抑えながら、私は身を起こした。 すでに昼の12時。でもまだまだ眠いし、昨日の深酒がしっかりと体に残っている。 おもむろに立ち上がると、視…

『Overnight』 第7話 “Let's get started now”(終)

『Overnight』 第7話 “Let's get started now”(終)

第7話
Let's get started now

「ゆうかさん、今日でラストって本当ですか?」
「えー、さみしい!」
「結婚するんですか?」
出勤するなり、女の子たちに囲まれた。ああ、皆かわいい。目の保養。
「いやいや、結婚しないって。もう一回、正社員になろうかなと思ってさ。残業や出張もあるだろうから、なかなかお店に出られなくなるの」

そういって、私はいつものドレスに着替える。もうこの戦闘服

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『Overnight』 第6話 “Shall we go now? Without fail”

『Overnight』 第6話 “Shall we go now? Without fail”

第6話
Shall we go now? Without fail

そのままタクシーで中目黒方面へと向かい、住宅地の一角で私たちは降りた。

20階建ての高すぎず低すぎない、ややこぶりなタワーマンション。
「うわ、お金持ちみたい」
普段さびれたシェアハウスに住んでいる私は、つい声を上げてしまう。先ほどのショックから少しずつ立ち直りつつあるが、まだ本調子ではなかった。
掃除の行き届いたエントランス

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『Overnight』 第5話 “Feel hustle and bustle, I'll take you”

『Overnight』 第5話 “Feel hustle and bustle, I'll take you”

第5話
Feel hustle and bustle, I'll take you

冬の寒さがさらに深まった2月半ば、私は今日も渋谷で働いていた。今日は退勤後に、水野さんと食事に行く予定だった。
「やっと週末だね!石井ちゃん、今日スクランブルスクエアに寄ってから帰らない?」
と篠田ちゃんが誘ってくれたけれど、私は申し訳なさそうに断った。
「ごめん、今日は予定を入れちゃって」
「そっか、じゃまた来

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『Overnight』 第4話 “Do you hear me? My voice”

『Overnight』 第4話 “Do you hear me? My voice”

第4話
Do you hear me? My voice

銀座の冬は冷え込む。
「うー、寒いねまりんちゃん」
「ほんと寒いです、ゆうかさん」
その日は22時すぎから、看護学校に通っているまりんちゃんと外で客引きをしていた。目元のセクシーなキャットラインすらかわいらしく感じるのは、19歳という若さ故だろうか。

銀座は規制が厳しくて、一歩でも路上に出ると、周囲のお店のキャッチから厳しい視線が飛んで

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『Overnight』 第3話 “Melting into the crowd, I look for your answer”

『Overnight』 第3話 “Melting into the crowd, I look for your answer”

第3話
Melting into the crowd, I look for your answer

今年の秋は暑いな、なんて思っていたら、11月半ばを過ぎて唐突に寒くなり、早めの冬がやってきた。

昼に、母からLINEが来た。
「今年の正月は有くんと帰ってくるの?」
私はまだ、有くんと別れたことを両親に伝えていない。別れてから3年以上経っているのに、だ。
有くんがとっくに会社を辞めていることも

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『Overnight』 第2話 “Passing by many words, I can't find the truth one”

『Overnight』 第2話 “Passing by many words, I can't find the truth one”

第2話
Passing by many words, I can't find the truth one

小さい頃から「まじめだね」「頭がいいね」と言われてきた人生だった。
完璧な家庭環境、完璧な両親。でもどこか居心地が悪くて、塾で勉強をしながら時間を潰すのが好きだった。

そうした学習習慣が功を奏し、現役で名の知れた大学に受かった。よかった、私はきっと両親のように「完璧な道」を歩んでいけるー

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『Overnight』 第1話 “Hang out, why don't we? Let me know something”

『Overnight』 第1話 “Hang out, why don't we? Let me know something”


第一話
Hang out, why don't we? Let me know something

「石井ちゃん、お昼行かない?」
11時半を過ぎて、同僚の篠田ちゃんが私の席にやってきた。
「行く行く。ちょっと待ってね」
私は手早く「お昼休憩いただきます」とチャットを打ってから、席を立つ。
7月、季節は夏。オフィスを出ると、ムッとした熱気に包まれた。

私の勤務先である渋谷のITベンチャーは、

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【お知らせ】7/8(月)〜12(金)小説『Overnight』を連続公開します

【お知らせ】7/8(月)〜12(金)小説『Overnight』を連続公開します

noteやX、Instagram、そしてリアルの世界でいつもお世話になっております。カナサシです。

ちょっと告知させてください〜!ああ〜どきどき。

【告知】恋愛小説を7/8〜連続公開します!今回「note創作大賞2024」に合わせて、恋愛小説『Overnight』を【7月8日(月)〜12日(金)】に、note上で連続公開させていただきます!

詳細スケジュールはこんな感じです。
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【予告】note創作大賞の「恋愛小説部門」と「オールカテゴリ部門」に出品します!
恋愛小説はたぶん来週から公開!オールカテゴリ部門に出すのは言語聴覚士の支援を受けた方や家族きっかけで言語聴覚士になった方の取材記事で絶賛準備中🥹必死!!それぞれ多くの人に届きますように🙏

【募集】子どもが言語聴覚士の支援を受けた方&子どもがきっかけでSTになった方!取材させてください!

【募集】子どもが言語聴覚士の支援を受けた方&子どもがきっかけでSTになった方!取材させてください!

ご無沙汰しております!ライター・編集者の金指(かなさし)です。

このたび、新たな取材記事を製作したく、このnoteでご協力いただける方を募集したいと思います。

※2024年5月12日追記:
たくさん拡散+ご連絡いただき、本当にありがとうございます!
「子どもが言語聴覚士の支援を受けた方」は受付停止、
「子どもがきっかけでSTになった方」のみ募集しております!!

とにかく出会えない「小児をみる

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珍しく本を読んでおりまして

珍しく本を読んでおりまして

今日、『まとまらない言葉を生きる』(荒井裕樹/著、柏書房)を読み始めた。

SNSで見て気になって。言葉の扱い方を考えていたこともあり、これは読んだほうがいいな、と思って買った。
でも同時に、「お、重そう…」と感じて、なかなか読む勇気が出なかった本でもある(ちなみに「重い」というのは、「明らかに内容がしっかりしているから、真剣に向き合わないとな」と思わせるような前評判だったから)。

この本をしれ

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12/1の文学フリマに出店できることになったので、ぼちぼちエッセイ再開しよかな〜と。書く筋力が弱っております。リハビリ!

コロナになって指が痛くなって、幸せになった

コロナになって指が痛くなって、幸せになった

最近noteを書くのが止まっているなーと思いつつ、書くことがあんまりまとまっていないんだけど、たまにはゆるっと日記もいいよね。というわけで、最近の出来事をつらつらと記載します。

コロナでした。あと指が痛いです先週、おそらく初めてコロナにかかりました。先に息子が体調不良で保育園を休ませていたら、私も熱が上がってきたので「風邪をもらったかー」と思ったらコロナでした。がーん。

39.3度まで景気よく

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わぁぁあわあわあわ「ま、いっか」

わぁぁあわあわあわ「ま、いっか」

これはさっき起こったこと。

今日は日中こそ余裕こいてたくせに、夕方から安定の「やばい、終わらん...」が発動。途中に息子のお迎えと夕食を挟みつつ、22時前まで働いていた。

普通、子どもは20〜21時には寝かせるものという認識はある。そこは申し訳ない。

でも仕事が終わらぬ日だってあるんだ!
ごめん!ごめんよ!!

そう心の中で息子に謝りつつも、現実では「こら!テレビから離れて!」「ママのスマホ

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「幸せ感じ力」の高め方

「幸せ感じ力」の高め方

先日、終末期の患者を診ている在宅医の中村明澄先生に話をうかがった。

そのなかで、多くの患者を看取ってきたなかで、どんな状態でも「今が一番幸せ」と思えている人がいて、その人は幸せそうに逝くという話を聞いて、「そんな聖人いるの?」と驚いた。

「幸せ感じ力」に関する記述はこちら。

私が大人になってからきちんと「死」に向き合ったのは、2023年1月に義母が亡くなったとき。そのときに感じた「後悔」も、

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誰が為の二日酔い

誰が為の二日酔い

「あいたたた……」
痛む頭を抑えながら、私は身を起こした。
すでに昼の12時。でもまだまだ眠いし、昨日の深酒がしっかりと体に残っている。
おもむろに立ち上がると、視界がぐあんぐあんとした。

右奥の部屋からは、シャワーの音がする。
「ああ、なんて面白いことになってしまったんだろう」

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7月某日。都内某所。
私は一世一代の勝負の臨んでいた。
令和5年度司法試験予備試験、短答式試験。

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