鈴木アツト

劇作家・演出家

鈴木アツト

劇作家・演出家

記事一覧

戯曲英訳プロジェクト 経過報告その2

前回までのあらすじ 2年連続、健康診断の「血圧」の結果が悪かったため、悔いのない人生を生きるために、自作の戯曲の英訳プロジェクトを思いついた鈴木アツト。英語が話…

鈴木アツト
6か月前
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戯曲英訳プロジェクト 経過報告その1

2年連続、健康診断の血圧の項目で「軽度の高血圧」の診断をもらった。まだ43歳なのに。しかし、年下の劇作家が、虚血性心不全やら脳幹出血やらで、急逝するニュースを目に…

鈴木アツト
6か月前
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読書日記「タトゥーママ」

「タトゥーママ」 ジャクリーン・ウィルソン作 小竹由美子・訳 ニック・シャラット絵 「これがあると、自分が特別に思えるの。」と言って、全身にタトゥーをいれまくっ…

鈴木アツト
7か月前
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『犬と独裁者』上演台本 第1場

日時:2023年7月21日(金)~30日(日) 会場:駅前劇場 「犬と独裁者」 | 劇団印象-indian elephant- 公式サイト (inzou.com) 作:鈴木アツト 2023年7月14日版 上演台…

鈴木アツト
9か月前
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タイニイアリス・西村博子先生との思い出

新宿の小劇場タイニイアリスのオーナー:西村博子先生が、2022年12月14日に亡くなられた。 西村先生との忘れられない思い出は、私が、生涯で一番の失敗作を上演した時のこ…

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『カレル・チャペック~水の足音~』当日パンフレット・ご挨拶

8年程前にタイに行った時のことだった。バンコクのとあるお寺で、仏像を見た時の“腑に落ちなさ”が、今も心に残っている。「なんか、違う。」 その黄金に輝く仏像は、…

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『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』上演台本 第1場

『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』 日時:2022年6月8日(水)~12日(日) 会場:駅前劇場 https://g-inzou.wixsite.com/orwell 作:鈴木アツト 2022年5月24日版…

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『カレル・チャペック(仮)』準備稿 その1

『カレル・チャペック(仮)』 出演者募集中・オーディション情報はこちら。 https://stage.corich.jp/bbs/78611 作:鈴木アツト 2022年3月14日版 準備稿 ※戯曲の内容…

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「国家と芸術家」シリーズ、最終作は、『カレル・チャペック』

今日、1月9日は、チェコの作家、カレル・チャペックの誕生日だそうです。それを聞いて、慌てて、この文章を書いています。 現在、劇団印象-indian elephant-では、「国家…

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短編作品『サラのあんこ』

1.はじめにここに掲載する短編戯曲『サラのあんこ』は、2020年4月に書いた、モノローグ(一人語り)です。2020年4月と言いますと、東京は、新型コロナ感染拡大を防ぐため…

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ゾウの鼻の読書会 設立のお知らせ

劇団印象-indian elephant-では、2022年から「ゾウの鼻の読書会」を、開催していきます。 読書会とは? 読書会とは、参加者が、本を読んだ感想を、別の参加者に伝える集い…

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若い演劇人のための助成金講座

この原稿は、とある団体の、「助成金」勉強会の資料として、書いたものです。 0.まえがき助成金とは何だろうか?当たり前すぎで今さら感はあるが、助成金とは「他者から…

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『藤田嗣治 ~白い暗闇』準備稿 その2

『藤田嗣治 ~白い暗闇~』 出演者募集中・オーディション情報はこちら。 http://www.inzou.com/workshop.html 作:鈴木アツト 2021年5月20日版 準備稿 ※戯曲の内容は…

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『藤田嗣治 ~白い暗闇』準備稿 その1

『藤田嗣治 ~白い暗闇~』 出演者募集中・オーディション情報はこちら。 http://www.inzou.com/workshop.html 作:鈴木アツト 2021年5月20日版 準備稿 ※戯曲の内容は…

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【求む!】 制作・アシスタントプロデューサーを募集!

劇団印象-indian elephant-は、この度、「国家と芸術家」三部作公演に向けて、制作及びアシスタントプロデューサーを募集します。下記の評伝劇を創作したいと考えています…

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「エーリヒ・ケストナー ~消された名前~」(仮)準備稿 その3

出演者募集中・オーディション情報はこちら。 http://www.inzou.com/workshop.html 作:鈴木アツト 2020年7月1日版 準備稿 ※戯曲の内容は、公演時には変わる可能…

戯曲英訳プロジェクト 経過報告その2

戯曲英訳プロジェクト 経過報告その2

前回までのあらすじ
2年連続、健康診断の「血圧」の結果が悪かったため、悔いのない人生を生きるために、自作の戯曲の英訳プロジェクトを思いついた鈴木アツト。英語が話せる友人たちに、SNSを使って、英訳プロジェクトへの協力を投げかけたのだが、友人たちからの返信はあるのだろうか。
戯曲英訳プロジェクト 経過報告その1|鈴木アツト (note.com)

前回のSNS経由のメッセージに先立つこと約1年前。自

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戯曲英訳プロジェクト 経過報告その1

戯曲英訳プロジェクト 経過報告その1

2年連続、健康診断の血圧の項目で「軽度の高血圧」の診断をもらった。まだ43歳なのに。しかし、年下の劇作家が、虚血性心不全やら脳幹出血やらで、急逝するニュースを目にすることも多くなった。43歳とは、人生の折り返し地点を過ぎたどころか、明日死んでもおかしくない年齢なのかもしれない。

残りの人生を考えて、自分は何をしたいのだろうか? まだ、やっていないことは何か? 考えてみた。考えてはみたが、特別なこ

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読書日記「タトゥーママ」

「タトゥーママ」

ジャクリーン・ウィルソン作 小竹由美子・訳 ニック・シャラット絵

「これがあると、自分が特別に思えるの。」と言って、全身にタトゥーをいれまくっている、かなりクレイジーなママを持つ娘ドルフィンの成長物語。

そうか、世界に一つしかないタトゥーをいれることが、この母親のアイデンティティの根幹なのかと驚いていると、内容はどんどん、ズシリと重くなっていく。この作品は、ユーモアを持って

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『犬と独裁者』上演台本 第1場

『犬と独裁者』上演台本 第1場

日時:2023年7月21日(金)~30日(日) 会場:駅前劇場
「犬と独裁者」 | 劇団印象-indian elephant- 公式サイト (inzou.com)

作:鈴木アツト

2023年7月14日版 上演台本
※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります

第1場 1938年9月 モスクワ

ミハイル・ブルガーコフのアパート。下手に廊下へ出る扉、その横に来客用のソファーとミニテーブル

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タイニイアリス・西村博子先生との思い出

新宿の小劇場タイニイアリスのオーナー:西村博子先生が、2022年12月14日に亡くなられた。

西村先生との忘れられない思い出は、私が、生涯で一番の失敗作を上演した時のことだ。その作品は、2008年に『枕闇(まくらやみ)』というタイトルで、新宿二丁目のタイニイアリスで上演した。”主人公が、体温を失くしていくにつれて、愛もわからなくなっていき、最後に巨大な蝶になる。”という、よくわからない物語だった

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『カレル・チャペック~水の足音~』当日パンフレット・ご挨拶

『カレル・チャペック~水の足音~』当日パンフレット・ご挨拶

8年程前にタイに行った時のことだった。バンコクのとあるお寺で、仏像を見た時の“腑に落ちなさ”が、今も心に残っている。「なんか、違う。」

その黄金に輝く仏像は、顔は細長いが、肩はがっしりしていて、何より瞳がしっかり描かれていた。顔はふっくら、肩はなで肩、目は閉じている日本の仏像と、なんか違ったのである。一緒に見に行ったタイ人の友達は、その仏像の美しさに深く感動していた。私は表向きは同調する振りを

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『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』上演台本 第1場

『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』上演台本 第1場

『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』

日時:2022年6月8日(水)~12日(日) 会場:駅前劇場
https://g-inzou.wixsite.com/orwell

作:鈴木アツト

2022年5月24日版 上演台本
※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。

登場人物
〇エリック・アーサー・ブレア(1903年生・男)
 筆名ジョージ・オーウェル。小説家。
〇アイリーン・ブレア

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『カレル・チャペック(仮)』準備稿 その1

『カレル・チャペック(仮)』準備稿 その1

『カレル・チャペック(仮)』

出演者募集中・オーディション情報はこちら。
https://stage.corich.jp/bbs/78611

作:鈴木アツト

2022年3月14日版 準備稿
※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。

登場人物

〇カレル・チャペック(1890年生・男)劇作家、新聞記者。
〇ヨゼフ・チャペック(1887年生・男)カレルの兄。画家、舞台美術家。
〇フラ

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「国家と芸術家」シリーズ、最終作は、『カレル・チャペック』

今日、1月9日は、チェコの作家、カレル・チャペックの誕生日だそうです。それを聞いて、慌てて、この文章を書いています。

現在、劇団印象-indian elephant-では、「国家と芸術家」三部作公演と銘打ち、”第二次世界大戦時に、国家という枠組みに翻弄された作家や画家に注目し、国境を飛び越える“自由”な視点や思想、作品を創り出す芸術家たちが、なぜ国家や国民によって“自由”が縛られるということが生

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短編作品『サラのあんこ』

1.はじめにここに掲載する短編戯曲『サラのあんこ』は、2020年4月に書いた、モノローグ(一人語り)です。2020年4月と言いますと、東京は、新型コロナ感染拡大を防ぐための、”緊急事態宣言下”でした。そんな時に、イギリス在住の俳優のSusan Momoko Hingleyさんから、「世界中の作家を集めて、1分〜10分間のモノローグを書いてもらう企画、に参加しないか?」というお誘いがあり、それで書い

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ゾウの鼻の読書会 設立のお知らせ

ゾウの鼻の読書会 設立のお知らせ

劇団印象-indian elephant-では、2022年から「ゾウの鼻の読書会」を、開催していきます。

読書会とは?
読書会とは、参加者が、本を読んだ感想を、別の参加者に伝える集いです。「ゾウの鼻の読書会」では、課題本を設定し、それを読んできた参加者が、思い思いに感想を語り合う、読書会を行っていきます。

一冊の本を読んで何を感じたのか。それを誰かと語り合うことによって、頭の中にはあったかもし

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若い演劇人のための助成金講座

この原稿は、とある団体の、「助成金」勉強会の資料として、書いたものです。

0.まえがき助成金とは何だろうか?当たり前すぎで今さら感はあるが、助成金とは「他者からもらうお金」である。この「他者からもらうお金」感が、お年玉のような、降って湧いた幸運を感じさせるのは、私だけだろうか。ジョセイキンという音が、音として、普通の生活では馴染みがないからか、なんか空から降ってくるお金のような気がしてしまう。し

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『藤田嗣治 ~白い暗闇』準備稿 その2

『藤田嗣治 ~白い暗闇』準備稿 その2

『藤田嗣治 ~白い暗闇~』

出演者募集中・オーディション情報はこちら。
http://www.inzou.com/workshop.html

作:鈴木アツト

2021年5月20日版 準備稿
※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。

登場人物
〇藤田嗣治(男):画家。
〇ナタリア(女):娼婦。ポーランド(当時ロシア)からの移民。
〇村中(男):画家。藤田嗣治の後輩。

≪物語の途中

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『藤田嗣治 ~白い暗闇』準備稿 その1

『藤田嗣治 ~白い暗闇』準備稿 その1

『藤田嗣治 ~白い暗闇~』

出演者募集中・オーディション情報はこちら。
http://www.inzou.com/workshop.html

作:鈴木アツト

2021年5月20日版 準備稿
※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。

登場人物
〇藤田嗣治(男):画家。
〇ナタリア(女):娼婦。ポーランド(当時ロシア)からの移民。
〇村中(男):画家。藤田嗣治の後輩。

≪物語の途中

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【求む!】 制作・アシスタントプロデューサーを募集!

【求む!】 制作・アシスタントプロデューサーを募集!

劇団印象-indian elephant-は、この度、「国家と芸術家」三部作公演に向けて、制作及びアシスタントプロデューサーを募集します。下記の評伝劇を創作したいと考えています。

「国家と芸術家」三部作公演とは?古今東西の芸術家の内、エーリヒ・ケストナー、藤田嗣治、ジョージ・オーウェルという、第二次世界大戦時に、国家という枠組みに翻弄された三人に注目し、国境を飛び越える“自由”な視点や思想、作

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「エーリヒ・ケストナー ~消された名前~」(仮)準備稿 その3

「エーリヒ・ケストナー ~消された名前~」(仮)準備稿 その3

出演者募集中・オーディション情報はこちら。
http://www.inzou.com/workshop.html

作:鈴木アツト

2020年7月1日版 準備稿
※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。

〇ヴェルナー・ブーレ(男):ケストナーの同級生。後に映画監督。
ヴェルナー・ブーレ役での、応募が少ないため、ヴェルナー役のための、課題台詞を公開致します。

第3場 1933年11月

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