鈴木アツト

劇作家・演出家

鈴木アツト

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最近の記事

『女性映画監督第一号』(仮)準備稿 その2

『女性映画監督第一号』(仮) 出演者募集中・オーディション情報はこちら。 https://inzou.com/news/audition2025feb/ 作:鈴木アツト 2024年9月15日版 準備稿 ※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。 登場人物 〇坂根田鶴子(女) この場面では38歳 〇制作部長(男) ○登美島福子(女) 映画編集者 この場面では22歳 ○包琳琳(女) 映画編集助手 この場面では22歳 第10場 満映の撮影所    一九四二年(昭

    • インド・代理出産クリニック・取材日記Vol.2

      ※この日記は、2014年1月に、インドの代理出産クリニックに取材した様子を記したものを、再掲したものです。 インド取材旅行3日目(2014年1月26日) インド時間3:30AMに起床。日本時間だと朝7時なので、体内時計が正常に働いていることが確認できたわけだ。起きると、すぐに下痢が始まる。お腹がすごく痛いわけじゃないんだけど、下痢が止まらない(笑) 前の日に食べた、超絶美味いインド料理のせいだろうか? なんだかインドぽくって楽しくなってきた。 下痢をしたり、また眠ったり

      • インド・代理出産クリニック・取材日記Vol.1

        ※この日記は、2014年1月に、インドの代理出産クリニックに取材した様子を記したものを、再掲したものです。 インド取材旅行1日目(2014年1月24日) タイ国際航空で、バンコクのスワンナプーム国際空港経由して、ムンバイの、シャートラパジ・シバジ空港へ。写真は、飛行機から見たムンバイの夜景である。 飛行機に乗っていた時間は、7時間と4時間半。先週も福岡に飛行機で行ったから、だいぶ飛行機が怖くなくなってきた。人間、慣れるものだ。今回は窓際に座れたのもよかった。 月並みだが

        • 『女性映画監督第一号』(仮)準備稿 その1

          『女性映画監督第一号』(仮) 出演者募集中・オーディション情報はこちら。 https://inzou.com/news/audition2025feb/ 作:鈴木アツト 2024年9月15日版 準備稿 ※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。 登場人物 〇坂根田鶴子(女) この場面では25歳 ※京都弁はネイティブに助言をいただき、修正する予定です。 〇溝口健二(男) この場面では31歳 第2場 京都・日活太秦撮影所    時は一九二九年(昭和四年)。〈中

        『女性映画監督第一号』(仮)準備稿 その2

          戯曲英訳プロジェクト 経過報告その2

          前回までのあらすじ 2年連続、健康診断の「血圧」の結果が悪かったため、悔いのない人生を生きるために、自作の戯曲の英訳プロジェクトを思いついた鈴木アツト。英語が話せる友人たちに、SNSを使って、英訳プロジェクトへの協力を投げかけたのだが、友人たちからの返信はあるのだろうか。 戯曲英訳プロジェクト 経過報告その1|鈴木アツト (note.com) 前回のSNS経由のメッセージに先立つこと約1年前。自分でもすっかり忘れていたのだが、とある翻訳家のAさんに、私は、「『ジョージ・オー

          戯曲英訳プロジェクト 経過報告その2

          戯曲英訳プロジェクト 経過報告その1

          2年連続、健康診断の血圧の項目で「軽度の高血圧」の診断をもらった。まだ43歳なのに。しかし、年下の劇作家が、虚血性心不全やら脳幹出血やらで、急逝するニュースを目にすることも多くなった。43歳とは、人生の折り返し地点を過ぎたどころか、明日死んでもおかしくない年齢なのかもしれない。 残りの人生を考えて、自分は何をしたいのだろうか? まだ、やっていないことは何か? 考えてみた。考えてはみたが、特別なことは思い浮かばなかった。可能な限りたくさんの人に自分の作品を見てほしい、聞いてほ

          戯曲英訳プロジェクト 経過報告その1

          読書日記「タトゥーママ」

          「タトゥーママ」 ジャクリーン・ウィルソン作 小竹由美子・訳 ニック・シャラット絵 「これがあると、自分が特別に思えるの。」と言って、全身にタトゥーをいれまくっている、かなりクレイジーなママを持つ娘ドルフィンの成長物語。 そうか、世界に一つしかないタトゥーをいれることが、この母親のアイデンティティの根幹なのかと驚いていると、内容はどんどん、ズシリと重くなっていく。この作品は、ユーモアを持って描かれているものの、ネグレクトやヤングケアラーといった題材を扱ったものだからだ。

          読書日記「タトゥーママ」

          『犬と独裁者』上演台本 第1場

          日時:2023年7月21日(金)~30日(日) 会場:駅前劇場 「犬と独裁者」 | 劇団印象-indian elephant- 公式サイト (inzou.com) 作:鈴木アツト 2023年7月14日版 上演台本 ※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります 第1場 1938年9月 モスクワ   ミハイル・ブルガーコフのアパート。下手に廊下へ出る扉、その横に来客用のソファーとミニテーブルがある。部屋の中央に書棚、そのやや手前に円形の食卓と椅子二脚。上手に台所と寝室へ

          『犬と独裁者』上演台本 第1場

          タイニイアリス・西村博子先生との思い出

          新宿の小劇場タイニイアリスのオーナー:西村博子先生が、2022年12月14日に亡くなられた。 西村先生との忘れられない思い出は、私が、生涯で一番の失敗作を上演した時のことだ。その作品は、2008年に『枕闇(まくらやみ)』というタイトルで、新宿二丁目のタイニイアリスで上演した。”主人公が、体温を失くしていくにつれて、愛もわからなくなっていき、最後に巨大な蝶になる。”という、よくわからない物語だった。 この時、私は、「よくわからないけど、凄い作品」を創ろうと思っていた。オリジ

          タイニイアリス・西村博子先生との思い出

          『カレル・チャペック~水の足音~』当日パンフレット・ご挨拶

          8年程前にタイに行った時のことだった。バンコクのとあるお寺で、仏像を見た時の“腑に落ちなさ”が、今も心に残っている。「なんか、違う。」   その黄金に輝く仏像は、顔は細長いが、肩はがっしりしていて、何より瞳がしっかり描かれていた。顔はふっくら、肩はなで肩、目は閉じている日本の仏像と、なんか違ったのである。一緒に見に行ったタイ人の友達は、その仏像の美しさに深く感動していた。私は表向きは同調する振りをしたが、心の底では、美しいと思えなかった。私は、自分が無意識の中で、「仏像」へ日

          『カレル・チャペック~水の足音~』当日パンフレット・ご挨拶

          『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』上演台本 第1場

          『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』 日時:2022年6月8日(水)~12日(日) 会場:駅前劇場 https://g-inzou.wixsite.com/orwell 作:鈴木アツト 2022年5月24日版 上演台本 ※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。 登場人物 〇エリック・アーサー・ブレア(1903年生・男)  筆名ジョージ・オーウェル。小説家。 〇アイリーン・ブレア(1905年生・女)エリックの妻。 〇フレドリック・ウォーバーグ(1898年生・

          『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』上演台本 第1場

          『カレル・チャペック(仮)』準備稿 その1

          『カレル・チャペック(仮)』 出演者募集中・オーディション情報はこちら。 https://stage.corich.jp/bbs/78611 作:鈴木アツト 2022年3月14日版 準備稿 ※戯曲の内容は、公演時には変わる可能性があります。 登場人物 〇カレル・チャペック(1890年生・男)劇作家、新聞記者。 〇ヨゼフ・チャペック(1887年生・男)カレルの兄。画家、舞台美術家。 〇フランティシェク・ランゲル(1888年生・男)軍医。 ○オルガ・シャインプフルゴヴァ

          『カレル・チャペック(仮)』準備稿 その1

          「国家と芸術家」シリーズ、最終作は、『カレル・チャペック』

          今日、1月9日は、チェコの作家、カレル・チャペックの誕生日だそうです。それを聞いて、慌てて、この文章を書いています。 現在、劇団印象-indian elephant-では、「国家と芸術家」三部作公演と銘打ち、”第二次世界大戦時に、国家という枠組みに翻弄された作家や画家に注目し、国境を飛び越える“自由”な視点や思想、作品を創り出す芸術家たちが、なぜ国家や国民によって“自由”が縛られるということが生じるのかを描く”シリーズを企画・上演しています。 こちらの記事にあるとおり、

          「国家と芸術家」シリーズ、最終作は、『カレル・チャペック』

          短編作品『サラのあんこ』

          1.はじめにここに掲載する短編戯曲『サラのあんこ』は、2020年4月に書いた、モノローグ(一人語り)です。2020年4月と言いますと、東京は、新型コロナ感染拡大を防ぐための、”緊急事態宣言下”でした。そんな時に、イギリス在住の俳優のSusan Momoko Hingleyさんから、「世界中の作家を集めて、1分〜10分間のモノローグを書いてもらう企画、に参加しないか?」というお誘いがあり、それで書いた作品です。(企画者は別の方でした。) テーマは「Hope in Isolat

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          ゾウの鼻の読書会 設立のお知らせ

          劇団印象-indian elephant-では、2022年から「ゾウの鼻の読書会」を、開催していきます。 読書会とは? 読書会とは、参加者が、本を読んだ感想を、別の参加者に伝える集いです。「ゾウの鼻の読書会」では、課題本を設定し、それを読んできた参加者が、思い思いに感想を語り合う、読書会を行っていきます。 一冊の本を読んで何を感じたのか。それを誰かと語り合うことによって、頭の中にはあったかもしれないけど、自分が認識していなかった、自分の想いや考え方を発見する。そういった集

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          若い演劇人のための助成金講座

          この原稿は、とある団体の、「助成金」勉強会の資料として、書いたものです。 0.まえがき助成金とは何だろうか?当たり前すぎで今さら感はあるが、助成金とは「他者からもらうお金」である。この「他者からもらうお金」感が、お年玉のような、降って湧いた幸運を感じさせるのは、私だけだろうか。ジョセイキンという音が、音として、普通の生活では馴染みがないからか、なんか空から降ってくるお金のような気がしてしまう。しかし、それは間違いである。 助成金を考える上でまず、俯瞰して見るためにも、”助

          ¥100

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