戯曲英訳プロジェクト 経過報告その2
前回までのあらすじ
2年連続、健康診断の「血圧」の結果が悪かったため、悔いのない人生を生きるために、自作の戯曲の英訳プロジェクトを思いついた鈴木アツト。英語が話せる友人たちに、SNSを使って、英訳プロジェクトへの協力を投げかけたのだが、友人たちからの返信はあるのだろうか。
戯曲英訳プロジェクト 経過報告その1|鈴木アツト (note.com)
前回のSNS経由のメッセージに先立つこと約1年前。自分でもすっかり忘れていたのだが、とある翻訳家のAさんに、私は、「『ジョージ・オーウェル~沈黙の声~』を英訳してみませんか?」と軽い気持ちで、世間話のついでに、話していたことがあった。つまり、自作を英訳したいという気持ちは、私の中では定期的に顔を出しては引っ込む、持病のようなものらしい。
そのAさんから先週、「日本語→英語の翻訳に興味あるよ。でも、『オーウェル』じゃなくて、『フジタ』のほうが、英語圏で受けるんじゃない? 外国人がオーウェルのことを書いても、イギリス人には受けない気がする。」という意見を頂戴したのだった。
自作の戯曲の中で、私が英訳し、Londonおよび英語圏で上演したい評伝劇ものは5本ある。
・『エーリヒ・ケストナー~消された名前~』(2020年日本初演、英訳有)
・『藤田嗣治~白い暗闇~』(2021年日本初演)
・『ジョージ・オーウェル~沈黙の声~』(2022年日本初演)
・『カレル・チャペック~水の足音~』(2022年日本初演)
・『犬と独裁者』(2023年日本初演)
ジョージ・オーウェルは、イギリス人の作家で、英語で小説『1984』を書いた人だ。だから、『オーウェル』がこの中では一番、Londonの観客に興味を持ってもらえるのではないかと、私は漠然と考えていたのだが、、、
「外国人がオーウェルのことを書いてもイギリス人には受けない気がする。」
私の耳と心にズキンと響いた。日本人作家が書いた、イギリス人を主人公にした評伝劇。それは、アストンマーチンではなく、トヨタに乗ったジェームズ・ボンドみたいに感じられてしまうのかもしれない。
それよりも、日本人作家が書いた、国際的な画家を主人公にした評伝劇、つまり『フジタ~白い暗闇~』のほうが、受けるのかもしれない。そうは言っても、「英語圏で、自分が書いたオーウェルの評伝劇が上演されたら、すごくない?」という、変な承認欲求が、頭をもたげ始めてくる。どちらを先に英訳するべきか、、、
そうだ!英語と日本語、両方を読める友人だっているのだから、その人に意見を聞いてみよう!
悩んだ挙句、London在住の友人に感想を聞く、という自分の「縁」に頼ることにしたのだった。
(つづく)
ちなみに、『フジタ』も『オーウェル』も、一部をこちら(下記リンク)で読めます。もしよかったら、読者の皆様も、どちらが英語圏で受けそうか、ご意見お聞かせください。
『藤田嗣治 ~白い暗闇』準備稿 その1|鈴木アツト (note.com)
『藤田嗣治 ~白い暗闇』準備稿 その2|鈴木アツト (note.com)
『ジョージ・オーウェル ~沈黙の声~』上演台本 第1場|鈴木アツト (note.com)
写真:bozzo
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