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『そもそもシュート練習をする前に・・・』フットボールペアレンツ050

こんにちは。
藍澤誠/Jの先生です。
本日の動画はこちらです。

私(マコト)とハルキ(15歳)の「ゴールの可能性」を比較してみました。

◎マコトのプレー

自分が目標にしている「滑らかなプレー」はできています。特に「軸足をできるだけつくらない」、「身体を操作しやすい位置に足をつく」、「相手の矢印が自分に向かった瞬間に、反対の矢印を出して入れ替わる」、「ディフェンスの間を割って入る」などのプレーはできています。

しかしそれらのプレーがゴールに直結しているか、もっと正確に言えばゴールにつながるようなプレーとして上記のプレーを実行しているかというと疑問です。つまり、個人としてはうまくさばけているけれど、チームのゴールの可能性を上げているかという視点で分析した場合、疑問が残ります。動画内の「黄色のシュートスペース」への関心はいっさいありませんでした。

◎ハルキのプレー

それに比べてハルキのプレーです。この最後列から一気にシュートまで持っていくというプレーは、ここ数か月ハルキが心掛けているプレーです。本人談によると、まず前方にスペースがあるか(シュートできるスペースがあるか)を見るそうです。その後、今いる位置からどこへ抜け出すかを決め、抜け出し後は、前方のスペースへつながる複数ルートの中から、瞬間的に自分の身体が選択したルートを駆け上がりシュートを打ちます

このスペース認知、抜け出し、シュートまでが3手1組のワンセットとして捉えられていて、その動作を実現する過程で、身体の滑らかさだとか、走るドリブルなどのテクニックが支えになってくれる形です。つまり先にシュートまでのプランがあって、身体操作や技術は手段という位置づけです。

両者を比較すると、私が身体操作や技術の発揮を「目標」にしてるのに対し、ハルキが「手段」にしている点が大きく異なっています。「まずは止める蹴るが出来て、余裕が出てきた先にゴールへのプランがある」という形(成長のステップ)だと、ゴールまでの道のりは遠いように思えます。

逆にゴールまでの道のりが先にあると、手段としての磨くべき技術がハッキリします。今回のハルキのターンといい、走るドリブルといい、それ単体を取り出して練習するのではなく、「少ない手数で、最速で前に行くにはどうしたらいいか」というテーマのもと、必要なプレーが割り出されます。上手いかどうかではなく、速いかどうかが評価基準になります。

今回の私のプレーについては、ゴールとの関係を踏まえずに切り出せば、「滑らかな好プレー」とか「選手でない保護者でもまぁまぁできる」みたいな形に映ると思います。

しかし「ゴールを生む可能性につながっていない局面的な技術」に意味があるかというと、「なくはないけど・・・」という気がします。

「ハルキだってシュートが入らなかったから同じじゃん!」と私が言いがかりをつけることはできますが、その言いがかりを可能とするのはシュートまでいったからで「入るシュートとはどんなものか」「シュートが入る可能性を高めるにはどうしたらよいか」という課題がよりリアルになってくるのは、ここまで行ける選手だけです。

次回、私がシュート練習をしている動画の記事も書く予定ですが、シュートが打てる状況があってのシュートです。シュートを生むような動きに磨きをかけず、プレーを分断している選手は、冷静に考えるととてもおかしいです。シュート練習をする前に(あるいはシュート練習をするのと並行して)「シュートという状況を生むための練習」をすべきなのは自明だと思うのですが、私はそこに気づいていませんでした。

「シュートという状況を生むための練習」というのは、具体的な技術練習ではなく、ゴールまでの距離、スペース、相手の位置、味方の位置、ボールの情報から、どんなプレーが相手にとって危険であり、どんなプレーがゴールの可能性を生むのかをピッチ内で割り出す練習です。そのためには、ピッチ内にいながら、必要な情報を広い、そこに意味を見出し、次にやるプレーを創造するといった作業に馴れる必要があります。必要があるというか、それ自体がサッカーのような気がします。

これはオフザボールの動き(ボールをもっていないときの動き)が大事、というのとも少し違う気がします。大事なのは、目的を見失わないシンプルさと、情報の連続性を感じるセンスだと思います。

たった今、私はこうして書いていますが、書こうとしている内容やプレーはすでに起きたできごとであり、それを文字に移し替えているだけです。書いているのは今なのですが、それは過去の情報とつながっていて、そして書かれることで未来を生み出すことにつながっています。何のために書いているかを見失わないように、そして未来の自分たちが良い状況になるように書いています。サッカーも日常生活も同じです。

過去に収集した情報を元に(プレー前に収集した情報を元に)、現在のプレーをチョイスし、理想とした未来の状況を、次の現在にしていく。

そうした過去・現在・未来のつながりを表現できる選手つねにゴールというゴールを見失わない選手を目指したいね、とハルキと話しています。

フットボールを楽しんでいる人たちの参考になると嬉しいです。



◎01~10

01 『親としてはやめてほしくない』
02 『できない子を笑わない』
03 『サッカー選手になれなかった人がフットサル選手になる』
04 『サッカーに熱心な親だらけ!』
05 『左足で走るのが苦手とかあり得る? 個人的には画期的な大発見』06 『走る(ドリブル)は誰でもできる』
07 『子どものプレーにイライラしがちなお父さんお母さんへ』
08 『両足で蹴ればシュート力は2倍になるぜ!!!』
09 『セレクションは気にしない!~12打数12安打11ホームランでも、まぁまぁはまぁまぁ』
10 『パパはゲームメーカー! ボールにいかないと世界がまったく変わります!』

◎11~20

11 『思い出しただけでイラつく経験を語っても……』
12 『ボールにいかない派とかじゃなく、目的は何かっていう話なんだけど』13 『ボールにいかないと1人目のディフェンスはいないも同然。味方はグラウンダーでパスを出さなくてもいいし、利き足じゃなくてもかまわない』
14 『子どもが主役の合宿は、世代を超えて受け継がれていた』
15 『イノシシやゴリラにプレスされても大丈夫! ~今が未来につながっている~』
16 『リフティング(1) ボールを拾って役立てようと 僕は思ったわけでもないが』
17『リフティング(2) 空に向かって蹴るのが楽しい!』
18 『リフティング(3)親と性格が違い過ぎると怒っちゃう問題はこうして解決した』
19 『リフティング(4)私たち親子が回数を目標にしなかった理由
20 『親視点(1)みんなドリブルでいっちゃうツライ日々』

◎21~30

21 『牛若丸ターン! ターン後の着地の姿勢で勝負がついていた』
22 『ドリブルの練習をやめたら劇的にうまくなりました』
23 『質問です。未来を意識していた人は誰でしょう? ゴールの角上とつながる』
24 『原文ママさん 手持ちの動画について意見を交わし合う場を作りました』
25 『世代なので死ぬまでにマラドーナのドリブルを身につけたい――運動神経がダメダメな私でも走れば抜けます
26 『ゴールへの意識があればレアルマドリードにもたどり着ける
27 『4ステップはつまずきそうで怖いという質問への回答』
28 『ギュンです! ボールに触れた瞬間に超絶加速する――写真の次のコマの形を当てられたらあなたは名選手に違いないです』
29 『続ギュンです! たいして傾いていなくてももちろん抜けます』
30 『ハルキの自主練なんて一回もみたことないです』

◎31~40

31 『内田史上最強の動き――研究手を基本動作にするプロセス』
32 『7番と9番へ! ディフェンス目線で整理する走る(ドリブル)2022年8月バージョン』
33 『トップ選手との対決で学んだこと――真夏の微妙な大実験』
34 『ボールにいっちゃっている状態とは何かよくわかります』
35 『手を動かしてイラストにしてみるとフォームを覚えられます――中西を描いてみる』
36 『フリーキックの練習を初めてしました』
37 『4ステップがない世界はもう考えられない』
38 『パパさんでも5人ダイレクト成功』
39 『ボールのレイヤーと身体のレイヤーが違うことで、滑らかなスーパープレーが生まれる』
40 『身体はオートマチック、判断はコース取り』

◎41~50

41『プロは目指すものじゃない――どうしても怒っちゃう自分を克服したきっかけ』
42 『ボールなしの練習は最重要!! しゃべるが先で飴玉は後』
43 『走りながらボールに合流する方法』
44 『すべてのプレーはゴールへ続く』
45『景色のプレーと脳内のプレー』
46『試合を動かす選手になる』
47 ルールは拘束的なものではなく、創造的なもの』
48『ドリブル超得意だけど、、、ドリブルのドの字もみせないぜ!
49 『親視点(2)止める蹴るを正確に!! なんてまったく考えていません』




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