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『ハルキの自主練なんて一回もみたことないです』フットボールペアレンツ030

藍澤誠/Jの先生です。

内田淳二さんと大森知さんの研究による『4ステップ』のおかげで、ハルキの動きが革命的に動きが良くなったことはこれまでの記事で何度か書きました。これは事件というか、もう大発見と言っていいと思います。4ステップを言語化して、最適な動作に落とし込んだお二人には感謝しかなく、大げさでなく、4ステップを知らない世界に戻りたくないですし、4ステップを知ったことは私の人生史上でも画期的な事項でした

このフットボールペアレンツを読んでいる人には、ぜひ4ステップを試して正しく理解して欲しいのですが、私は4ステップの良さを理解するまで何か月も、たぶん半年くらい時間がかかりました。今ではこんなに重要視しているのに、メリットの理解に何か月もかかっているんです。

さらに初期段階は「ただの遅い動き」にしか思えず、投げ出してしまうと思われます。あるいは「今までの動きの方がいい」と、4ステップと一般的なドリブルの違いを明確にしないまま、「いいような悪いような」という中途半端な状態で練習することになります。ひょっとすると「ハルキくんはできるけど、自分たちには無理です」みたいな、誤解にもほどがある理解をされてしまうかもしれません。

だから4ステップの良さについて動画付きで語りたい気持ちはあるのですが(最初にメリットを整理した方が取り組みやすいので)もうすでに4ステップに熱心に取り組み始めている人がいて、「どうやったら4ステップを習得できるか」メンバーシップ掲示板やLINE経由で質問がきているので、そちらに答えたいと思います。そうすることで結果としてこの先4ステップを導入するフットボールペアレンツの役に立つと思いますので、以下、4ステップに興味がある人はご覧ください。今は興味ない人は、なんとなくそんなものがあったな、と心に留めておいてくださいね~。

寄せられた質問の概要は

走る(ドリブル)の習得について、どのようにして無意識に落とし込むか

という質問です。4ステップの練習方法の解説を求められたわけではないのですが、私とハルキが目標としている「走る(ドリブル)」(※はしるかっこドリブルと読みます)は4ステップが基本となっていて、その習得のプロセスがそのまま回答になるので、以下説明します。

動画にしたのは私のトレーニング風景です。見ればわかる通り、ひとりで狭いガレージでゆっくりとしたスピードで練習しています。私については「ハルキとバトルを毎日繰り返して走る(ドリブル)を習得した」わけではありません

何度か上げたGOTSスクールにおける1対1の動画の印象から、ひたすら1対1の練習を繰り返しているように感じられるかもしれませんが、そうではなく、スクールでの1対1の練習は

おお、1対1をやるのはひさしぶり!

という感じです。つまり修練のたまものというわけではないんです。私については「対人とかぜんぜんやっていないけど抜けるのかなぁ」とちょっと不安になる感じなのです(※始まると不安は解消します)。

「自転車」とか「逆上がり」とかに似ていて、一度できるようになったら戻りにくいというのが4ステップの特徴でもあるし、「自分の動作なので相手は関係ない」がゆえに、対人戦の経験はそこまで必要ないと思われます。

言葉にしにくいのですが、よく言われている「意識から無意識へ移行するプロセス」というよりも、「それができるかどうか」だけのような気がします。できるようになっちゃったら、ついうっかりですら、走る(ドリブル)にならないような動きはしたくない(遅いし疲れるから)。

だから解決方法としては

「できるまでやる」

なのかもしれません。

できるようになるために、意識すべきことはたくさんありますし、ハルキと私ではぜんぜんプロセスが違います。

動画のような一人練習では、私は「その意識すべきこと」を自分自身で納得いくまで確認しています。上の動画のときは90分くらいやっていました。録画して自分で見ます。思い違いしているところはないか、よく知っている動きでも、感覚として遅いとか重いとかそういうところがないかを、動画内でやっているように、自分自身でチェックしているんです。そして人に伝えられるまで考えます。ハルキに伝えなくちゃいけないですからね。私が一人で上手くなっても仕方がないので。

狭い場所ではスピードが出せないので、身体の理屈を確認しています。注意のカーソルは身体に向いていて、ボールにはいっさいいかなくなりました。

ただ、ハルキはこのプロセスを経ていません。
ハルキが自主練しているところなんて、10年間で一度もみたことはありません。

私が研究したものを翌日とかその次の日に伝えて、ハルキに実際やってもらうというのが私たちのプロセスです。運動神経がない私ができるようになった動きなので、たいていハルキはマスターできます。私がもういろいろなエラーを経験しているので、ハルキがしそうなエラー動作はたいてい先回りして経験しているから修正も可能です。

でも私より運動神経がいいからハルキが習得しやすいというのは違う気がします。

どうしてハルキがすぐに習得可能かというと、それはたぶん「スピードだけを考える」のに徹しているからだと思います。

ハルキはすべてをカバーするようなシンプルな原則(普遍的な物理法則)が好きで、「そもそもスピードがなければぬけない」という大原則だけを大事にしている印象です。

だから1対1のとき、可能な限り相手にスピードを上げてアタックします。そのときにボールを蹴っちゃうと相手との距離がコントロールできずに相手にボールを渡すことになってしまうから、ボールを蹴らない動きをしたいよねとか、タッチ後にも加速したいよねという要望がハルキなりに出てきて、そのときに私の研究が役に立つ’(ことがある)という順序です。

私の研究の先に進歩や成長があるのではなく、ハルキが必要とする解決策が、私の研究からピックアップされるという感じです。

ハルキはスピードアップできる局面は何一つ逃したくないので、ボールタッチの瞬間やら、ブレーキングの仕方や、スペースの作り方などを工夫しています。つまりすべての目的が「スピードを落とさない」にびっくりするほどシンプルに集約されていて、それが私や内田さんからゲットする情報の有用性を高めている感じがするのです。

3か月くらい前に、ハルキがボールを持ったとき、ディフェンスが極端に詰めればハルキがスピードを上げきれなくなるという弱点を発見した人がいて、その攻略法でハルキが何度もボールをロストしていた日がありました。

ハルキは翌日から「さらにひとつ前の状況で勝負をつけよう」という方針を持ち、詰められる前の状況下において、どのようにしてスピードを作ればよいか、スピードを作るためのスペースや動きを考え始めました。ここでもテクニックではなく「シンプルな原則」で解決しようとするのです。

ようするにハルキは、私がやっているような「個別の動きにおける身体操作を部分的に取り出して向上させる」ことはあまりやらないで、絶対的に優先させるべき理念=スピードの方に目を向けてます

理念の実現に必要となる個別の身体操作(私がガレージでやっているようなトレーニング)は、大森アップと筋トレをやっているので、特に練習する必要は感じていないようですし、実際にすぐに状況に合った必要な動きを編み出しています。

その代わり大森アップと筋トレは、どの動きを実現させるためにやっているのかを、ものすごく意識しながらやっています。大森アップはトレーナーのように、私やGOTSスクールの参加者に指導したりしています。

まとめます。

マコト:まずはゆっくりとした動きで理屈を考える。ファンタジーを混ぜがちなので、動画を見ながら客観的かつ物理的に動きを理解していくアプローチ。自分ができないことは人に伝えない。できないのに伝えたいときは、できない仮説だけどどうかな、と前置きする。「相手が誰でも通じるやり方があるはず」「物理法則に反しないなら、誰でも習得できるはず」というのが基本方針。実戦の中や広い空間でやってきたことを試し、速度を上げてもできるかを確認する。

ハルキ:「相手が誰でも通じる」動きをするために必要な「守るべき原則=スピードを落とさない」のみを考え、ゲーム中もそれに忠実になる。その原則に照らし合わせれば、必要な動きが自然と定まるので特定の練習はしない。課題が生じたときにその都度、解決策を探し、それに必要な動きがあれば習得を試みる。個別の動きの獲得に直接向かわず、どんな動きでもできるような身体づくりを目指している。

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