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『内田史上最強の動き――研究手を基本動作にするプロセス』フットボールペアレンツ031

藍澤誠/Jの先生です。

親子練習の参考になるかと思い、ハルキとの練習風景をアップします。
前回の記事(フットボールペアレンツ029)で「広いときは速さ重視」と書きましたが、今回は「広い場合の練習」です。


◎基本動作の確認

私たちの親子練習はまず基本動作の確認から入ります。すでに習得済みの動作を磨きます。これまでやったことのある動作なので、それぞれの動作ができるのは当たり前なのですが、私が練習日までに気づいたことをミックスします。

この日は、私が動画編集中に着想した「相手に向かっていく動作をわずかでも入れることで相手の足を止められる原理」(動画内0分16秒や0分20秒)や、「ボールにタッチした足を後ろに置いていくイメージでいい傾きが作れる説」(0分23秒)が、ハルキの動きにフィットするか試してみました。

◎研究手の確認

次に研究手の確認です。たいてい2時間の練習に対して1つか2つにしています。今回は「引き込み動作」(0分32秒)がテーマです。これは「スピードを上げる前に体を寄せてきた相手をどういなすか」「スペースがなく速い動きを作れない状態からどうすればよいか」という課題の解決策です。以前GOTSスクールの内田淳二さんが「内田史上最強の動き」として教えてくれたものなのですが、その動作をようやく私自身が整理できたからこの日、伝授しました。

まず36秒・39秒で説明しているのは「ボールを横にスライドさせてボールをなめる動きに見えるがそれはまったく違う」ということを話しています。

それは順序が逆で、まずは自分の身体を先に思い切り相手の側に割り込ませていくように動かすとよいということをガレージ練習(狭い場所でのイメージトレーニング)で発見しました。密集を脱出するためにとにかく相手に体をぶつけにいく感じです。

次にその勢いを維持するためのステップワークをします。ボールに最初に触った足は、ボールが転がっていくコースから外れて、前方へ出します。

そうすると身体全体が前に傾き加速が始まります。その状態でボールを触ってない方の足をただ前方へ走るように直線的に動かすと、その足の進路にボールがある。結果としてボールにタッチすることになり、スピードに乗れたまま前方へスムーズにボールが運ばれることとなる

この仕組みを理解したので、とくに体が先でボールは勝手についてくるというイメージ(最近の動作はぜんぶこのパターン)を共有しました。もともとハルキもそうやっていた部分もあるのですが、完全に言語化したので、あとの落とし込みは速かったです

0分41秒のところでは「応用」にたどり着きました。体をぶつけに行っていざ走ろうとしたら、相手が進路にいて止められた場合です。

反応のいいディフェンダーや山をかけてぶつかりにきたディフェンダーの役を私がやってみました。

この場合、一瞬防がれたように見えますが、進路をふさがれていても後ろ足は自由に動くので、相手に体重を預けたままボールを反対方向へ流すことが見た目以上に簡単なのです。

41秒~43秒の一連のスムーズな流れがそうです。ハルキはなんなく身につけられました。基本の走る動作があり、身体を先に動かしたからこそ相手を大きく動かすことができるし、後ろ足の運びがキャンセル可能。さらにキャンセルした足で逆方向へ展開することが容易という仕組みです。

さらなる応用として、この逆方向へ展開したのについてこられたらさらにキャンセルすることも動作としてはできるけれど(重心のコントロールができれば多くの動作はキャンセルが容易)それはひとまずおいておいて、まずは身体をぶつけて走ること。そして立ちふさがれたら逆方向に流すことを磨いていこうという方向性が決定しました

45秒~48秒では、ハルキにディフェンス側に立ってもらって、どうにも対応できない感を味わってもらっています。ディフェンス側が何をやられたら嫌かを完全に理解したハルキは、ものすごく滑らかにオフェンス側のステップを発動できるようになりました。49秒~51秒がそうです。

◎アドリブが出てきて完成

そして動画の最後の部分です。ハルキがアドリブを入れてきました。「急に相手に向かって動き出す」という今日の前半にやった動きとミックスしたのです。ハルキは私の胸を右手でつくようにしてから、割ってい入るような新しい動きをいきなり試しました。その結果、私は回転扉のように道をゆずり、走り抜けられてしまいました。

練習のための練習なんてする気はぜんぜんなくて、世界の舞台でそれを使うイメージ、トップレベルのプレーヤー相手にしているイメージをつねに離さない。そんなスタンスで練習しています。

今回の研究手は「横にスライドしてボールを転がす」という見た目と、「実際にやっている感覚」はぜんぜん違います。身体を斜め前方に強く激しく投げ出して、思い切り走り始めたらボールが転がってきた――以前は理解できていなかった動きがようやく完成して嬉しいです。ここまでくると、あとは実戦で何度も使い、必要なら修正をかけたりさらにスピードアップさせるための方法を考えます。つまりこの「引き込み」の動きは私たちにとっては「基本動作」になりました。

これを読んだフットボールペアレンツの参考になると嬉しいです。

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