『身体はオートマチック、判断はコース取り』フットボールペアレンツ040
藍澤誠/Jの先生です。
今日のハルキの動画はこちらです。
私たち親子が重要視している考え方に「ボールにいかない」というものがあります。これは文字通り「ボールのことを考えないでプレーする」ということです。
ボールをもらうとか、ボールを運ぶとか、ボールをシュートするという感じで、ボールを中心に物事を考えると、プレー(局面)がとぎれとぎれになってしまいます。
そうではなく、プレーの流れの方に目をむけたいと考えています。トラップとかドリブルとかシュートに意識のメモリーをつかわないで、ボールがゴールに入っていくルートを作り続けることに意識を向けます。
たとえば上の動画では、最初ボールが手前の帽子をかぶった赤いゼッケンの人にわたりますが、彼は「最初に実行しようと判断した行動=ハルキへボールをパスする」を選択してしまいました。股下を通せる可能性はありますが、ディフェンスが距離を詰めてきているのでかなり難しいです。案の定、阻まれてしまいました。
これはスキルが不足しているわけでも判断が悪いわけでもなく、「最初に決めたことが止められずに実行されてしまう」仕組みになっているからです。
私もこのプレーをまだしてしまうのですが、これが「ボールにいっている」という状態です。ここでもし彼が蹴ることではなく、別のルートを探ることだけ思い描いていたらどうなるでしょうか。
おそらくキックをキャンセルして、思い描いていた別の動き(別のルートの選択)に移れたことと思います。しかし「ボールをパスする!」というところに意識を持っていかれてしまうと、進路が防がれているにも関わらず、それをキャンセルできないまま蹴ってしまうのです。ルート変更ができずに交通事故にあってしまったようなものです。
今度はハルキの視点で動画を見てみます。
「あいだ!」と言って駆け寄りましたが、予想に反して進路が塞がれました。するとハルキは迷いなく方向を変えて素早く進路を変え、ボールを受けられる態勢を作っています。
このときに大事なのが「ボールを受ける」のが目的ではなく、「ゴールに向かうために動き直した」という意識です。最初の「あいだ」がなくなったからといって天を仰いだり、足を止めたり、困ったりすることなく、防がれたら次善策であった次のポジションへ移ります。そこへの移動が早かったので、パスを受けられ、ディフェンスとの距離(間合い)を作ることに成功しました。
ハルキは踏み込んだ新しいルートにおいて、体をゴールへ向け「シュート or ゴール前へのドリブルがある」ようなしぐさを一瞬しました。この動きでディフェンスの注意が内側へ引きつけられました。
その内側に引きつけたタイミングで、平行に位置をとっている外の仲間にボールをアウトサイドで渡し、ディフェンスの間を抜けるように走ってラインを突破し、オウンゴールを誘発しました。
このパスの際、左足でインサイドでなめながらアウトサイドで蹴っているスムーズな動きは「やろうとしてやった動き」ではなく、「身体が自然に反応して出た動き」です。やろうとしてやった動きは「中にひきつけ、外を使い、間を抜けてゴール前へ飛び込む」という一連の動作(新しく描いたゴールまでのルートを通ること)です。ボールの取り扱いはオートマチックで、ゴールへのコース取りを意識するのです。
さきほどは防がれてしまった手前のゼッケンの選手も、今度はすばらしいワンツーを返しました。とっさに反応したように思えますが、ボールが来る前に顔を上げ視野を広く取っているのがわかります。「ボールが来たらハルキにパスを返してゴール!」というラインが見えていた、そのための準備ができていたかのように思えます。すばらしいです。喜ばずに次の動きをしている(別のボールへ関与しに行く)をのもクールでした(笑)
ボールではなくゴールへのルートに目を向け、個別の動きは身体の即座の判断にゆだねると、サッカーは想像以上にスピーディに、そしてクリエイティブになるのではないでしょうか。
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