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『質問です。未来を意識していた人は誰でしょう? ゴールの角上とつながる』フットボールペアレンツ023

藍澤誠/Jの先生です。

質問です。この動画が始まってすぐの10秒を集中して見てみてください。ハルキ(シュートを打った選手)がボールタッチするまでの時間が10秒です。

10秒の間に、5人の選手がボールタッチをしましたが、その中でプレーの準備ができていた選手はいたでしょうか

初期配置。紫の選手から帽子の選手へパス

プレーの準備とは、「自分のところにパスがきたら、どのスペースにボールを運んで何をするかを明確に決めている」「自分や仲間が奪い取ったら何をするかを決めている」という意味です。

人の頭の中をのぞけるわけではないので「プレーの準備ができていない人はこの人!」とは言えませんよね。だから自分がそれぞれの人になったつもりで、プレーを見てみてください。

あなたが紫のプレイヤーだったとして、パスを帽子の白い選手へ出すとき、次にどんなビジョンが浮かんでいますか。いい展開を作れますかね?

あるいはあなたが二番目に触れた帽子をかぶったプレイヤーだったとき、ボールを運んだあと(寄せてきたディフェンスから遠ざかるようにタッチしたあと)何をするつもりでしたか?

プレーのビジョンを持っていないと、一手一手、行き当たりばったりになってしまいます。オフェンスもディフェンスも、ボールをめぐって取り合い、うまくスキルで抜け出せたらそこから次のプレーを考えるみたいなプレーになりがちです。

ではハルキの頭の中についてみてみます。※本人に確認しました。

ハルキは味方(青ゼッケン)の黒いプレイヤーが奪った瞬間、白いディフェンスと距離をとっているのがわかります

味方がボールを奪う直前の位置
奪った瞬間、バックステップ

パスをもらったら即シュートする準備ができているのです。

ところがスピードを作ろうとした直後、パスされたボールが白の長袖のディフェンスにカットされました。
ですが、ボールは運よく味方の足元へ転がります。

シュートを打つつもりで加速体勢に。しかしカットされる・・・
カットされたボールを味方が再回収。ふたたび仕切り直しでプラン実行。


ハルキはふたたび仕切り直しのバックステップをしてスペースに走る準備をします。

そしてパスが来た瞬間、当初のプラン通りに白い長袖のディフェンスが届かない位置にボールを持ち出し、準備したスペースへ移動してシュートを決めています。

ハルキが意識していたのは内田淳二さんがいうところの「ゴールの角上とつながる」イメージです(※角上なのはキーパーとの駆け引きがいらないからです)。オフェンス時にはつねにゴールの角上にシュートを打てるかという明確な規準に照らしてスペースを探し、ポジショニングを取り続けます

これはすごくシンプルです。

シュートを打てるようにパスをもらう。
シュートを打てるようにスペースに移動する。

それだけです。
シュートを打つ未来とつながったまま身体操作を準備します。

ハルキがいつもこのプレーを準備しているとなると、青いゼッケンのチームはハルキにパスをするだけでゴールの確率が高まります。ハルキの位置を見て、ボールをどこに残しどのようにパスをすればよいかを決めればいいのですから。

今回の動画ではたまたまなのかもしれませんが、青のゼッケンのチームは、シュートをうかがっているハルキのことをすぐに見つけて2回ともパスを出しています。その結果、ゴールが生まれました。当たり前です。ゴールの準備万端の選手にパスをしたのですから。

そしてこれも当たり前ですが、すべてのプレイヤーが、角上にシュートを打つ未来とつながっていれば、チームとしてものすごく楽です。各プレイヤーの一手一手がゴールの確率を上げるのですから。

自分がシュートを打てなくてもシュートの準備ができているプレイヤーが何人もいる。みんなが未来を予測しながら、スピードあるプレーでスペースを生んだり使ったりしながらゴールに向かい続ける理想的なチーム。

最初に戻ると、たぶん初期配置の写真において、ハルキが白い帽子のプレイヤーでしたら、右に持ち出して相手右サイド前方のスペースまで一気に走ってゴールを狙うイメージでいると思います。

その結果、逆サイドのファー詰めが空いてそこにゴールの準備万端の選手が来れば、さらに得点の確率が高まります。

白い帽子の選手が、せまい左サイドにボールを運んだ理由はわかりませんが(※ディスっているわけではぜんぜんありません。本人じゃないからわからない、という意味です)ゴールを生み出す可能性が高いプレーとして、そのプレーを準備していたかを検討するのがポイントだと思います。

オフェンス時は常にゴールとつながる。

いつでもゴールのビジョンが出来ている選手が1人いるだけでも違うのに、これが何人もいたら攻撃力がアップするのはいうまでもないでしょう。

逆に、ゴールという目的とつながっていないでプレーを続けても、ボールの奪い合いになるだけなのは明らかだと思います。

頭を使ってプレーしよう、ということでもなくて、フットボールとはボールにいかないで、ゴールの角上と常につながり、スペースを発見し、相手を置き去りにするプレーの連続だと、私とハルキは考えています。

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