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『7番と9番へ! ディフェンス目線で整理する走る(ドリブル)2022年8月バージョン』フットボールペアレンツ032

藍澤誠/Jの先生です。

今回は動画の反響が大きかった「走る(ドリブル)」の最新バージョンです。今回の走る(ドリブル)は4パーターンです。まずは原則から。

(1)加速できるタイミングを逃さない
(2)体の動きを止めない
(3)抜いた後に相手の進路に入る

新バージョンでは(3)が追加されました。


◎7番と9番へ向かう

ハルキは1オン1が始まると同時に「即加速」をしています。

こうすることでディフェンダーは「即受け身」になります。加速をしている理由は、相手が前に出てこないからです。前へ出てくるディフェンダーを相手にする場合は、ディフェンスとオフェンスの動きの矢印が逆になるので、間合いに注意すれば簡単にカウンターが炸裂します。

今回のように前に来ないディフェンスの場合、相手は止まっているので、加速してしまえば7番か9番の方向に簡単に抜けます。7番とか9番については下記をご覧ください。

7 8 9
4 DF 6
1 2 3
      OF ↑攻撃方向

ブラウザによって文字列がズレちゃってたらごめんなさいね。

DF(ディフェンス)とOF(オフェンス)が向き合うとき、真上から見た場合、多くの選手は1か3,4か6を使って抜こうとします。しかしマラドーナは5人抜きのドリブルが特にそうですが、7番と9番を使うことがとても多いのです。

7番と9番にボールを出して走れば不思議なくらい抜けます。今回の走る(ドリブル)でもハルキは、7番と9番を狙っていることがわかります。

◎ディフェンス側から見ると整理できます

1番目の動画で、ディフェンスの私はハルキの非利き足である右足方向へ誘導しているつもりでいますが、ハルキはスピードがついた状態です。最初の踏み込み一発でもう逆を簡単に取られておいていかれました。

ディフェンスの私も、左方向への持ち出しを警戒してタイミングを合わせて最速のタイミングでクロスステップで対応したし、ボールにいかずに体を手で押さえにいきました。にも関わらず7番へ向かうハルキのスピードについていけません。なぜなら私は止まっていた状態から走らなくてはいけないから物理的に追いつくはずがありません

2番目の動画でディフェンスの私は「自分から方向付けをしよう」と試みました。最初は1番目と同じくハルキから見て右方向へ誘導し、次に「ハルキが左方向へ動き出すだろうタイミング」より先に体の向きを変えました。ところが左方向はキャンセルされて右の9番へ抜けられてしまいました。

スローで見ると足が高速で組み替えられているのにハルキはバランスを崩していません。右にも左にも持ち出せる形になっています。スピードはついているので、

空いている方にボールを流すだけ

という状態になっているのでイージーです。ディフェンスが先に動いたら勝負ありです。加速したオフェンスは方向を決め打ちしないで空いている方に進めばいいだけになっています。

ただ、ここは注意が必要です!

オフェンスのハルキは「ディフェンスと対峙する前」に行きたい方向を決めてスピードを上げています。でも「そちらに何が何でも行く」わけではないのです。

「行きたい方向を決めて気分よく走っていた」ら、「邪魔がいきなり出てきた」ので「空いているもう1つの方向へ進んだ」という順序です。

最初に行きたい方向を決めていないと加速しきれません相手の体勢を見てから進む方向を判断するのはとても難しいのです。

単純に「行こうとしたら邪魔があった」というのが判断材料です。実際に邪魔があったからハンドルを切ったということになります。

「行きたい方向を最初に決めて加速する」のは決め打ちではありません。「キャンセルの頭もなく特定の方向へ行くと決めておくのが決め打ち」です。この違いは大きいです。

「最小限の減速ハンドルを切る=キャンセルの発動」ができるか。

これには身体操作がポイントになります。重心のコントロールとステップワークが重要で、減速を最小限にした形で重心移動を試みた結果が「高速ステップワーク」になっています。相手を惑わすステップではなく、身体をできるだけ止めずに左抜けをキャンセルし、右に行く動作をしたら高速ステップになっていたのです。

3番目の動画は、ディフェンスは方向付けしないでオフェンスの動きに合わせて方向を選ぼうとしています。しかし右に加速されて(最初からハルキが行こうとしていた方向に加速されて)一瞬で終わりでした。ディフェンスはオフェンスを誘導する方向を作らなければ、それはそれで終わります。

正対だと180度に近いターンをしなくてはいけないので追いつけるはずがありません。正対したままのサイドステップ対応では遅すぎて、オフェンスに手を使って触れることすらできていません。

4番目の動画は、ディフェンスがオフェンスの進路をうまく防げた場合です……すみません、うまくなんて防げてません。たまたまハルキがボールコントロールをミスって、進路を妨害できた形になっただけなのがよくわかります。

ディフェンスは大チャンスが来たと思って、スペースを与えないように体を寄せていきますが、ハルキ自身が後方に下がり、自分の前にスペースを作る工夫をしました。その結果、ハルキに右側へ加速を始められ、身体を投げ出したところをいなされて終わりました

動画内では「身体操作フルコース」と書きましたが、ハルキは身体をまったく止めることなく加速のタイミングを狙っています。そして加速が始めると、上記のパターンのいずれかで終了です。つまりスペースの確保と加速への移行ができれば勝負ありです。

ここまでの説明でハルキのボールスキル的なもの=一般的なドリブルスキルはまったく話に出てこなかったのに気づきましたか?

「ボール操作」ということになるとサッカーはとても難しいのですが、「ボールを抜きに身体操作と加速のところだけ考える」と、めちゃくちゃ速いので完全にオフェンス有利です

今後私たちの研究が進むとどうなるかわかりませんが「オフェンスにスペースを与え、加速されるとディフェンスはなす術がない」というのが、2022年8月時点の分析です。今後どうなっていくでしょうか。できれば来月末にまた報告しますので私たちのメンバーシップ活動を引き続き応援してください。よろしくお願いします。

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