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『ボールなしの練習は最重要!! しゃべるが先で飴玉は後』フットボールペアレンツ042

藍澤誠/Jの先生です。

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フットボールを楽しんでいるみなさん、こんにちは。
今日は「ボール無しの練習」についてです。

ボール無しの練習<ボールありの練習

と考えていたのですが、今はそんなことないと感じています。

私が筋力トレーニングをしているジムやサッカーの研究をしているコートのそばにどちらもテニスコートがあるのですが、ときどき「みんな、なんであんなに弱くスイングしているんだろう」と思うときがあります。

「もしボールがなければ、あんな弱いスイングをしないはず」

スイングという動作だけを取ればもっと力強く、速くラケットを振れると思います。しかしボールに当てるとなると――とたんに動きが小さくなってしまったり、棒立ちのスイングになってしまうのかなと推察します。あるいは全力でラケットを振るとフォームが崩れてしまい、ボールがとんでもない方向へ飛んでいくことを心が恐れているのかもしれません。

でも、フェデラーやナダルの試合を改めて確認してみたら、コントロールショット以外は「あれ以上速くはスイングできなそう」という感じで打っています。

サッカーでも似たことが言えて、ボールがあると急に最速の身体の操作とは別のことをやり出してしまいます。すると、最速じゃない動作で練習することになり、その動作そのものは上手くなったとしても、それは身体にとって最速の動きではないのでは……。

サッカーにおける最速をじゃまする動きは、身体を止めてしまう動作=ボールをコントロールしようとスピードをダウンさせたり、軸足を作ってボールを止めたり蹴ったりする動作です。そうした「ボールがついたらとたんに遅くなる現象」をどうやって克服すればよいのでしょうか。

今回の動画は「GOTSフットボールスクール」の内田さんが考案した「複合トレーニング」です。サッカーの中で起きうるシチュエーションを連続させたものですが、ポイントは動画内のハルキの動きはすべて「ボール無しの動きとして成立している」というものです。

つまり「ボールが来たから構えて止まり、ボールを何とかしようとして動きが遅くなる」という場面がないのです。動画で確認してみてください。身体を移動させているスピードと足の運びをほぼまったく変えることなく、ボールと合流したり離れたりしているから滑らかに見える(止まっていないから滑らかに決まっている)のです。

今回の動画における移動速度は、ハルキにとっての100パーセントの速度ではないのですが(次の動作を見越したり、方向を変える必要があったり、味方との距離の関係もあるので)このスピードを100パーセントにしたり、逆に50パーセントに遅くしたりしてもボールコントロール自体が乱れることはほとんどないです。なぜならボール無しの身体操作がベースで、そこにボールがあろうがなかろうが同じ動きをするからです。

しゃべることと飴玉の関係を例にとります。

たとえば私たちは「こんにちは。元気ですか?」みたいなフレーズを早くしゃべったり遅くしゃべったりできます。つまり、しゃべるための動作の速さ自体は苦も無くコントロールできます

しかし、しゃべるための動作がそもそもできていなければ、速くしゃべることも遅くしゃべることもできません。当たり前ですよね。そしてしゃべるための動作ができていれば、たとえば飴玉をなめながらでも「こんにちは。元気ですか?」と言えます。

しかし飴玉を舌の上で激しく転がしたり、飴玉をカラカラ口の中で動かしたりといった、しゃべること自体とは別のことをしようとすると、突然しゃべることはできなくなります。

これは身体操作とボールの関係も同じだと思います。

ボール無しの動きが自由自在に、完璧にできていてこそ、そこにボールが乗っても問題ない。飴を口に入れているのを、相手に悟られないでしゃべれるみたいに、ボール無しの動き+微調節で、まるでボールがないかのごとくプレーすることが可能だと思うのです。

つまり私たち親子が見過ごしていたのは、身体の扱い方の方なのです。止まるとか移動するとか走るとかのメカニズムを軽視して、しゃべり方もしらずに、飴玉を転がしながらしゃべろうとしていたに近いのです。

そこを改めてから、つまり身体操作を見つめ直してからの成長は早かったです。

最初のボールを蹴るシーンも、ボールを蹴るというより、走り出しの一歩目がキックになっています。キック自体ではなく、走るときのフォームや股関節の動き、軸足を作らない(軸足の接地時間や体重移動)などのポイントを日々チェックしています。

次の「ボールを未来で受けるGoの動き」というのは、これから行きたい進行方向へ体を動かす過程でボールを受けるので、まったく体を止めることなくターンとトラップが成立していて、さらに次に走るために出てきた足がパスする足になっています。これは「走るときは、右足と左足が順番に出てくるでしょう」という大原則に基づいています

メッシステップは、外足で反発をもらって戻るステップですが、このステップは反対に、ハルキはドリブルのときにしか使っていなかったのですが、ボールがないときの移動や、マーク(縦軸)をずらすステップとして有用なのがわかりました。

メッシステップのあとのリターンパスをするときも、身体を止めることなく流して、蹴り足になった足がブレーキ足となり、そのままサイドにクロスステップ、方向転換のステップと流れていき、まるでダンスしているような動き(ディフェンス時のワンツー対応のステップ)になっています

これらは練習しはじめはぎこちなさマックスだったのですが、徐々になじんできました。身体をある動作になじませる速度は個人差があると思いますが、ダンスと同じで一度覚えてしまえば、考えなしにできるようになっていきます

そして最後は噂の筋疲労ゼロの4ステップ、さらに軸抜きターンで走りながら運び、走りながら蹴るを実現しています

これらはすべて「走る」「止まらない」がベースになっていて、そこに「ボールがある」という順序になっています。しゃべるが先で飴玉があとです

フットボールペアレンツの参考になると嬉しいです。


◎01~10

01 『親としてはやめてほしくない』
02 『できない子を笑わない』
03 『サッカー選手になれなかった人がフットサル選手になる』
04 『サッカーに熱心な親だらけ!』
05 『左足で走るのが苦手とかあり得る? 個人的には画期的な大発見』06 『走る(ドリブル)は誰でもできる』
07 『子どものプレーにイライラしがちなお父さんお母さんへ』
08 『両足で蹴ればシュート力は2倍になるぜ!!!』
09 『セレクションは気にしない!~12打数12安打11ホームランでも、まぁまぁはまぁまぁ』
10 『パパはゲームメーカー! ボールにいかないと世界がまったく変わります!』

◎11~20

11 『思い出しただけでイラつく経験を語っても……』
12 『ボールにいかない派とかじゃなく、目的は何かっていう話なんだけど』13 『ボールにいかないと1人目のディフェンスはいないも同然。味方はグラウンダーでパスを出さなくてもいいし、利き足じゃなくてもかまわない』
14 『子どもが主役の合宿は、世代を超えて受け継がれていた』
15 『イノシシやゴリラにプレスされても大丈夫! ~今が未来につながっている~』
16 『リフティング(1) ボールを拾って役立てようと 僕は思ったわけでもないが』
17『リフティング(2) 空に向かって蹴るのが楽しい!』
18 『リフティング(3)親と性格が違い過ぎると怒っちゃう問題はこうして解決した』
19 『リフティング(4)私たち親子が回数を目標にしなかった理由
20 『親視点(1)みんなドリブルでいっちゃうツライ日々』

◎21~30

21 『牛若丸ターン! ターン後の着地の姿勢で勝負がついていた』
22 『ドリブルの練習をやめたら劇的にうまくなりました』
23 『質問です。未来を意識していた人は誰でしょう? ゴールの角上とつながる』
24 『原文ママさん 手持ちの動画について意見を交わし合う場を作りました』
25 『世代なので死ぬまでにマラドーナのドリブルを身につけたい――運動神経がダメダメな私でも走れば抜けます
26 『ゴールへの意識があればレアルマドリードにもたどり着ける
27 『4ステップはつまずきそうで怖いという質問への回答』
28 『ギュンです! ボールに触れた瞬間に超絶加速する――写真の次のコマの形を当てられたらあなたは名選手に違いないです』
29 『続ギュンです! たいして傾いていなくてももちろん抜けます』
30 『ハルキの自主練なんて一回もみたことないです』

◎31~40

31 『内田史上最強の動き――研究手を基本動作にするプロセス』
32 『7番と9番へ! ディフェンス目線で整理する走る(ドリブル)2022年8月バージョン』
33 『トップ選手との対決で学んだこと――真夏の微妙な大実験』
34 『ボールにいっちゃっている状態とは何かよくわかります』
35 『手を動かしてイラストにしてみるとフォームを覚えられます――中西を描いてみる』
36 『フリーキックの練習を初めてしました』
37 『4ステップがない世界はもう考えられない』
38 『パパさんでも5人ダイレクト成功』
39 『ボールのレイヤーと身体のレイヤーが違うことで、滑らかなスーパープレーが生まれる』
40 『身体はオートマチック、判断はコース取り』

◎41~50

41『プロは目指すものじゃない――どうしても怒っちゃう自分を克服したきっかけ』
42 『ボールなしの練習は最重要!! しゃべるが先で飴玉は後』

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