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『ゴールへの意識があればレアルマドリードにもたどり着ける』フットボールペアレンツ026

藍澤誠/Jの先生です。

今日は「ゴールの意識」についてです。

「ゴールを意識しよう!」という言葉を耳にしますが、逆に「ゴールを意識しない」というのはどういう状態なんでしょう?

サッカーもフットサルも得点を競うゲームなので、得点を意識しないでプレーするのは「完全に無意味」なわけで、そのゴールを意識しないのは、とても変な状態ということになります。たとえば目的地を意識しないで自宅を出発するとしたら、どこへたどり着くのでしょう。初手からどうしていいかわかりません。歩きか車かも選べません。

目的を失ったら完全に無意味ですよね。私は横浜のGOTSスクールにハルキ(15歳高校1年生)と毎週、東京から1時間かけて自動車で通っていますがこのスクールに行くのに、目的地を「スクールに行くこと」に設定しなかったら当然ですが到着しません

ここを目指さなくては無意味です。行くためのルートはいろいろあります。近い道も遠い道も、渋滞しやすい道も、抜け道もあります。でもそれらはゴールにつながっていてこそ意味を成します

制限時間もかなり重要です。東京から南の神奈川に行くのに、真逆の埼玉を経由して向かうのは、行けないこともないけれど時間オーバーは確実です。スクールの時間は月曜日は17:00~20:00、金曜日は19:00~21:00。目的地にはつくけれど時間オーバーはコートが使えないのでアウトです。となると「時間内に目的地に着く」のが目標になり、ゴールの設定が少し厳密になります。

こんな感じでいろいろゴールの設定を足し算していくと「時間内に目的地に、怪我無く、サッカーができる道具を持った状態で、学びたいことがある程度明快になった状態で、できれば楽しい気持ちで行く」とかになります。

でも――このゴール設定を見返してみると、道具はなくても借りればできるかとか、学びたいことは現地で生まれるかもしれないとか、怪我していても死ぬほどじゃなければできるとか、楽しくなくてもやっているうちにテンションが上がるかもとか考えていると、どうしても外せないのは「時間内に、目的地に着く」ことなのかな、と思ったりします。

しかしです。時間内に目的地に着くことは真の目的でしょうか? 時間内に目的地に着くためにスクールに行っているんでしょうか? それは違います。目的地に時間内に着くだけでは意味がないです。自分たちの目標を叶えるために、横浜の練習会場(私のイメージだとサッカーを研究する場所)へ行っているのです。

自分たちの目標という大目標の手段として、スクールに通うという小目標があることに改めて気づきます。大目標を叶えるルートは、GOTSスクール経由しかないのでしょうか。これもNOです。ほかにも無限の選択肢があります。それでもここを選ぶ理由は「たった今、自分たちを成長させることができていると感じるから」であって、その成長の方向が自分たちが目的地に近づいていると感じさせてくれるものであるから続けているわけです。

となると、スクールでの練習を通していかに成長するかが大事になります。そしてここでもまた、成長につながる要素はたくさん列挙できるので、何を大切にしたらいいのかの絞り込みが必要になります。

たとえば挨拶をするとか、仲間と協調するとか、道具を大切にするとか、元気よくプレーするとか、その瞬間をエンジョイするとか、いろいろな学びや意義がたくさんありますが「じゃあ道具を大切にすることが一番大事だね」といわれるとそんなはずはなく、「挨拶すること」も気持ちいいし、私はちゃんとしますけれど、「挨拶を元気にする力を身につけるために横浜まで行っている」と考えるのは明らかに変ですよね。

自分たちのゴールである「理想的な選手」になるために行っている

目標が整理されました。そして理想の選手像は、「ゴールを誰よりも奪える選手」であるから、「ゴールする能力を高めること」が大切で、だからトレーニングにおいては、「1つ1つの練習をすることで、プロの舞台でゴールを上げられる可能性が高まったか」を冷静に判断することが大切になります。

夢の実現の可能性を高めるために、教えてくれる仲間のアイデアや見解を謙虚に聞く。そこに参加している人の成功もエラーも全部学びに変える。録画して何度も編集して見直して、それをアップして共有して、こうして時間をかけてでも言語化して、仲間や協力者を増やして、みんなで意見を交換して目標に近づく。

独りよがりやファンタジーになりがちな自分の意見や分析を客観視する機会を作っていく。みんなで成長できる循環を作って、お互いのモチベーションと成長の速度を加速させる。環境をみんなで良くしていく。

走るドリブルで相手を何人かわせても「シュートが入らないと意味がない」という事実を受け止める。絶対に入るシュートってあるのか? あるとしたらそれはどんなコースか。キーパーとの駆け引きすら不要なシュートとは? そのシュートを成立させるための物理的条件は? 相手がファンダイクやカンテやドンナルンマでもゴールをとれるのか? 

そのためには何をすればいいのか。すぐに解決できること、時間がかかること。ていねいに整理して、月にロケットを飛ばすように、注意深く計算する。

このように見てくると「ただ練習会場に行って、なんとなくサッカーをする」ということはあり得ません。自分自身の目標を見失わない。それだけ気を付けていれば、すべてがそろってきます。

今日の連動動画は「カウンターから一気にシュート」です。

動画内でハルキは自陣の一番深い右サイドにいます。そこからシュートまで一気に持っていきます。この位置からも「ゴールの意識」は持っています。ゴールの意識を持たないと、サッカーとして無意味であり、「サッカーとして無意味な行為をする選手」になるためにスクールに通っているわけではありません。

だからハルキはボールが来た瞬間、最善手としてボールを相手ゴール前まで運ぶプレーを選択しました。このとき自分の現在地が将棋で言うところの8筋にいて、あと9筋のレーンが大外に残っていることを確認し、そこに持ち出し一気に加速します。

加速して敵陣に入りますが、シュートをゴールに入れることが目的です。ですからゴールの位置とスペースと相手を確認することが必要です。そのためにボールを必要以上にタッチしません。

そして「ダッシュしてきた紫の選手を置き去りにすれば即、左足でシュートを打てる」というイメージに忠実に、ボールを右足でブレーキングしたとたん、左にスライドするという一連の動作でシュートを放ちます。この動作はGOTSスクールで何度もトレーニングした身体操作の結実です。

昨日も筋肉痛の中、親子二人でジムに行きました。「大森アップ」をしながら、発見した新しい動き方について語りながら、楽しく、そして激しくトレーニングしてきました。そうした毎日が一つ一つのプレーを高めてくれると理解・実感しているから続けられます。

今回のシュートはポストに当たり入りませんでしたが、ここまでのすべての動きは、動画に撮っているからこそ振り返ることができることであって、もちろん経験とかイメージには残るのでしょうけれど、動画があると「良かったプレー」や「改善点」をチェックできるのは言うまでもないです。

こうしてまだ会ったことのない仲間にもハルキのプレーの良さや課題が伝わるのも、すべて動画のおかげです。動画とその分析が成長を早めてくれます。

動画の最初の部分で、チェックしてきた相手がリバプールのジョタでも外せる動きだったのか。シュート直前の相手がファンダイクでも通じる動きだったのか。予想になってしまいますが、常に「自分たちの目標」との関係でパフォーマンスをチェックします。自分がレアルマドリードにいたとして活躍できるかが大事です。

と同時に、スクールに参加している人たち全員の、さまざまな目標もリスペクトします。いろいろな年齢の、いろいろな性別の、いろいろな夢や動機をもった仲間が参加しています。親ももちろん仲間で、親の抱くさまざまな目標もリスペクトします。

おのおのの目標がわかりやすい形で表現されていなくても、自分たちと同じように夢や目標を持っていることを前提とする。ならばそれに少しでも協力できることがあれば私はやりたいと思って、明るい気持ちでみんなに声をかけながらプレーしたり撮影したりしています

今回の動画の中でも、主にフィジカルトレーニングを担当している大森さんが「ハルーキ、ハルーキ!」と声援を送ってくれています。主にフットボールを担当している内田さんは「いいぞハルキ!」とすぐにほめてくれました。

これがどんなに嬉しくてありがたいことか。スペインではなく日本で、しかもどこにも所属していない心細さを吹き飛ばしてくれる声援と評価です。それを力にしてハルキはプレーしますし、私は動画を編集しながら感謝し、次も通おうって思っています。イベントの情報はtwitterでリツイートもします。協力できることがあれば小さいことでも確実にします。

というような気持ちを起こさせてくれる意味でも、動画とその分析はとても大事です。

動画の編集と分析は誰がやるのか。プレイヤーがやることもあるでしょうが、親である私がやっています。ハルキと同じ目標を共有する者として。そしてこのメンバーシップをよりよい集団にできる者として。

頼まれれば他の人の動画も分析します。みんなで得意な事、できるスキルやビジョンを持ち寄って協力するのが一番だと思います。だからメンバーシップをやっています。それもスポーツに偏らないように学びと合わせて。私ができることとしたいことをミックスさせました。

私自身に関して言うと、自分は本当に愚鈍で、悪い意味で夢見がちなので、分析や評価が、最先端とズレていないか。悪い意味で楽観的になっていないか。物理的に反していることを思い描いていないか。新しい文化的価値を生む何かが自分のの行動にあるのかを常にチェックしたい。だからこそ、客観性がある、そして既存のものではなく新しい学びが必要です。

明日(2022年8月18日)は、面識がまったくない人たちが主催するスペインサッカーのセミナーで学んできます。来週はフーガドールすみだの清水兄弟のクリニックに参加してきます。

自分たちの目的を忘れない。相手の目的も念頭に置く。そしてメンバーシップを読んでくれている仲間に少しでも還元できる何かを持ち帰ることを忘れない。単騎で挑んだりしないで、新しい仲間を増やしながら、みんなで協力してよりよい社会を創っていきたいです。

大人も子どもも、サッカーとかフットサルとか、ジャンルなんてすべて関係なく、それぞれがナイスゴールできますようにと願って「公開設定」という投稿ボタンを今日も押します。明日も押します。明後日も。ベルナベウでゴールを上げる日まで毎日。そして支えてくれる仲間のひとりひとりにリスペクト!

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