ホロロギ

北海道出身のゲームクリエイター志望。シナリオ担当。イラストも描けるがアマチュア。週に一…

ホロロギ

北海道出身のゲームクリエイター志望。シナリオ担当。イラストも描けるがアマチュア。週に一度、なんらかの記事を投稿している(たまに休む)。

マガジン

  • 創作物の陳列棚

    短編小説、コミックエッセイなどです。「この人、普段どんなの作っとるんだ?」と思われたら、是非覗いていってください。

記事一覧

最近なにか書いてる?

年配の男性の同僚に、世間話をしていたついでに「最近、何か小説書いてる?」と訊かれた。 彼には、私がnoteに投稿した短編小説「グズの男」を、投稿前に読んでもらったこ…

ホロロギ
7日前
15

夢も希望もなくても次はある

私と相棒の間には、共通の友人が数人いる。 その中に、一時期一緒にゲームを作ろうと、サークルを結成した人物がいる。 去年のことだったか、いろいろな理由で、そのゲー…

ホロロギ
2週間前
18

「最愛カスタマイズ」第3話

シーン1 住宅街(夕) 閑静な住宅地のただなか、一人で家路をたどる、無表情の最愛。 その後を追う不審者。正体は、春日ソフトウェアの社員で、戦闘アプリの開発担当者…

ホロロギ
1か月前
6

「最愛カスタマイズ」第2話

シーン1 春日家(夕) 四月下旬の某日。 最愛の父親・小太郎が帰宅する。春日家のリビングのドアを開け、小太郎がスーツ姿でバッグを提げて現れる。 小太郎「ただいま…

ホロロギ
1か月前
3

「最愛カスタマイズ」第1話

《本編》 シーン1 私立古手川学院高校一年一組の教室(昼) 四月中旬、某日。 机についている最愛の手元。数本のドライバーを駆使し、ガジェットの蓋を開けて、調整を…

ホロロギ
1か月前
7

嫌われる主人公は猫を助けよ

私は文章を書くことが好きだ。 しかし、いまだにどんなジャンルが向いているか模索している。 小説や童話、ゲームシナリオなど、さまざまな創作に挑戦し、自分の適性を探っ…

ホロロギ
1か月前
19

この世で最もピュアな承認欲求

承認欲求との付き合い方は、未熟で自信のない創作者にとって、大きな課題なのではないだろうか。 社会に出ると否が応でも、自尊心をズタズタにされる出来事に見舞われる。…

ホロロギ
2か月前
27

鳥山明に感動して体調を崩す

私の相棒は、良質な作品に触れると、必ず体調を崩す。 最初にその現場を目撃したのは、アニメーターでありイラストレーターの米山舞さんの作品集「EYE」を書店で手に取った…

ホロロギ
2か月前
46

AI対策でバスキアに助太刀を頼んだ

あてどなく、アート関連の動画をあさっている。 イラストレーター志望の相棒が、画像生成AIの台頭によって、自分の積み上げてきた知識や技術が水泡に帰すのではと、苦悩す…

ホロロギ
2か月前
17

君の意見は聞いてませんという出来事

若い頃は特に、職場の上司に「君の意見は聞いてませんよ」という態度を取られることが多かった。 十九歳の時、一年間、事務のアルバイトをしていた。 当時、係長のもとに、…

ホロロギ
2か月前
44

創作者クラスチェンジ!

創作を円滑にするための型を、いろいろと試したり、使いやすく微調整したりしている。 例えば、物語を作る上で「起承転結」という型がある。 これを「起承転転」にして、「…

ホロロギ
3か月前
13

魔王ホロロギと鼻の孔のデカい勇者

作家が小説を書くにあたって、最初にテーマを決める。 その後、どういう表現をするかを考える。ストーリーやキャラクター、結末などを決めていく。 角田光代さんや辻村深月…

ホロロギ
3か月前
11

人から影響を受けやすいよね

感受性が良いことを褒めてもらえるのは、十歳くらいまでだと思う。 それを過ぎると、途端に「クサイ」「厨二病」と誹謗されがちだ。 豊かな感性から生まれたはずのイメージ…

ホロロギ
3か月前
17

フォトジェニックな人

うつ病は、心身とも、強い疲労感にさいなまれる病気だ。 とはいえ、家にこもってばかりになると、体もなまるし、気も滅入ってくる。 適切な抗うつ薬が処方され、外に出られ…

ホロロギ
4か月前
37

佐藤宏美個展「mymyth」の思い出

ゲーム制作の相棒が、先日、とある個展に行きたいと言い出した。 「何の個展?」と問うと、見せられたのがこの記事のヘッダー画像。 色彩のない写真だったこともあり、私は…

ホロロギ
4か月前
22

マンガ「ぶんかちゅ」

キャラクター原案:暗号化エンリ 作画:ホロロギ

ホロロギ
5か月前
18
最近なにか書いてる?

最近なにか書いてる?

年配の男性の同僚に、世間話をしていたついでに「最近、何か小説書いてる?」と訊かれた。
彼には、私がnoteに投稿した短編小説「グズの男」を、投稿前に読んでもらったことがあった。

私は「どこか気になるところ、あります?」と、小説を読んでもらった折に、その男性に聞いた。
彼は、「どこかあった気がするけど……」と言いながら、慣れていないふうに、パソコンの画面をスクロールしていた。
結局、気になるところ

もっとみる
夢も希望もなくても次はある

夢も希望もなくても次はある

私と相棒の間には、共通の友人が数人いる。
その中に、一時期一緒にゲームを作ろうと、サークルを結成した人物がいる。

去年のことだったか、いろいろな理由で、そのゲーム制作のサークルを解散した。
その後、その人がどうしているか、私は相棒に尋ねた。
すると相棒は「あいつはダメです」と呆れたふうに返してきた。
その人は、まだ二十代の若者だった。誰が見ても、人生はこれからと言えた。いろいろなことに挑戦できる

もっとみる
「最愛カスタマイズ」第3話

「最愛カスタマイズ」第3話

シーン1 住宅街(夕)

閑静な住宅地のただなか、一人で家路をたどる、無表情の最愛。
その後を追う不審者。正体は、春日ソフトウェアの社員で、戦闘アプリの開発担当者の間渕。

間渕「最愛ちゃん」

話しかけられ、振り返る最愛。

最愛「間渕さん」

黒っぽい服装の間渕が、やや離れたところに立っている。穏やかな微笑を浮かべている。

間渕「久しぶり」
最愛「どうしたんですか?」
間渕「社長からのお達し

もっとみる
「最愛カスタマイズ」第2話

「最愛カスタマイズ」第2話

シーン1 春日家(夕)

四月下旬の某日。
最愛の父親・小太郎が帰宅する。春日家のリビングのドアを開け、小太郎がスーツ姿でバッグを提げて現れる。

小太郎「ただいまー……」

ドアを後ろ手に閉める小太郎の前に、立ちはだかる人影。
部屋着姿の最愛が、いきなり小太郎の正面から、片手をついて凄む。

最愛「パパ、私に言うことあるよね?」
小太郎「えっ? えっ? なに怒ってるの?」

バッグを抱きしめて、

もっとみる
「最愛カスタマイズ」第1話

「最愛カスタマイズ」第1話

《本編》

シーン1 私立古手川学院高校一年一組の教室(昼)

四月中旬、某日。
机についている最愛の手元。数本のドライバーを駆使し、ガジェットの蓋を開けて、調整をしている。

最愛M(モノローグ)『カスタマイズは、私の人生で最も大事なこと。ずっと愛せるものに囲まれていたいから』

完成したガジェットを掲げて、席を立ちあがる最愛。

最愛「できたー!」

静まり返る教室。黒板には「研究発表」の文字

もっとみる
嫌われる主人公は猫を助けよ

嫌われる主人公は猫を助けよ

私は文章を書くことが好きだ。
しかし、いまだにどんなジャンルが向いているか模索している。
小説や童話、ゲームシナリオなど、さまざまな創作に挑戦し、自分の適性を探ってきた。
シナリオの書き方に限ってみると、映画だのゲームだの、いろいろな媒体の本が、本棚に取り揃えられている。ハリウッド脚本術の本だけでも、三巻まで揃っている。
結果は出せていないものの、我ながら足掻いてきたのだなぁと感慨深くなるものだ。

もっとみる
この世で最もピュアな承認欲求

この世で最もピュアな承認欲求

承認欲求との付き合い方は、未熟で自信のない創作者にとって、大きな課題なのではないだろうか。
社会に出ると否が応でも、自尊心をズタズタにされる出来事に見舞われる。そうなると、もう自分のことが好きではいられない。自己嫌悪がむくむくと湧いてきて、さいなまれる。

私も承認欲求にたびたび振り回されている一人だ。
自分はこういうものが好き。こんなものを作りたい。そういった自分の好みのジャンルや方向性を、明確

もっとみる
鳥山明に感動して体調を崩す

鳥山明に感動して体調を崩す

私の相棒は、良質な作品に触れると、必ず体調を崩す。
最初にその現場を目撃したのは、アニメーターでありイラストレーターの米山舞さんの作品集「EYE」を書店で手に取った時だった。

あまりにも画力と表現力が高く、作品は美しくて自然。デジタルイラストでありながら、アナログな趣向もあり、親近感を覚える。そして高度なデフォルメの技術には、サブカルの可能性を思わずにはいられなかった。

相棒はすっかり打ちのめ

もっとみる
AI対策でバスキアに助太刀を頼んだ

AI対策でバスキアに助太刀を頼んだ

あてどなく、アート関連の動画をあさっている。
イラストレーター志望の相棒が、画像生成AIの台頭によって、自分の積み上げてきた知識や技術が水泡に帰すのではと、苦悩することが増えた。

SNSでは、他のイラストレーターの作品が、勝手にAIに学習され、イラストレーターが創作者生命を絶たれるようなことが横行していると耳にする。
もし相棒の作品も、悪意のある人に盗まれてAIに学習されたり、創作者生命を絶たれ

もっとみる
君の意見は聞いてませんという出来事

君の意見は聞いてませんという出来事

若い頃は特に、職場の上司に「君の意見は聞いてませんよ」という態度を取られることが多かった。
十九歳の時、一年間、事務のアルバイトをしていた。
当時、係長のもとに、六十代くらいの男性が、しばしばお客さんとして顔を出していた。
その日も男性はやって来て、立ったまま係長と何かを話していた。
どういう経緯だったのかは覚えていないが、「グスベリ」って何だろう、という話題になった。

「グスベリ」というのは「

もっとみる
創作者クラスチェンジ!

創作者クラスチェンジ!

創作を円滑にするための型を、いろいろと試したり、使いやすく微調整したりしている。
例えば、物語を作る上で「起承転結」という型がある。
これを「起承転転」にして、「結」を読者に意識させないくらい、あっさり控えめにした方が収まりがいい、とか。
そういう型の試行錯誤をしている。

前は、こういう理論を、自分の創作に適用することをしなかった。
書きたいものを、書きたいように書いていた。

他者の創作論など

もっとみる
魔王ホロロギと鼻の孔のデカい勇者

魔王ホロロギと鼻の孔のデカい勇者

作家が小説を書くにあたって、最初にテーマを決める。
その後、どういう表現をするかを考える。ストーリーやキャラクター、結末などを決めていく。
角田光代さんや辻村深月さんといったプロ作家のインタビューを拝見すると、それぞれ決まった創作のプロセスがあるようだ。

いくつか創作論の本を読んだところ、ドラマが生まれるのは多くの場合、誰かと誰かが対立した時だ。
いや、対立とまでいかなくてもいい。ただ一緒に行動

もっとみる
人から影響を受けやすいよね

人から影響を受けやすいよね

感受性が良いことを褒めてもらえるのは、十歳くらいまでだと思う。
それを過ぎると、途端に「クサイ」「厨二病」と誹謗されがちだ。
豊かな感性から生まれたはずのイメージや言葉が、だんだんと周りの感性にそぐわなくなっていくのだろう。

私が十六歳の時、思春期らしく、親のことで悩んでいた。
親が過干渉で、好きなロックバンドのライブに出かけることができなかった。
同級生たちは、高校に進学した途端に髪を染めたり

もっとみる
フォトジェニックな人

フォトジェニックな人

うつ病は、心身とも、強い疲労感にさいなまれる病気だ。
とはいえ、家にこもってばかりになると、体もなまるし、気も滅入ってくる。
適切な抗うつ薬が処方され、外に出られるようになったのは、かれこれ十年ほど前になる。
ある日、一念発起し、Nikonのデジタルカメラを買った。
インスタグラムにアカウントを作り、発表する場所もできた。
精神科の主治医には、写真を撮る目的での散歩をすることに、大いに賛同してもら

もっとみる
佐藤宏美個展「mymyth」の思い出

佐藤宏美個展「mymyth」の思い出

ゲーム制作の相棒が、先日、とある個展に行きたいと言い出した。
「何の個展?」と問うと、見せられたのがこの記事のヘッダー画像。
色彩のない写真だったこともあり、私は最初、何かの生き物の死骸かと思った。本当は死骸ではなかったものの、生命の重さやリアリティのようなものが見て取れた。
それが、アーティスト・佐藤宏美さんの創作物の第一印象だった。

佐藤宏美さんの個展「mymyth」(マイミスと読み、「私の

もっとみる
マンガ「ぶんかちゅ」

マンガ「ぶんかちゅ」

キャラクター原案:暗号化エンリ
作画:ホロロギ