ホロロギ

北海道出身のゲームクリエイター志望。シナリオ担当。イラストも描けるがアマチュア。週に一…

ホロロギ

北海道出身のゲームクリエイター志望。シナリオ担当。イラストも描けるがアマチュア。週に一度、なんらかの記事を投稿している(たまに休む)。

マガジン

  • 創作物の陳列棚

    短編小説、コミックエッセイなどです。「この人、普段どんなの作っとるんだ?」と思われたら、是非覗いていってください。

最近の記事

「最愛カスタマイズ」第3話

シーン1 住宅街(夕) 閑静な住宅地のただなか、一人で家路をたどる、無表情の最愛。 その後を追う不審者。正体は、春日ソフトウェアの社員で、戦闘アプリの開発担当者の間渕。 間渕「最愛ちゃん」 話しかけられ、振り返る最愛。 最愛「間渕さん」 黒っぽい服装の間渕が、やや離れたところに立っている。穏やかな微笑を浮かべている。 間渕「久しぶり」 最愛「どうしたんですか?」 間渕「社長からのお達しでね。君から、戦闘アプリの入ったガジェットを回収してほしいって。急ぎだそうだから

    • 「最愛カスタマイズ」第2話

      シーン1 春日家(夕) 四月下旬の某日。 最愛の父親・小太郎が帰宅する。春日家のリビングのドアを開け、小太郎がスーツ姿でバッグを提げて現れる。 小太郎「ただいまー……」 ドアを後ろ手に閉める小太郎の前に、立ちはだかる人影。 部屋着姿の最愛が、いきなり小太郎の正面から、片手をついて凄む。 最愛「パパ、私に言うことあるよね?」 小太郎「えっ? えっ? なに怒ってるの?」 バッグを抱きしめて、徐々に腰を落とす小太郎。 暗い笑顔を浮かべて迫る最愛。 最愛「パパの戦闘アプリ

      • 「最愛カスタマイズ」第1話

        《本編》 シーン1 私立古手川学院高校一年一組の教室(昼) 四月中旬、某日。 机についている最愛の手元。数本のドライバーを駆使し、ガジェットの蓋を開けて、調整をしている。 最愛M(モノローグ)『カスタマイズは、私の人生で最も大事なこと。ずっと愛せるものに囲まれていたいから』 完成したガジェットを掲げて、席を立ちあがる最愛。 最愛「できたー!」 静まり返る教室。黒板には「研究発表」の文字。 黒板消しを片手に、発表中だった菊正が、教壇に立ち尽くしている。 恩田先生や生

        • 嫌われる主人公は猫を助けよ

          私は文章を書くことが好きだ。 しかし、いまだにどんなジャンルが向いているか模索している。 小説や童話、ゲームシナリオなど、さまざまな創作に挑戦し、自分の適性を探ってきた。 シナリオの書き方に限ってみると、映画だのゲームだの、いろいろな媒体の本が、本棚に取り揃えられている。ハリウッド脚本術の本だけでも、三巻まで揃っている。 結果は出せていないものの、我ながら足掻いてきたのだなぁと感慨深くなるものだ。 私は、本を一読しただけでは、内容をすぐに理解することができない。 おそらく生

        「最愛カスタマイズ」第3話

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        • 創作物の陳列棚
          6本

        記事

          この世で最もピュアな承認欲求

          承認欲求との付き合い方は、未熟で自信のない創作者にとって、大きな課題なのではないだろうか。 社会に出ると否が応でも、自尊心をズタズタにされる出来事に見舞われる。そうなると、もう自分のことが好きではいられない。自己嫌悪がむくむくと湧いてきて、さいなまれる。 私も承認欲求にたびたび振り回されている一人だ。 自分はこういうものが好き。こんなものを作りたい。そういった自分の好みのジャンルや方向性を、明確に自覚している。 しかし、それが世の中のトレンドとかけ離れていたら、ダメかもしれ

          この世で最もピュアな承認欲求

          鳥山明に感動して体調を崩す

          私の相棒は、良質な作品に触れると、必ず体調を崩す。 最初にその現場を目撃したのは、アニメーターでありイラストレーターの米山舞さんの作品集「EYE」を書店で手に取った時だった。 あまりにも画力と表現力が高く、作品は美しくて自然。デジタルイラストでありながら、アナログな趣向もあり、親近感を覚える。そして高度なデフォルメの技術には、サブカルの可能性を思わずにはいられなかった。 相棒はすっかり打ちのめされた。情緒不安定になり、家に帰るのもやっと。翌日も寝込んで、仕事を休んでしまう

          鳥山明に感動して体調を崩す

          AI対策でバスキアに助太刀を頼んだ

          あてどなく、アート関連の動画をあさっている。 イラストレーター志望の相棒が、画像生成AIの台頭によって、自分の積み上げてきた知識や技術が水泡に帰すのではと、苦悩することが増えた。 SNSでは、他のイラストレーターの作品が、勝手にAIに学習され、イラストレーターが創作者生命を絶たれるようなことが横行していると耳にする。 もし相棒の作品も、悪意のある人に盗まれてAIに学習されたり、創作者生命を絶たれたりするようなことが起きたら、私も平静ではいられない。 なんとか活路を見いだすこ

          AI対策でバスキアに助太刀を頼んだ

          君の意見は聞いてませんという出来事

          若い頃は特に、職場の上司に「君の意見は聞いてませんよ」という態度を取られることが多かった。 十九歳の時、一年間、事務のアルバイトをしていた。 当時、係長のもとに、六十代くらいの男性が、しばしばお客さんとして顔を出していた。 その日も男性はやって来て、立ったまま係長と何かを話していた。 どういう経緯だったのかは覚えていないが、「グスベリ」って何だろう、という話題になった。 「グスベリ」というのは「グーズベリー」の通称である。 ジーニアス英和大辞典によるとgooseberryと

          君の意見は聞いてませんという出来事

          創作者クラスチェンジ!

          創作を円滑にするための型を、いろいろと試したり、使いやすく微調整したりしている。 例えば、物語を作る上で「起承転結」という型がある。 これを「起承転転」にして、「結」を読者に意識させないくらい、あっさり控えめにした方が収まりがいい、とか。 そういう型の試行錯誤をしている。 前は、こういう理論を、自分の創作に適用することをしなかった。 書きたいものを、書きたいように書いていた。 他者の創作論などを読むと、「自分の書きたいものを書くのではなく、読みたいものを書きなさい」という

          創作者クラスチェンジ!

          魔王ホロロギと鼻の孔のデカい勇者

          作家が小説を書くにあたって、最初にテーマを決める。 その後、どういう表現をするかを考える。ストーリーやキャラクター、結末などを決めていく。 角田光代さんや辻村深月さんといったプロ作家のインタビューを拝見すると、それぞれ決まった創作のプロセスがあるようだ。 いくつか創作論の本を読んだところ、ドラマが生まれるのは多くの場合、誰かと誰かが対立した時だ。 いや、対立とまでいかなくてもいい。ただ一緒に行動するだけでも、互いに影響し合い、ドラマが生まれる。 人間関係というものは、軋轢も

          魔王ホロロギと鼻の孔のデカい勇者

          人から影響を受けやすいよね

          感受性が良いことを褒めてもらえるのは、十歳くらいまでだと思う。 それを過ぎると、途端に「クサイ」「厨二病」と誹謗されがちだ。 豊かな感性から生まれたはずのイメージや言葉が、だんだんと周りの感性にそぐわなくなっていくのだろう。 私が十六歳の時、思春期らしく、親のことで悩んでいた。 親が過干渉で、好きなロックバンドのライブに出かけることができなかった。 同級生たちは、高校に進学した途端に髪を染めたり、彼氏彼女ができたりと、思い思いに遊んでいる。 それなのに私は、従順で真面目でな

          人から影響を受けやすいよね

          フォトジェニックな人

          うつ病は、心身とも、強い疲労感にさいなまれる病気だ。 とはいえ、家にこもってばかりになると、体もなまるし、気も滅入ってくる。 適切な抗うつ薬が処方され、外に出られるようになったのは、かれこれ十年ほど前になる。 ある日、一念発起し、Nikonのデジタルカメラを買った。 インスタグラムにアカウントを作り、発表する場所もできた。 精神科の主治医には、写真を撮る目的での散歩をすることに、大いに賛同してもらえた。 天気のいい日はできるだけ、カメラをぶら下げて外出するようにした。 バッ

          フォトジェニックな人

          佐藤宏美個展「mymyth」の思い出

          ゲーム制作の相棒が、先日、とある個展に行きたいと言い出した。 「何の個展?」と問うと、見せられたのがこの記事のヘッダー画像。 色彩のない写真だったこともあり、私は最初、何かの生き物の死骸かと思った。本当は死骸ではなかったものの、生命の重さやリアリティのようなものが見て取れた。 それが、アーティスト・佐藤宏美さんの創作物の第一印象だった。 佐藤宏美さんの個展「mymyth」(マイミスと読み、「私の神話」という意味)へ、そんなわけで相棒と行ってきた。 初日の18時から、ギャラリ

          佐藤宏美個展「mymyth」の思い出

          マンガ「ぶんかちゅ」

          キャラクター原案:暗号化エンリ 作画:ホロロギ

          マンガ「ぶんかちゅ」

          笹倉鉄平のアーティスティックな瞳

          笹倉鉄平という画家をご存知だろうか。 海外の港の風景をファンタジックに描く人で、「光の情景画家」と呼ばれる。 私がこの画家の絵を知ったのは、二十歳くらいの時だった。大きい文房具屋の一階にカレンダーの売り場があり、そこで販売されていた一つが目に留まった。 やんわりとした青と紫の溶け合う宵闇に、ふわっと染まっている港町が、うきうきするような光であふれている。笹倉鉄平の絵を用いたカレンダーだった。 アートについて門外漢の私は、「どうしたらこんな景色が見えるんだろう?」と素直に思った

          笹倉鉄平のアーティスティックな瞳

          ワコム国際芸術祭2024の思い出

          noteでの投稿が、とうとう100回を数えました。 今日はイベントレポなどをしてみようと思います。 今年2月17日、北海道札幌市で行われた「ワコム国際芸術祭(WIAF)」に、私は相棒とともに行ってきました。 私も相棒も、ワコム製品のヘビーユーザー。二人ともCintiq 16という液晶タブレットを使って、修行をしたり作品を作ったりしています。 このほど、ワコムのイベントが、札幌市民交流プラザで催されるということで、二人で足を運ぶことにしました。 札幌市民交流プラザを訪れるの

          ワコム国際芸術祭2024の思い出