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『太陽と、帰ってきた夜の話』 作/森下オーク
燕尾服を着たおじさんが、太陽をもう1つつくろうと言いました。「太陽が2つあれば、夜も明るいです!」と言います。
みんなは、それがよいことなのか、よくわかりませんでしたが、ぼんやりと考えている間に、2つ目の太陽ができました。
2つ目の太陽のお陰で、夜は昼間のように明るくなり、子どもたちの遊ぶ時間と、大人たちの働く時間が増えました。
燕尾服を着たおじさんが、太陽をもう1つつくろうと言いま
『素晴らしい口』 作/森下オーク
燕尾服を着たおじさんは、素晴らしい口をもっています。
次から次に、素晴らしいお話をします。
「ここからずっ〜と海を越えた西の果てには、時間もお金も気にしなくていい、いつも快適で、なんでも願いが叶うユートピアがあります!
みんなは、燕尾服を着たおじさんの話を聴いて、ユートピアに行きたくて、しょうがない!
みなさんのお家にあるもの、出来ることを出し合って、なんでも願いが叶うユートピア
メトロノームと燕尾服を着たおじさん
メトロノーム
右から左へ 左から右へ
テンポに合わせて
ピアノを弾くのだけれど
いつのまにかにずれてしまう
おかしいなと思って
周りをみると
みんな、テンポが合っていない
みんな、苦しそうに弾いている
あの人は誰だろう?
燕尾服を着たおじさん
ときおり、メトロノームの針を止め
違うテンポに変えてしまう
一生懸命なみんなは気づかない
『灯台守の詩』 作/森下オーク
灯台守はいつも海を見ています。
朝焼けの海を、真昼の海を、夕焼けの海を、真夜中の海を。
灯台守は海を見るのが好きでした。
波の音を聞くのが好きでした。
(今日はよく、晴れているな)
灯台守は、灯台のガラスの玉を磨きながらそう思いました。
遠くの空は水色に染まり、だんだんと近く青さを増し、海は更に青く、青く広がっていました。海鳥たちが白く大きな雲の真下で、上へ下へと自由に翼を広げて飛んでいま
『雲の塔とディペンドラ』 作/森下オーク
むかしむかしあるところに、それはそれは美しい塔がありました。青空に白く輝くその塔を、村人たちは雲の塔とよんでいました。雲の塔のもと、村では麦や野菜を作り、願いを捧げ、歌を歌い、村人たちは幸せに暮らしていました。
そんなある日、村の外れに、戦いの国から戦いに敗れた王子が、辿り着きました。ボロボロの身体で痩せこけた王子の目に生気はありません。よろよろと草むらに倒れ込んだ王子は、そのまま息絶えてし