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油断していたら希薄になる自分。 それでも構わないのだけれど、なんだか頑張って現実社会に…

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油断していたら希薄になる自分。 それでも構わないのだけれど、なんだか頑張って現実社会に留まり渡世しています。 noteの使い方は定まっていませんが、 写真/文章/童話/郷里/人 を綴ることになります。 童話は、作/森下オーク、で。 暫くは試験運行が続きます、、、。

最近の記事

『大きな犬と、小さな亀の話』  作/森下オーク

 よく晴れた日のことでした。橋の上で、大きな犬があっちへうろうろ、こっちへうろうろ。うろうろしては、座り込んで、悲しげな顔で橋の下に流れる川を眺めています。  川岸を一匹の小さな亀がトコトコと、歩いてきました。小さな亀は、橋の上を見上げて大きな犬に言いました。 「きみは、さっきからそこで何をしているんだい?ぼくが太陽を浴びている間、ずっとそうしていただろう。」  大きな犬は、橋の下の小さな亀に言いました。 「ぼくは、川に家の鍵を落としてしまって、本当に困っているんだ。

    • 『太陽と、帰ってきた夜の話』 作/森下オーク

       燕尾服を着たおじさんが、太陽をもう1つつくろうと言いました。「太陽が2つあれば、夜も明るいです!」と言います。  みんなは、それがよいことなのか、よくわかりませんでしたが、ぼんやりと考えている間に、2つ目の太陽ができました。  2つ目の太陽のお陰で、夜は昼間のように明るくなり、子どもたちの遊ぶ時間と、大人たちの働く時間が増えました。  燕尾服を着たおじさんが、太陽をもう1つつくろうと言いました。「太陽が3つあれば、夜は、もっと明るいです!」と言います。  みんなは、

      • 『素晴らしい口』 作/森下オーク

         燕尾服を着たおじさんは、素晴らしい口をもっています。  次から次に、素晴らしいお話をします。  「ここからずっ〜と海を越えた西の果てには、時間もお金も気にしなくていい、いつも快適で、なんでも願いが叶うユートピアがあります!  みんなは、燕尾服を着たおじさんの話を聴いて、ユートピアに行きたくて、しょうがない!  みなさんのお家にあるもの、出来ることを出し合って、なんでも願いが叶うユートピアに、みんなでいきましょう!燕尾服を着たおじさんは、真っ赤な顔をして、大きな声で言

        • メトロノームと燕尾服を着たおじさん 

          メトロノーム 右から左へ 左から右へ テンポに合わせて ピアノを弾くのだけれど いつのまにかにずれてしまう おかしいなと思って 周りをみると みんな、テンポが合っていない みんな、苦しそうに弾いている あの人は誰だろう? 燕尾服を着たおじさん ときおり、メトロノームの針を止め 違うテンポに変えてしまう 一生懸命なみんなは気づかない

        『大きな犬と、小さな亀の話』  作/森下オーク

          『 怒りながら木を植えるおじさんの話 』  作/森下オーク

           むかしむかしあるところに、美しい木々に囲まれた、美しい川がありました。村人たちは、その川を大切にし、楽しく暮らしていました。    その隣の村にも、昔は美しい川がありました。だけれどもその村は、とても多くの人々が集まる賑やかな村だったので、川の周りの木々を倒し、燃料とし、また、川のそばまで多くの家を建て、いつしか川には水が流れなくなりました。    そんな水のない川の村に、木を植えるおじさんがいました。木を植えるおじさんは、みんなが村を大きくしようと働いたり、楽しく遊んだり

          『 怒りながら木を植えるおじさんの話 』  作/森下オーク

          『満月の夜のドンドラゴン』 作/森下オーク

           むかしむかし、あるところに、とても不思議な街がありました。その街は、満月の夜になると、「ドンドラゴーン!ドンドラゴーン!」と、とても大きな唸り声が、街中に響き渡るのです。  街の住人は、怖くてブルブル。怪獣ドンドラゴンが、家も街も破壊してしまうと、不安で朝まで眠れないのです。だけれども、不思議なことに、だれも怪獣ドンドラゴンの姿を見たものはいません。  そんなドンドラゴンの唸り声が響き渡る中、靴屋の兄妹が、2階の窓から満月を見つめていました。 「お月様が困っている。“

          『満月の夜のドンドラゴン』 作/森下オーク

          『女の子のお花屋さん!』 作/森下オーク

           むかしむかし、ある小さな街の小高い丘に、花屋を夢見る女の子がいました。  女の子は、街を一望できる小高い丘が大好きで、ここに色とりどりのお花を並べられたら、どんなに素敵だろうと考えていました。  ある日、友だちにその話をすると、友だちは野の花を摘んできて、女の子にプレゼントをしました。  女の子は嬉しくて、お礼にと、丘の上で歌を歌いました。その歌声は、街中に響き渡り、驚いた街の人が、ぞろぞろと丘まで上がり、女の子の歌を聴きました。  「素晴らしい!明日も、聴かせてね

          『女の子のお花屋さん!』 作/森下オーク

          『灯台守の詩』 作/森下オーク

          灯台守はいつも海を見ています。 朝焼けの海を、真昼の海を、夕焼けの海を、真夜中の海を。 灯台守は海を見るのが好きでした。 波の音を聞くのが好きでした。 (今日はよく、晴れているな)  灯台守は、灯台のガラスの玉を磨きながらそう思いました。  遠くの空は水色に染まり、だんだんと近く青さを増し、海は更に青く、青く広がっていました。海鳥たちが白く大きな雲の真下で、上へ下へと自由に翼を広げて飛んでいました。 (楽しそうだな)  窓から入る南風の中で、灯台守はそう思いました。

          『灯台守の詩』 作/森下オーク

          『雲の塔とディペンドラ』  作/森下オーク

           むかしむかしあるところに、それはそれは美しい塔がありました。青空に白く輝くその塔を、村人たちは雲の塔とよんでいました。雲の塔のもと、村では麦や野菜を作り、願いを捧げ、歌を歌い、村人たちは幸せに暮らしていました。  そんなある日、村の外れに、戦いの国から戦いに敗れた王子が、辿り着きました。ボロボロの身体で痩せこけた王子の目に生気はありません。よろよろと草むらに倒れ込んだ王子は、そのまま息絶えてしまいました。王子の骸からは、黒々とした煙が立ち上り、黒々とした煙は空を覆いました

          『雲の塔とディペンドラ』  作/森下オーク

          『蛍の光』 作/ 森下オーク

           むかしむかしの、ある海辺の街でのお話しです。  古びた家の2階の窓辺から、男の子が、ぼんやりと夜の街を眺めています。男の子は、一人で静かに泣いています。  階下では、お兄ちゃんと、お母さんが喧嘩しています。窓の外でも、近所のおじさんと、おばさんが罵り合っています。男の子が通う学校でも、毎日喧嘩があり、男の子もたびたび巻き込まれては、殴られるのでした。  男の子は、毎日泣いていました。優しかったみんなは、いつの間にかに、怒ってばかり。怒っては、罵り合って、喧嘩ばかり。喧

          『蛍の光』 作/ 森下オーク

          『雲になった少年』 作/森下オーク

          『雲になった少年』  森下オーク  よく晴れた日のことでした。西の草原では、国境をめぐり、朝から激しい戦闘が行なわれていました。  赤い閃光が飛び交い、大地を揺るがす爆発音のなかで、多くの若者が倒れて行きます。冷気を帯びた草原の風とはうらはらに、辺りは赤く燃え上がりました。  炎から逃れるために身体をおこした、少年兵がいました。起き上がったせつな、その彼の心臓を一発の銃弾が貫きました。少年は、子鹿のようにひとはねし、そのまま後方へと倒れ込みました。    少年は、青い空

          『雲になった少年』 作/森下オーク

          高千穂記録文芸誌『かなたのひと』

           尾翼のある不思議な飛行物体、なんだろうと思って暫くながめていたら、ただのカラスだった。四十半ばの老いと、スマホ依存で夜中もダラダラ映像と情報を追いかけていたら、すっかり視力が落ちてしまった。  一等星は重なる星、光を八方に放つし、この前の自動車の免許更新の視力検査なんか、Cが全部かさなってシャネルマークにしか見えなくて難儀した。  目に不自由してこなかったので、これが単なる視力低下なのか、老眼なのか、乱視なのかも分からない。  遠くから歩いてくる知人の顔の判別も難しいし

          高千穂記録文芸誌『かなたのひと』

          あの山の名前は

          あの山の名前は何だろう? いつも見守ってくれているよう。 戦争とか政治とかに関わるのやだな〜と思うけれど、あの山にも、政治の影響はあるので、まともな政治になるとよいな〜とは思う。 驕れるもの久しからずで、自滅していく自民党と地盤沈下し続ける政治、国として自由崩壊しているよう。 農家や国民へ直接支援がないのは、業界団体を通さないと、キックバックがないからとか、終わっているな〜と思う。 国外へのバラマキは底をしれず、異次元なのは、少子化対策ではなく、国外へのバラマキになっ

          あの山の名前は

          いつかのクリスマス・イブ

           何年前だったかなぁ。長野の叔母が太平洋戦争で戦死した祖父の命日を教えてくれた。  1941年12月24日。開戦間もない、真珠湾攻撃からわずか16日後のこと。ウェーク島という南洋の小島の上陸作戦時に、腹部に3発の銃弾を受け野戦病院に運ばれクリスマス・イブに亡くなったそうだ。名前は寅一ということだった。  ときを同じくしてか、妻のマサイ婆ちゃんは夢を見たそうで、寅一さんがマサイさんの背後に回りこみ、無理やり水盃を飲まそうとするので、婆ちゃんはそれが嫌で「何をするんだ」と、必死に

          いつかのクリスマス・イブ