『雲の塔とディペンドラ』 作/森下オーク
むかしむかしあるところに、それはそれは美しい塔がありました。青空に白く輝くその塔を、村人たちは雲の塔とよんでいました。雲の塔のもと、村では麦や野菜を作り、願いを捧げ、歌を歌い、村人たちは幸せに暮らしていました。
そんなある日、村の外れに、戦いの国から戦いに敗れた王子が、辿り着きました。ボロボロの身体で痩せこけた王子の目に生気はありません。よろよろと草むらに倒れ込んだ王子は、そのまま息絶えてしまいました。王子の骸からは、黒々とした煙が立ち上り、黒々とした煙は空を覆いました