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ま、こんな日もあるって

30
良いことも悪かったことも、嬉しいことも悲しいことも、皆時が経てば過ぎてゆく。だから一瞬一瞬がかけがえのないものなのだと思う。日々のエッセイ、たわいもないことの記録。
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#エッセイ

好きなのよ。

好きなのよ。

おもしろいものが、好きだ。
おもしろいことが、好きだ。
それにプラス、「かわいい」がつくといい。
手に取ると、思わずふふっとチカラの抜けた笑いが自分のなかに起こると、もっといい。

なんだかそれだけで頑張れるような気がするのだ。



阪神百貨店で行われている「菊池亜希子のチャーミングな日用品展」に行ってきた。(12月20日まで開催中)
こちら、なんと半年前から準備されてきた企画らしい。

 

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黄金色の栗あんを、空に捧ぐ

秋のお彼岸。

お団子屋さんの袋を片手に、京都にいる祖父に会いに行った。

中には前日に買った、焼き栗餅が入っている。

前日。

季節限定のものはありますか。
おすすめはどれですか。
日持ちはいつまでですか。

珍しく明るいうちに帰れた仕事帰り、駅中の美味しいお団子屋さんで、店員のお姉さんを質問攻めにして選んだのが、焼き栗餅と月見団子だった。

若い店員のお姉さんは、焼き栗餅と月見団子を、ていね

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大人になるということ

大人になるということ

先月誕生日を迎え、またひとつ歳を重ねた。

だからといって別に何も変わらず、今年もケーキを黙々と食べたぐらいである。

それにしても毎年思うのだが、いつまで経っても、何をやっても、大人というものになった気がしないのはなぜだろうか。

30半ばを過ぎても、いつまでも子どものような気持ちがぬけない。多分年齢と、この子どものような気持ちの差が、焦りを生んでいるのだと思う。

わたしは大人になりたい。

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未婚、子なし、梅干しの味

未婚、子なし、梅干しの味

本来なら今は、まだじめじめした梅雨時期だ。

けれど、今年は梅雨入りの「つ」を言ったとたん、終わってしまった。
異例の梅雨明け。
どの新聞にも、そんな見出しが並んだ。

どうやら異例なのは、梅雨だけではないらしい。

毎年張り切って梅干し作りにはげむ祖母が、今年は 3kgしか作らないという。

3kgでもすごいが、作る量を減らすというのは衝撃だった。

なんといっても、梅干し作りは祖母が毎年大切に

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一票のゆくえ

一票のゆくえ

7月10日。

「やっぱり行っとけばよかった」と期日前投票に行かなかったことを後悔しながら、選挙に行く準備をだらだらしていた。面倒くさい、非常に面倒くさい。

外は「太陽で目玉焼き焼けるやろう、なんやったらベーコンも一緒にカリカリに焼けるんとちゃうやろうか」というぐらいのカンカン照り。アスファルトがよく熱されているのが、外に出なくてもわかる。

これではわたしもカリカリに焼けてしまう。こんな中、自

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ああ、大仏さま(下)〜お土産〜

ああ、大仏さま(下)〜お土産〜

☆(中)のつづき☆

興奮冷めやらぬまま、東大寺ミュージアムへ入る。落ち着いた空間でゆっくり見てまわったが、その間もずっと大仏さまのことを考えていた。ショップで1枚だけ、ポストカードを買って外に出た。

屋台で賑わっていた道を、またてくてく歩いて、今度は近鉄奈良駅のほうへ向かう。朝買ったツナマヨと梅のおにぎりが、まだ鞄の中に入ったままだった。すっかり忘れていた。全然お腹が空いていないから、家に帰っ

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ああ、大仏さま(中)〜大仏殿へ〜

ああ、大仏さま(中)〜大仏殿へ〜

そのまままっすぐ進んで、途中でチケットを買う。せっかくなので、東大寺ミュージアムと拝観がセットになったチケットを買った。
ミュージアムには帰りに寄ることにした。

さあ大仏殿へ。

人がどんどん吸い込まれていく。「入口付近で止まらないでください」と言われたが、渋滞していてなかなか前へ進めない。皆、スマートフォンや一眼レフカメラを胸のところまであげている。

やっと中に入れた。見上げる。

ああ、大

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ああ、大仏さま(上) 〜奈良へ行く〜

ああ、大仏さま(上) 〜奈良へ行く〜

大仏さまに会いたい。
そうだ、明日大仏さまに会いに行こう。

寝る前のベッドのなかで急に思い立ち、次の日洗濯を済ませて、奈良に行く準備をした。普段こんなにフットワークは軽くない。行く予定を立てても、途中で面倒くさくなって、やめることのほうが多い。

けれど、今会いたい、行かなきゃ、と思った。

さすがゴールデンウィークだ。
京都駅に行くまでの電車はぎゅうぎゅうづめ。電車通勤だが、満員電車には慣れて

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2022年は、ニコちゃんマークを忘れずに

2022年は、ニコちゃんマークを忘れずに

今更感半端ないですが、あけましておめでとうございます。ハナムラタケ子です。なんか久しぶりなので、挨拶してみました。本年もどうぞよろしくお願いします。

note書くの、約1ヶ月ぶりぐらいですね。

その間、少し心と体のバランスを崩していました。(このあたりは次の記事にあげる予定です)

仕事でもプライベートでも、「ついていけてない」と思うことが多くて、でも周りはどんどん先に進んでいく。みんなすごい

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春を待つ、ひとりで

春を待つ、ひとりで

花粉で鼻がムズムズする。

立春を過ぎてから、まだ雪もパラパラ降るし寒いのに、どこからともなくふわっとしたなまあたたかい空気がふいて、なんとなく春を感じるようになった。

それは、お盆が明けたらふうっと誰かが息を吹いたような風が吹き、なんとなく秋を感じるのと似ている。

お盆過ぎれば、秋。
立春過ぎれば、春。

そんなどこかの誰かが決めた決まりではない、神さまが決めて、この世にかけた魔法が好きだ。

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今いる場所で呼吸、できていますか

今いる場所で呼吸、できていますか

 朝起きてすぐ、窓をあける。
それから大きく3秒ぐらいですう―っと息を吸ったあと、10秒ぐらいかけてゆっくりゆっくり息をふう―っと全部出し切る。
数回これを繰り返すと、だんだん周りがスローモーションのように、ゆっくり動いているのを感じる。それは寝そべって雲をじいーっと眺めると、ゆっくりゆっくり動いているのがわかるのと、何か似ている。

自分のなかに空気を送りこむと、新しい1日が始まった、と思う。そ

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吾輩、ただの事務職である

吾輩、ただの事務職である

「ただの事務のくせに」

と、ある専門職の女性に言われたことがある。

もう何年も前の話だ。

当時、わたしは同じ業界の同じ事務職に転職したばかりで、前の職場では、それを事務側が専門職に確認するのが当たり前だったし、ここの職場でもどうやらそのようだったので、当然のようにこれでよかったのかどうかを聞くと、そう言われた。

「ただの事務のくせに、なんでそんなこと気にするの」と。

様々な専門職の人と関

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姪ができた

姪ができた

昨年の春、弟夫婦に子どもが産まれた。

祖母は「ひいばあちゃん」になり、母は「おばあちゃん」になり、わたしは「おばちゃん」になった。

母のスマートフォンには、弟から定期的に子どもの動画や写真が送られてくるようになった。

それを横から「どれどれ」と見せてもらうのだけど、彼女はいつも泣いていた。

あっちこっちで泣いていた。

それを見ながら、「あぁまた泣いてるわ」「泣いてんなぁ」と母と言い合うの

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今を大切に生きている人を、誰も見放すはずがない

今を大切に生きている人を、誰も見放すはずがない

「なんか上手く生きてるよなあ」と思う人が、周りにはいないだろうか。

自分には1物も与えられていないのに、天はその人には5物ぐらい与えてるんじゃないかって思う人が。

絵に描いたように、幸せそうに人生を歩んでいる人が。

わたしの周りには、いる。

正直、「羨ましいなあ、いいなあ」と思うし、「それに比べて自分は…」と自分の状況に情けなくなるし、そういう人たちに対して、嫉妬もすごくする。

そういう

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