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徒桜(あだざくら)

一気に空のトーンが落ちて
ふんわりひらふわ
牡丹雪
あちらこちらに舞い降りて
地の色に溶けながら
春を欺く

薄桃色の季節の終わり
あといくつ
こんなふうに白みゆく
季節の隙間を
あなたと感じて
中指からするりと掌
合わせて腕から肩へ
はんなりと湧き出づる
体温に似たこの現象を
忘れぬように
今ここにあるように

背景には新緑の息吹の潜む
思い出は
モザイクの欠片になって
ざわめきながら
描かれゆく
桃色に
光を受けては
薄桃色に
白くなりゆく果て
ひらひらと
散るべき時に散る

人生の答え合わせをする時は
私はあなたの傍にいたい
風のない水面に
小石をひっそりと投げ続けて
水紋の消えゆく様を
幾度も見守る
意味などない
本当は何もかも
大きな流れの中に
組み込まれてゆく
小さな祈りがまたひとつ
ふわっと
漂いゆくばかりである

     ~·~·~🌸::🩷::🌸~·~·~

時々は目を休ませてくださいね
朗読はこちら

     ~·~·~🌸::🩷::🌸~·~·~

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