YuIMaNo 芝居屋ゆいまの

関西大学演劇研究部「学園座」OB・OGの4人(桜井由利子&岩渕健二&鈎裕之&まがりのり…

YuIMaNo 芝居屋ゆいまの

関西大学演劇研究部「学園座」OB・OGの4人(桜井由利子&岩渕健二&鈎裕之&まがりのりこ)の芝居ユニット。2023年、栃木県那須塩原市図書館〈みるる〉で、井上ひさし作『父と暮せば』の朗読劇を上演するために結成。実家は関西にある4人、現在それぞれ関東在住。どこへでも行きますよ!

記事一覧

舞台は生物 by桜井由利子

あれからもうひと月以上過ぎた。 会場の法光寺に入ったのは本番前日だった。 京都は満開の桜に彩られ、あたかも公演の成功を約束してくれているよう。 芝居屋ゆいまののメ…

読み語り「父と暮せば」習志野公演!2024.08.03

8月3日、千葉県習志野市で再演決定芝居屋ゆいまのは「読み語り『父と暮せば』」を再演いたします。 是非お運びください。お待ち申し上げておりますm(__)m 日時:2024年8月3…

京都公演覚え書き その⑥ 音響効果、いまむかし(後編)

「効果音」の意図本稿の前編・中編では「観客へ演者の声・効果音・劇中音楽をスムーズに届けること」を主題に、京都公演の音響環境と音響機器について記しました。最後の後…

京都公演覚え書き その⑤ 音響効果、いまむかし(中編)

音を「ポン出し」する機器 ~昭和編~1980年代の演劇シーンでは劇中音楽や効果音を再生するとき、カセットテープやオープンリールテープ(ORT)というアナログ音響ツール…

京都公演覚え書き その④ 音響効果、いまむかし(前編)

会場の音漏れの有無舞台音響効果は、大きく分けて2つの観点で考える必要があります。 「観客へ演者の声・効果音・劇中音楽をスムーズに届けること」と「演出上必要な効果…

京都公演覚え書き その③ 本堂に舞台照明?

それらしい舞台「装置」は不要公演会場となった法光寺。その本堂が建てられたのは昭和12年(1937年)とのこと。 この物語の舞台は「バラックに毛が生えた程度の簡易住宅」…

京都公演覚え書き その② 舞台は畳

芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」京都公演の上演場所をお貸しいただいた法光寺さんには、本当にお世話になりました。 住宅街にあるお寺にやたら声の大きい人間が…

京都公演覚え書き その① Googleフォームのこと

芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」京都公演を終え、キャスト・スタッフの4人はそれぞれ関東に戻って、各人怒涛の"お仕事"モードに突入しておりました……年度初…

【満員御礼】京都公演千秋楽

芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」京都公演2日目も、晴天に恵まれ、満員のお客様をお迎えして無事に上演することができました。 ありがとうございました! お客様…

【満員御礼】京都公演初日

2024年4月6日芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」京都公演の初日を無事に終えることができました。たくさんのお客様にご観覧いただき、誠にありがとうございました。…

桜満開、満員御礼!(京都公演の取材と仕込みとリハの日)

4月5日、京都の桜は満開です🌸 そして、芝居屋ゆいまの京都公演「読み語り『父と暮せば』」のお申し込みも6日・7日とも定員に達しました!【満員御礼】ありがとうございま…

4月!学園座!オッペンハイマー!

4月になりました! いよいよ芝居屋ゆいまの京都公演が迫ってまいりました! 関西大学演劇研究部「学園座」OB・OG有志の会のメンバーS先輩が、 3月末に母校を訪ね、「学…

図書館員 桜井由利子が紹介する 原爆関係の本 第2弾

第2弾は、絵本や写真集を中心に紹介したい。 『ひろしまのピカ』  丸木 俊/文・絵  丸木位里/協力 小峰書店 画家の丸木位里・赤松俊子(丸木俊)夫妻が共同制作し…

恩師なかりせば by岩渕健二

 高校生の時、映画研究部で8mm映画を作ってた。卒業の時、社会科の粟屋先生が「芝居も面白いぞ」と、教えてくださった。先生が面白いといったのはアングラ芝居だった。…

美津江さんの影を追って ――由利子の広島紀行③

Day2広島の街には、いたるところに碑がある。学校、職場、様々な団体の碑。亡くなった方々の名前が刻まれている。どこも千羽鶴が供えられ、きれいに手入れがされている。 …

美津江さんの影を追って ――由利子の広島紀行②

Day1 その2いよいよ広島平和記念資料館だ。 ロシアのウクライナ侵攻後、入館者数が増えているそうだ。外国人も多い。 被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真や資料の展…

舞台は生物 by桜井由利子

舞台は生物 by桜井由利子

あれからもうひと月以上過ぎた。

会場の法光寺に入ったのは本番前日だった。
京都は満開の桜に彩られ、あたかも公演の成功を約束してくれているよう。
芝居屋ゆいまののメンバーが実際に顔をあわせるのは久しぶりだった。同じ関東とはいえ、群馬県、千葉県、栃木県に住む私たちの稽古はほとんどリモートでおこなってきた。

舞台での稽古が始まると、おとったんの声がびんびん空気を震わして響いてくる。おおっ、こんなにじ

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読み語り「父と暮せば」習志野公演!2024.08.03

読み語り「父と暮せば」習志野公演!2024.08.03

8月3日、千葉県習志野市で再演決定芝居屋ゆいまのは「読み語り『父と暮せば』」を再演いたします。
是非お運びください。お待ち申し上げておりますm(__)m
日時:2024年8月3日(土) 開場13:00 開演13:30
   上演時間は約1時間40分です
会場:キリスト聖協団 習志野教会
   (千葉県習志野市本大久保2-7-21)
   京成大久保駅下車徒歩約5分

定員:50名 *お申し込みが必

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京都公演覚え書き その⑥ 音響効果、いまむかし(後編)

京都公演覚え書き その⑥ 音響効果、いまむかし(後編)

「効果音」の意図本稿の前編・中編では「観客へ演者の声・効果音・劇中音楽をスムーズに届けること」を主題に、京都公演の音響環境と音響機器について記しました。最後の後編では「演出上必要な効果音・劇中音楽を鳴らすこと」を主題に記します。この主題は芝居屋ゆいまのの那須塩原市図書館「みるる」公演から一貫しています。
「読み語り『父と暮せば』」を上演するにあたり、まず初めに脚本上、どんな音が記載されているか拾い

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京都公演覚え書き その⑤ 音響効果、いまむかし(中編)

京都公演覚え書き その⑤ 音響効果、いまむかし(中編)

音を「ポン出し」する機器 ~昭和編~1980年代の演劇シーンでは劇中音楽や効果音を再生するとき、カセットテープやオープンリールテープ(ORT)というアナログ音響ツールを用いるのが一般的でした。当時の関西大学演劇研究部学園座ではORTを用いていました。

デジタル機器であるコンパクトディスク(CD)やミニディスク(MD)が登場するのは90年以降のことで、芝居屋ゆいまののメンバーはその頃すでに大学を卒

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京都公演覚え書き その④ 音響効果、いまむかし(前編)

京都公演覚え書き その④ 音響効果、いまむかし(前編)

会場の音漏れの有無舞台音響効果は、大きく分けて2つの観点で考える必要があります。
「観客へ演者の声・効果音・劇中音楽をスムーズに届けること」と「演出上必要な効果音・劇中音楽を鳴らすこと」です。これは古えから変わっていません。
前者の場合、鑑賞の妨げとなる劇場外の音が観客に届かないよう劇場の“遮音性”がまず必要となります(野外劇・路上劇は除く)。
京都公演の会場を決める際、もっとも気になったのは建物

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京都公演覚え書き その③ 本堂に舞台照明?

京都公演覚え書き その③ 本堂に舞台照明?

それらしい舞台「装置」は不要公演会場となった法光寺。その本堂が建てられたのは昭和12年(1937年)とのこと。
この物語の舞台は「バラックに毛が生えた程度の簡易住宅」の室内ですから本公演では“それっぽく見せるための工夫”がほとんど要りませんでした。
舞台装置を置かずとも本物の障子・畳・板戸のしつらいが「ザ・和室」の空気感を醸し出してくれています。
この空気感が観客を昭和20年代の“簡易住宅”へ誘(

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京都公演覚え書き その② 舞台は畳

京都公演覚え書き その② 舞台は畳

芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」京都公演の上演場所をお貸しいただいた法光寺さんには、本当にお世話になりました。
住宅街にあるお寺にやたら声の大きい人間がワイワイ集まって仕込みやらリハやらバラシやら…お騒がせをいたしました。

今回の舞台設営では、会場が法光寺さんの本堂、というのが肝でした。

学園座時代から、舞台を作るときは、床より高さを出すために箱馬を並べた上にコンパネを置き、その上にパ

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京都公演覚え書き その① Googleフォームのこと

京都公演覚え書き その① Googleフォームのこと

芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」京都公演を終え、キャスト・スタッフの4人はそれぞれ関東に戻って、各人怒涛の"お仕事"モードに突入しておりました……年度初めにいきなり一週間近く京都に行っていたわけで(^▽^;)
関係各所の皆さま、ご容赦いただきありがとうございました!

おかげさまで京都公演は両日とも満員のお客様にご覧いただきました関西大学演劇研究部「学園座」OB・OG有志の会のメンバーが、

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【満員御礼】京都公演千秋楽

【満員御礼】京都公演千秋楽

芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」京都公演2日目も、晴天に恵まれ、満員のお客様をお迎えして無事に上演することができました。
ありがとうございました!

お客様はもちろん、たくさんの人たちのおかげで形になった京都公演でした。御礼かたがた、これから舞台裏の話もお伝えしていこうと思います。

【満員御礼】京都公演初日

【満員御礼】京都公演初日

2024年4月6日芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」京都公演の初日を無事に終えることができました。たくさんのお客様にご観覧いただき、誠にありがとうございました。
6日の京都新聞朝刊〈市民版〉では、トップに写真入りで!記事を掲載いただきました。これまた、ありがとうございました。

(ネットで記事全文を読むには京都新聞デジタル有料プランへの登録が必要です)

初日の翌日は千秋楽(笑)でも、昨年の

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桜満開、満員御礼!(京都公演の取材と仕込みとリハの日)

桜満開、満員御礼!(京都公演の取材と仕込みとリハの日)

4月5日、京都の桜は満開です🌸
そして、芝居屋ゆいまの京都公演「読み語り『父と暮せば』」のお申し込みも6日・7日とも定員に達しました!【満員御礼】ありがとうございます!
(Googleフォームでのお申し込みは締め切らせていただきました。)

初日前日の今日は、舞台と会場設営の「仕込み」と「リハ(リハーサル)」です。

仕込みの最中に、京都新聞の記者の方が取材に来てくださいました。

会場設営を終

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4月!学園座!オッペンハイマー!

4月!学園座!オッペンハイマー!

4月になりました!
いよいよ芝居屋ゆいまの京都公演が迫ってまいりました!
関西大学演劇研究部「学園座」OB・OG有志の会のメンバーS先輩が、
3月末に母校を訪ね、「学園座」の後輩に京都公演のチラシを渡してきてくれました。

チラシ手渡しのミッション・コンプリート後、S先輩は、きれいに建て替えられた生協の食堂でランチを。たまごカツ丼Sサイズとほうれん草ナムルでなんと計462円!Σ(´∀`;)

4月

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図書館員 桜井由利子が紹介する 原爆関係の本 第2弾

図書館員 桜井由利子が紹介する 原爆関係の本 第2弾

第2弾は、絵本や写真集を中心に紹介したい。

『ひろしまのピカ』 
丸木 俊/文・絵  丸木位里/協力 小峰書店

画家の丸木位里・赤松俊子(丸木俊)夫妻が共同制作した「原爆の図」は有名だが、その丸木俊が絵と文を書いた絵本。
7さいのみいちゃんの目を通して、被爆した広島を描いている。日本人だけでなく、「朝鮮のひともしにました。」 アメリカ人、中国人、ロシア人、インドネシア人も犠牲になったことにも

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恩師なかりせば by岩渕健二

恩師なかりせば by岩渕健二

 高校生の時、映画研究部で8mm映画を作ってた。卒業の時、社会科の粟屋先生が「芝居も面白いぞ」と、教えてくださった。先生が面白いといったのはアングラ芝居だった。関西大学に入って、その言葉を思い出し、演劇研究部学園座に1年の冬に入った。そこから芝居屋人生が始まった。

 卒業して、あこがれのアングラ劇団に飛び込む勇気もなく、「劇団員の生活は保障する」という東京の新劇の旅劇団に潜り込んだ。そこで11年

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美津江さんの影を追って ――由利子の広島紀行③

美津江さんの影を追って ――由利子の広島紀行③

Day2広島の街には、いたるところに碑がある。学校、職場、様々な団体の碑。亡くなった方々の名前が刻まれている。どこも千羽鶴が供えられ、きれいに手入れがされている。
2日目は『父と暮せば』の戯曲の中に出てくる場所を巡った。

広島中電話局鎮魂の碑

広島第一高等女学校職員生徒追悼碑
広島第一高等女学校の門柱もある。
戦前から戦中、美津江さんが通っていた高等女学校だ。

広島赤十字病院慰霊碑

山陽文

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美津江さんの影を追って ――由利子の広島紀行②

美津江さんの影を追って ――由利子の広島紀行②

Day1 その2いよいよ広島平和記念資料館だ。
ロシアのウクライナ侵攻後、入館者数が増えているそうだ。外国人も多い。

被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真や資料の展示の初めのところで、「被爆者の実相」という文字がまず目に飛び込んできた。
「実態」でも「事実」でもなく「実相」。あまり聞かない言葉で気になる。
広辞苑無料検索で調べると「実相」とは、「実際の有様。真実のすがた。」また仏教用語でもあり、

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