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舞台は生物 by桜井由利子

あれからもうひと月以上過ぎた。

会場の法光寺に入ったのは本番前日だった。
京都は満開の桜に彩られ、あたかも公演の成功を約束してくれているよう。
芝居屋ゆいまののメンバーが実際に顔をあわせるのは久しぶりだった。同じ関東とはいえ、群馬県、千葉県、栃木県に住む私たちの稽古はほとんどリモートでおこなってきた。

舞台での稽古が始まると、おとったんの声がびんびん空気を震わして響いてくる。おおっ、こんなにじかにくるんや! 生々しく伝わってくる感情。美津江の感情も揺さぶられ、リモートでは得られない発見の連続。
リモート稽古や、ひとり練習の時は頭で考えてたんや。それが、身体と感情が感じて反応する。なまの稽古が少ない分、本番の一回一回が全然違うものになっていた。
広島に行き、少しだけだったが広島を肌で感じ、台本を読み込んで向き合ってきた美津江さんが、京都のお寺で息づいた。
美津江の最後の台詞、それはおとったんが退場した方ではなく、正面を向いておとったんに言う。リモート稽古では、前におとったんがいると思って言おうと考えていた。でもお寺では、「おとったんがいる」なんて想像しなくても、本当に目の前におとったんがいるのを感じた、見えた。
これは、「場」の力なんだと思う。

2024年4月7日 京都公演


舞台は生物、「いきもの」であり「なまもの」だ。
この「なま」の醍醐味を共有してくださったすべての皆様に感謝の気持ちでいっぱいだ。ありがとありました。

うまくいかなくて反省すべき点も多々あったが、それは次の習志野の舞台に活かしていく。
習志野公演、乞うご期待!
*   *   *   *   *
芝居屋ゆいまの「読み語り『父と暮せば』」習志野公演
日時:2024年8月3日(土)13:00開場 13:30開演
会場:キリスト聖協団 習志野教会
定員:50名(お申し込みが必要です)
料金:一般500円 中高生無料
《全席自由》当日受付にてお支払い・現金のみ
観覧お申し込みGoogleフォーム↓↓↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSczDOwkkPE3BmPxfhnclIn-4iqGAf6QaoW4jXsFk93P62zXkg/viewform


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