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図書館員 桜井由利子が紹介する 原爆関係の本 第2弾

第2弾は、絵本写真集を中心に紹介したい。
 
『ひろしまのピカ』 
丸木 俊/文・絵  丸木位里/協力 小峰書店

画家の丸木位里・赤松俊子(丸木俊)夫妻が共同制作した「原爆の図」は有名だが、その丸木俊が絵と文を書いた絵本。
7さいのみいちゃんの目を通して、被爆した広島を描いている。日本人だけでなく、「朝鮮のひともしにました。」 アメリカ人、中国人、ロシア人、インドネシア人も犠牲になったことにも触れている。最後の文章が印象的だ。「ピカは、ひとがおとさにゃ、おちてこん。」
 

『ヒロシマ 消えたかぞく』 
指田 和/著  鈴木 六郎/写真 ポプラ社

広島の鈴木さん一家の日常の白黒写真がならんでいる。
海であそぶ英昭くん。猫をおんぶする公子ちゃん。木のたらいのお風呂で気持ちよさそうな赤ちゃんの護くん。一枚一枚に写っている家族は、みんな笑顔だ。
8月6日、広島に一発の原子爆弾が落とされた。鈴木さんの家族は、全滅した。
おとうさんの六郎さんが、おがあさんのフジエさんが、英昭くん、公子ちゃんが、護くんと昭子ちゃんがどのようにして亡くなったのかも、笑顔の写真とともに記されている。
 
 
『「ヒロシマ 消えたかぞく」の あしあと』
指田 和/著   ポプラ社

上記の絵本ができるまでのいきさつ、絵本に書ききれなかったこと、鈴木さん一家や戦時中の人々の暮らしについてさらに調べたことや考えたことなどをまとめた本である。「おわりに」に書かれている「六郎さん一家は〈消えた〉んじゃなく、原爆で〈消された家族〉なんよね」という言葉の重み。考えさせられる一冊だ。
 

『ひろしま』
石内 都/著  集英社

写真家、石内都さんの写真集である。
広島平和記念資料館の収蔵物から、直接人の肌身に触れた品物を撮ったものだ。ワンピース、防空頭巾、メガネ…。言葉はないが、写真が様々なことを語りかけてくる。
 
 
『絵本 まっ黒なおべんとう』
児玉 辰春/文  長澤 靖/絵   新日本出版社

https://www.shinnihon-net.co.jp/images/2300/978-4-406-02345-0L.jpg

中学1年のしげるくんが8月6日の朝、建物疎開の作業のため広島の町に行って帰ってこない。心配でたまらないおかあさんは焼け野原になった町を何日も探し回った。たくさん並んだ白骨のひとつが「おかあさーん」と呼んだ気がした。骨を動かしたら、6日の朝しげるくんが持っていった弁当箱があった。なかみはまっ黒になっていた。しげるくんは楽しみにしていた弁当を食べずに亡くなったのだ。
これは実話で、弁当箱は広島平和記念資料館で見ることができる。




『伸ちゃんのさんりんしゃ』
児玉 辰春/文  おぼ まこと/絵   童心社

広島平和記念資料館には、さびついた三輪車が展示されている。それにはこんな実話がある。
3歳の伸ちゃんは、庭で大好きな三輪車に乗って遊んでいるときに被爆した。6歳のみち子と1歳のよう子は倒れた家の下敷きになって助け出すことができず、焼け死んだ。そして伸ちゃんもその夜に亡くなった。父親は伸ちゃんを焼かずに、三輪車とともに庭に埋めた。40年たって遺骨をお墓に移すことにし、掘り始めると、さびた三輪車も出てきたのだ。



『絵本 おこりじぞう』
山口 勇子/原作  沼田 曜一/語り文  四國 五郎/絵   金の星社

 
広島のとある横丁に「わらいじぞう」と呼ばれるお地蔵さんがたっていた。
広島に原爆が投下され、お地蔵さんも吹き飛ばされる。幼い女の子が水を求めてお地蔵さんの笑った顔に呼びかける。「かあちゃーん」、「みず……、みず……」お地蔵さんの顔は次第に怒った顔になり、目にいっぱいあふれた涙が女の子の口にとびこみ、のどを潤す……。
広島平和記念資料館に展示されているお地蔵さんの首はこの絵本と関係のあるものではない。
が、あちこちの道端にあって、一番身近な仏、地蔵菩薩。
傷ついたお地蔵さんの姿は、救いを求める人々に様々な思いを抱かせるのかもしれない。


原爆関係の児童書は令和になってからも少しずつ出版されている。
伝え続けていかなくてはならないというこの流れの中に、芝居屋ゆいまのの『父と暮せば』京都公演もあるのだと思っている。
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芝居屋ゆいまの京都公演「読み語り『父と暮せば』」
2024年4月6日(土)17:00~ /4月7日(日)14:00~
会場:法光寺(京都市上京区中長者町通西洞院西入中橋詰町172)
全席自由 料金:1,000円 中高生500円  上演時間:約1時間40分
お申し込みはこちら↓↓↓Googleフォーム
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