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みんなのフォトギャラリーから

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フォトギャラリーからイメージした物語を並べてみました。
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#創作

ツノがある東館【毎週ショートショートnote】

ツノがある東館【毎週ショートショートnote】

支配人赤丸剛士、宿泊部長青野正弘、料理長黄島健太郎、仲居長緑埼優子、バイトリーダー黒川亮介は、心を一つに叫んだ。
「ゴーゴーゴー!レッツメイキング!!合体!いけだや別荘!」

怪獣と戦うため、「いけだや別荘」が合体する。

青野が運転する宿泊棟の東館が、天高く浮き上がった。
次に、赤じゅうたんの廊下とロビーを擁する中央棟が続く。中心部は、赤丸が守る。
そして、お食事処「大正ロマン」とキッチンが立ち

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アリのちょうじょう【フォトギャラリー短編】

アリのちょうじょう【フォトギャラリー短編】

アリのタロウは、今日も行列の真ん中を歩いていた。
昨日も行列の真ん中を歩いていた。
その前の日も行列の真ん中を歩いていた。
もう思い返せない昔の日々も行列の真ん中を歩いていた。

そして、虫の死骸や花びらを見つけると、せっせと運ぶのだ。
仲間と同じように運ぶのだ。

それが、アリのタロウの仕事だった。
それが、アリのタロウの生き方だった。

そのネコに会うまでは。

そのネコは、枝を1本持って、ひ

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2024年の生き方【フォトギャラリー短編】

2024年の生き方【フォトギャラリー短編】

「2024年」
それが、彼の名前だった。

「2023年」でもなく、
「2025年」でもなく
「1024年」でもなく、
「3024年」でもない。

彼は「2024年」だった。

そんな彼は、今年富士山の登頂に挑んでいた。
一歩ずつ山を踏みしめ、進んでいく。
額にうっすらと汗がにじむ。
あと少しで頂上だ。

とうとう、そのときはやって来た。
最後の一歩を踏みしめ、頂上にたどり着いた。
「2024年」

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ホットケーキ303号

ホットケーキ303号

今日、わたしは、引っ越した。
ホットケーキの3階。303号室。

上からはバターとはちみつのあまーーーーーい香りが漂ってくる。
もーーーー、サイコーーーー。

床は、ホットケーキ。
天井もホットケーキ。
間に挟まってみる。ふわふわだ。
ちょっとかじってみる。ふわふわでもちもちであまあまだ。

2階の202には、犬が住んでいる。挨拶をしに行ったけど、気持ちよさそうに眠っていた。
1階の101はカエル

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noteのベクトル【フォトギャラリー短編】

noteのベクトル【フォトギャラリー短編】

ベクトルとは、大きさと向きをもった量のことである。

高校の数学に登場する。

一定の長さの直線と矢印で表される。
ああ、記号でも表されたな。OPの上に→。
または、座標でも表されるらしい。このころから、わからなくなってきたのだが、、、。
そのくらいの力を、そっちの方向にね、というイメージ。

さて、note。

スキがたくさんもらえると、とってもよろこぶ。
始めたばかりの初めてのスキは、飛び上が

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北極から南へ、南へ

北極から南へ、南へ

北極に住んでいるシロクマは、暖かい国を夢見ていた。

「南に行けば、暖かい南国というところがあって・・・。」南から戻ってきたシャチが言った。

シャチの話を聞いて、シロクマの心は昂った。
「南国には、バナナという果物があるらしい。お月様のように曲がっているけれど、とてもとても甘いそうだ。」
「南国には、スイカという野菜があるらしい。丸くて大きくて、中は鮭の切り身のように真っ赤だそうだ。」
「南国に

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令和6年、平成36年、昭和99年

令和6年、平成36年、昭和99年

令和という年号が始まって、もう6年が過ぎた。

令和元年は、ラグビーのワールドカップがあった。消費税が10%になった。コロナ禍が始まる前年だ。
あれから6年。令和の元号にも慣れてきた。

令和は、西暦の下2桁から18引いたらわかるのだという。
 2024年の24から18を引く  24ー18=6  令和6年
なるほど。 

平成は30年続いた。
平成は、西暦の下2桁に12を足したらわかるという。
 

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ゾウのバオーンと赤ちゃん【フォトギャラリー短編】

ゾウのバオーンと赤ちゃん【フォトギャラリー短編】

ゾウのバオーンは、怒っていた。
「バオオ―――――ン!どうしてみんな、わかってくれないんだ!」
ゾウのバオーンは、泣きながら、怒っていた。
「バオオ――――ン!だれも、だれも、わかってくれない!」

足を踏み鳴らし、声をあげて、ゾウのバオーンは泣いた。
森に咲いていた花は折れて、踏みつけられた。
バオーンの声を聞いた森の動物たちは、みんな身を隠した。

バオーンはそんなことお構いなしに、泣き、怒り

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