えいみ

エッセイ、雑記、たまに小説 / 大学4年 / 演劇とハロプロが好き

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記事一覧

強い女、おもしれー女であること

強くなりたい、面白くなりたいとずっと思ってはいたけれど、そうなることが実際幸せか?というとそうでもない気がしてきた。 友達と恋話をすると、「強いね」とか「面白い…

えいみ
2年前
50

「好き」の切り売りはできない

「好き」って気持ちは知ってるつもりだし、好かれる機会に恵まれなかったわけでもないんだけど、「好きだよ」と言われるとうまく次の言葉が出てこない。わたしが恋愛苦手だ…

えいみ
2年前
16

ここ最近の「そういうのいらん」

好きな人、好きだった人に対して抱いてきた「そういうのいらん」が溜まってきたので吐き出します。 「ありがとう」と「ごめんね」 小学生のときから、道徳の授業の教訓で…

えいみ
3年前
11

わたしを救わないあなたのことを

恋人との別れには段階があると聞いたことがある。実感もそこそこある。 まず喪失感、悲しみ、おなかが痛くなるくらいの怒り。ある程度の時間が経ったら受容、少しずつ忘却…

えいみ
3年前
3

4月から一番遠い

9月が終わりかけていることを受け止め切れていない。あと1週間で10月に入る。10月は4月から一番遠い。 物心ついたときから、4月1日がくるとドキドキするようになっていた…

えいみ
3年前
6

しょうがないって言わせないで

このご時世だもの、しょうがないよ。 って、ここ一年半でどれくらい言ったかなあ。もう言いたくないな、と思ったそばから同じ言葉をいろんな人に言わせている。実際しょう…

えいみ
3年前
6

くろ・しろ・みどり③

コロッケを食べた夜は、なかなか眠れない。消化されずに残った油と炭水化物が寝返りのたびに波打って、何か悪いことが起きそうな気がしてくるからだ。ソファに寝そべった環…

えいみ
3年前
3

盗難届

昼間の散歩中。車の下にいた茶色い縞の子猫が、カンちゃんの足音に驚いて去っていく。斜め後ろを歩くおじさんが「あれあれ」と穏やかに笑う。カンちゃんのお気に入りの緑の…

えいみ
3年前
2

くろ・しろ・みどり②

環さんが帰って来たのは20時を回るころだった。鍵を閉めるのもそこそこに、今にもちぎれそうなビニール袋を二つ、ハルに乱暴に手渡した。そのまま「失礼」とハルを押しのけ…

えいみ
3年前
3

くろ・しろ・みどり

一か月前、帰り道が消えた。中学校からも、最寄り駅からも、市民プールからも、行きつけの床屋からも、家に着くまでに必ず通る道だった。 なんてことはない。その道を通ら…

えいみ
3年前
2

血色の良いのっぺらぼう

月経がはじまって5年経ったころだろうか。私の顔はつるつるしたのっぺらぼうになった。 縦横無尽に遊ぶ眉毛も、がんばった証の口ひげも、ある日を境に姿を消した。 ねえ、…

えいみ
3年前
11

「逃げの就活」のすゝめ

注:早い・易い・高いの三拍子とはかけ離れた就活の話です。効率よく進めるためのテクニックは全く出てきません。 お久しぶりです。就活もようやく終わりが見えてきました…

えいみ
3年前
31

靴擦れ

パンプスがずっと好き。曲線美と攻撃力の高さが好き。歩くたびに打楽器みたいな音が鳴るのも好き。 だけど、わたしの足とはとことん相性が悪い。全部の指が一か所に閉じ込…

えいみ
3年前
4

「毎回サイゼでもいい」って言ったけど

「毎回サイゼでもいい」と「ケチくさい人は嫌い」は両立する。してしまうからめんどくさい。 わたしは好きな人とごはんが食べたい。わたしがおいしいと思ったもの、その人…

えいみ
3年前
7

人生の主人公にはならないほうがいい

「君の人生の主人公は君しかいない!」って言うじゃないですか。 その通り!って思いたい自分と、ほんとに?って思う自分がどっちもいるんです。今も昔も。どうしたってモ…

えいみ
3年前
5

月末は自己嫌悪の決算期

普段から情緒がとっ散らかりやすいのだけれど、月末は特にぐっちゃぐちゃしてしまう。 身体の周期のせいか、今月いっぱいのあれこれが一気に脳天まで押し寄せてくる。あれ…

えいみ
3年前
2

強い女、おもしれー女であること

強くなりたい、面白くなりたいとずっと思ってはいたけれど、そうなることが実際幸せか?というとそうでもない気がしてきた。

友達と恋話をすると、「強いね」とか「面白いね」と言われることがまあまあある。もっとストレートに「めんどくさい」と言う人もいる。
確かに「男の子って~」みたいな話になると黙ってしまうし、脱毛やダイエットで盛り上がるくだりにも乗れない。煮え切らない片思い相手から本心を引き出す方法にも

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「好き」の切り売りはできない

「好き」の切り売りはできない

「好き」って気持ちは知ってるつもりだし、好かれる機会に恵まれなかったわけでもないんだけど、「好きだよ」と言われるとうまく次の言葉が出てこない。わたしが恋愛苦手だなーと思う理由のひとつです。

「好きだよ」と言われると、たいていは次に「君は?」と訊かれる。困った。「わたしも好き」って答えるのが一番丸いんだけど、それを言った後はなんか居心地が悪い。
その「好き」はわたしを振り回していたものじゃなくて、

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ここ最近の「そういうのいらん」

好きな人、好きだった人に対して抱いてきた「そういうのいらん」が溜まってきたので吐き出します。

「ありがとう」と「ごめんね」

小学生のときから、道徳の授業の教訓でも学級目標でも「『ありがとう』と『ごめんね』をちゃんといえる大人になりましょう」は定番だった。たくさん言えることが正しいと思ってたけど、最近はちょっとわからない。特に、こういうのを好きな人から何度も言われると肩身が狭い。
例えば、会う予

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わたしを救わないあなたのことを

わたしを救わないあなたのことを

恋人との別れには段階があると聞いたことがある。実感もそこそこある。
まず喪失感、悲しみ、おなかが痛くなるくらいの怒り。ある程度の時間が経ったら受容、少しずつ忘却。一生許さないと憎んだ相手だろうと、罪悪感に押しつぶされそうになった相手だろうと、そこらへんはあまり変わらない。最高の瞬間も苦い記憶も等しくならされて、頭の片隅に軽いエピソードトークとして積もっていく。

わたしを救わない人はわたしにとって

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4月から一番遠い

4月から一番遠い

9月が終わりかけていることを受け止め切れていない。あと1週間で10月に入る。10月は4月から一番遠い。

物心ついたときから、4月1日がくるとドキドキするようになっていた。
一つも嘘をつかずに終わって、誰からも騙されずに終わることが多いけれど、だからって次の日に後悔したりはしない。その数日後に入学式やら始業式やらを迎えたあと、とっておいた嘘を披露する機会には恵まれるからだ。忘れ物をしたことを親に隠

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しょうがないって言わせないで

しょうがないって言わせないで

このご時世だもの、しょうがないよ。

って、ここ一年半でどれくらい言ったかなあ。もう言いたくないな、と思ったそばから同じ言葉をいろんな人に言わせている。実際しょうがないのかしょうがなくないのか、その言葉に傷つけられてるのか救われてるのか、もうわからない。わからないふりをしてどうにか、緊急事態なのか日常なのか判別できないような日々を生きられている。

あなたのせいではないですし、そんなに謝らないでく

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くろ・しろ・みどり③

コロッケを食べた夜は、なかなか眠れない。消化されずに残った油と炭水化物が寝返りのたびに波打って、何か悪いことが起きそうな気がしてくるからだ。ソファに寝そべった環さんのにぎやかな寝息を確認すると、ハルはそそくさと部屋に駆け込んだ。最新式から10年は遅れているであろうノートパソコンを開くと、指が勝手に動画サイトのURLを打ち込む。たっぷり2分ほど読み込みバーを眺めているうちに、液晶画面は急に刺すように

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盗難届

昼間の散歩中。車の下にいた茶色い縞の子猫が、カンちゃんの足音に驚いて去っていく。斜め後ろを歩くおじさんが「あれあれ」と穏やかに笑う。カンちゃんのお気に入りの緑の帽子が、風に飛ばされて見えなくなる。見ていた長い髪の女性は、申し訳なさそうに立ち尽くす。カンちゃんは会社勤めをしていない。おじいちゃんは「甘えていられるのは今だけだ」と肩をそびやかす。親戚のおばさんは「まだ若いから」と肩を叩く。カンちゃんは

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くろ・しろ・みどり②

環さんが帰って来たのは20時を回るころだった。鍵を閉めるのもそこそこに、今にもちぎれそうなビニール袋を二つ、ハルに乱暴に手渡した。そのまま「失礼」とハルを押しのけて廊下をずんずん進む。片方は長ネギが飛び出し、もう片方からは甘い揚げ油のにおいが立ち上ってくる。

「ごめん遅くなって。これ、お詫び」

環さんは首だけ振り返って、揚げ油のほうを指さす。牛乳パックと卵とその他諸々の上に、油のしみた茶色い紙

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くろ・しろ・みどり

一か月前、帰り道が消えた。中学校からも、最寄り駅からも、市民プールからも、行きつけの床屋からも、家に着くまでに必ず通る道だった。

なんてことはない。その道を通らなくても、ハルは長年の勘で家に帰ることができる。両肩にのしかかる単行本4冊分の重みも、汗に濡れて視界を遮る前髪も、真正面から突き刺す西日も、今までと変わらない。新しいイヤホンの充電を忘れたことだけが心残りだ。油蝉、暴走族、救急車。嫌いな音

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血色の良いのっぺらぼう

血色の良いのっぺらぼう

月経がはじまって5年経ったころだろうか。私の顔はつるつるしたのっぺらぼうになった。

縦横無尽に遊ぶ眉毛も、がんばった証の口ひげも、ある日を境に姿を消した。
ねえ、知ってた?アヒルの子と同じように、女の子にも生え変わりがあるんだよ。子どもの毛は経血といっしょに、シャワーで流れるの。だから、ほら。今の私はこんなに綺麗。目に入れても痛くないでしょ。
そんなお話を、彼が眠るまでゆっくりと言い聞かせる。安

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「逃げの就活」のすゝめ

「逃げの就活」のすゝめ

注:早い・易い・高いの三拍子とはかけ離れた就活の話です。効率よく進めるためのテクニックは全く出てきません。

お久しぶりです。就活もようやく終わりが見えてきました。就職活動の諸々が全部好きになれず、逃げ道を必死に探し、進んだり退いたり脇に逸れたりしてきました。なるべく忘れたくない体験なので、大まかな軌跡だけ残させてください。

~2021年3月 とりあえず出版じゃね?

「好きなことを仕事に」と言

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靴擦れ

靴擦れ

パンプスがずっと好き。曲線美と攻撃力の高さが好き。歩くたびに打楽器みたいな音が鳴るのも好き。

だけど、わたしの足とはとことん相性が悪い。全部の指が一か所に閉じ込められる感覚も、出っ張った骨をすりつぶすような硬さも好きになれない。歩けなくはないけど靴擦れする。
あと何回靴擦れしたら社会と折り合えるのか。靴擦れを痛いと思わなくなったとき、わたしはどうなっているのか。そのことを考えて涙が止まらなくなっ

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「毎回サイゼでもいい」って言ったけど

「毎回サイゼでもいい」と「ケチくさい人は嫌い」は両立する。してしまうからめんどくさい。

わたしは好きな人とごはんが食べたい。わたしがおいしいと思ったもの、その人がおいしいと思うものを一緒に食べたい。
その人の「おいしい」の感性を知りたくて、おいしく食べるわたしをちゃんと見てほしい。「おいしいね」って嘘でも言ったあと、おいしいと思う隙もないくらいにいろんなことを喋りたい。笑わせたい。生意気言って怒

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人生の主人公にはならないほうがいい

人生の主人公にはならないほうがいい

「君の人生の主人公は君しかいない!」って言うじゃないですか。

その通り!って思いたい自分と、ほんとに?って思う自分がどっちもいるんです。今も昔も。どうしたってモブにならなきゃ生きていけない場面はあるし、脇役に甘んじる自分を呪ったりもしてきました。可愛い子ランキングから逃げて変人キャラに走った中学時代も。掃除の時間、明るい子たちが談笑するなか黙ってゴミ捨てに行った高校時代も。
だけど、脇役として流

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月末は自己嫌悪の決算期

普段から情緒がとっ散らかりやすいのだけれど、月末は特にぐっちゃぐちゃしてしまう。

身体の周期のせいか、今月いっぱいのあれこれが一気に脳天まで押し寄せてくる。あれはまずかったなとか、こんなこと言わなきゃよかったなとか。それをかき消すために意味もなく他人に絡んでしまったりもする。いや、意味がないわけではないのだけど。だって何かしらの形で好きで、そういうときでも繋がってたい人にしか絡まないもの。

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