えいみ

エッセイ、雑記、たまに小説 / 大学4年 / 演劇とハロプロが好き

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強い女、おもしれー女であること

強くなりたい、面白くなりたいとずっと思ってはいたけれど、そうなることが実際幸せか?というとそうでもない気がしてきた。 友達と恋話をすると、「強いね」とか「面白いね」と言われることがまあまあある。もっとストレートに「めんどくさい」と言う人もいる。 確かに「男の子って~」みたいな話になると黙ってしまうし、脱毛やダイエットで盛り上がるくだりにも乗れない。煮え切らない片思い相手から本心を引き出す方法にも、彼氏と長続きするようなLINEの頻度にも興味がない。20そこらの女が相当少ない

    • 「好き」の切り売りはできない

      「好き」って気持ちは知ってるつもりだし、好かれる機会に恵まれなかったわけでもないんだけど、「好きだよ」と言われるとうまく次の言葉が出てこない。わたしが恋愛苦手だなーと思う理由のひとつです。 「好きだよ」と言われると、たいていは次に「君は?」と訊かれる。困った。「わたしも好き」って答えるのが一番丸いんだけど、それを言った後はなんか居心地が悪い。 その「好き」はわたしを振り回していたものじゃなくて、目の前のあなたを喜ばせるための「好き」。いつの間にか勝手にわたしの中に居座ってい

      • ここ最近の「そういうのいらん」

        好きな人、好きだった人に対して抱いてきた「そういうのいらん」が溜まってきたので吐き出します。 「ありがとう」と「ごめんね」 小学生のときから、道徳の授業の教訓でも学級目標でも「『ありがとう』と『ごめんね』をちゃんといえる大人になりましょう」は定番だった。たくさん言えることが正しいと思ってたけど、最近はちょっとわからない。特に、こういうのを好きな人から何度も言われると肩身が狭い。 例えば、会う予定を組んだのもご飯を作ったのもあなたのためじゃない。「ありがとう」って言われると

        • わたしを救わないあなたのことを

          恋人との別れには段階があると聞いたことがある。実感もそこそこある。 まず喪失感、悲しみ、おなかが痛くなるくらいの怒り。ある程度の時間が経ったら受容、少しずつ忘却。一生許さないと憎んだ相手だろうと、罪悪感に押しつぶされそうになった相手だろうと、そこらへんはあまり変わらない。最高の瞬間も苦い記憶も等しくならされて、頭の片隅に軽いエピソードトークとして積もっていく。 わたしを救わない人はわたしにとっていらない。わたしが救えなかった人のことは、鮮明に覚えていても傷つくだけ。 いい男

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          4月から一番遠い

          9月が終わりかけていることを受け止め切れていない。あと1週間で10月に入る。10月は4月から一番遠い。 物心ついたときから、4月1日がくるとドキドキするようになっていた。 一つも嘘をつかずに終わって、誰からも騙されずに終わることが多いけれど、だからって次の日に後悔したりはしない。その数日後に入学式やら始業式やらを迎えたあと、とっておいた嘘を披露する機会には恵まれるからだ。忘れ物をしたことを親に隠したり、「ゲームは一日30分」の決まりを破ってポケモンを1時間やったり、小学生の

          4月から一番遠い

          しょうがないって言わせないで

          このご時世だもの、しょうがないよ。 って、ここ一年半でどれくらい言ったかなあ。もう言いたくないな、と思ったそばから同じ言葉をいろんな人に言わせている。実際しょうがないのかしょうがなくないのか、その言葉に傷つけられてるのか救われてるのか、もうわからない。わからないふりをしてどうにか、緊急事態なのか日常なのか判別できないような日々を生きられている。 あなたのせいではないですし、そんなに謝らないでくださいよ。 これも言う機会が増えた。 実際「あなた」のせいではないことが多いし

          しょうがないって言わせないで

          くろ・しろ・みどり③

          コロッケを食べた夜は、なかなか眠れない。消化されずに残った油と炭水化物が寝返りのたびに波打って、何か悪いことが起きそうな気がしてくるからだ。ソファに寝そべった環さんのにぎやかな寝息を確認すると、ハルはそそくさと部屋に駆け込んだ。最新式から10年は遅れているであろうノートパソコンを開くと、指が勝手に動画サイトのURLを打ち込む。たっぷり2分ほど読み込みバーを眺めているうちに、液晶画面は急に刺すように光った。目の周りを黒く縁取り、赤い革手袋をはめた少女のシャウトが響く。10年と少

          くろ・しろ・みどり③

          盗難届

          昼間の散歩中。車の下にいた茶色い縞の子猫が、カンちゃんの足音に驚いて去っていく。斜め後ろを歩くおじさんが「あれあれ」と穏やかに笑う。カンちゃんのお気に入りの緑の帽子が、風に飛ばされて見えなくなる。見ていた長い髪の女性は、申し訳なさそうに立ち尽くす。カンちゃんは会社勤めをしていない。おじいちゃんは「甘えていられるのは今だけだ」と肩をそびやかす。親戚のおばさんは「まだ若いから」と肩を叩く。カンちゃんは昨日、恋人と別れた。友達は「辛いよね」と涙を流す。幼馴染は「次があるよ」と大量の

          くろ・しろ・みどり②

          環さんが帰って来たのは20時を回るころだった。鍵を閉めるのもそこそこに、今にもちぎれそうなビニール袋を二つ、ハルに乱暴に手渡した。そのまま「失礼」とハルを押しのけて廊下をずんずん進む。片方は長ネギが飛び出し、もう片方からは甘い揚げ油のにおいが立ち上ってくる。 「ごめん遅くなって。これ、お詫び」 環さんは首だけ振り返って、揚げ油のほうを指さす。牛乳パックと卵とその他諸々の上に、油のしみた茶色い紙袋が乗っている。牛肉コロッケ、20%引き。 「こんな時間に揚げ物買ってこないで

          くろ・しろ・みどり②

          くろ・しろ・みどり

          一か月前、帰り道が消えた。中学校からも、最寄り駅からも、市民プールからも、行きつけの床屋からも、家に着くまでに必ず通る道だった。 なんてことはない。その道を通らなくても、ハルは長年の勘で家に帰ることができる。両肩にのしかかる単行本4冊分の重みも、汗に濡れて視界を遮る前髪も、真正面から突き刺す西日も、今までと変わらない。新しいイヤホンの充電を忘れたことだけが心残りだ。油蝉、暴走族、救急車。嫌いな音の渋滞をかき消してくれるものが一つもない。弁当箱を教室に忘れたマコトを置いて帰っ

          くろ・しろ・みどり

          血色の良いのっぺらぼう

          月経がはじまって5年経ったころだろうか。私の顔はつるつるしたのっぺらぼうになった。 縦横無尽に遊ぶ眉毛も、がんばった証の口ひげも、ある日を境に姿を消した。 ねえ、知ってた?アヒルの子と同じように、女の子にも生え変わりがあるんだよ。子どもの毛は経血といっしょに、シャワーで流れるの。だから、ほら。今の私はこんなに綺麗。目に入れても痛くないでしょ。 そんなお話を、彼が眠るまでゆっくりと言い聞かせる。安心しきった可愛い寝顔。そら寝じゃないことを必死に祈る。怖い夢を見ないように、鋭利

          血色の良いのっぺらぼう

          「逃げの就活」のすゝめ

          注:早い・易い・高いの三拍子とはかけ離れた就活の話です。効率よく進めるためのテクニックは全く出てきません。 お久しぶりです。就活もようやく終わりが見えてきました。就職活動の諸々が全部好きになれず、逃げ道を必死に探し、進んだり退いたり脇に逸れたりしてきました。なるべく忘れたくない体験なので、大まかな軌跡だけ残させてください。 ~2021年3月 とりあえず出版じゃね? 「好きなことを仕事に」と言われ続け、自分は何が好きか考えた。一番身近かつお金になりそうなのが本だった(演劇

          「逃げの就活」のすゝめ

          靴擦れ

          パンプスがずっと好き。曲線美と攻撃力の高さが好き。歩くたびに打楽器みたいな音が鳴るのも好き。 だけど、わたしの足とはとことん相性が悪い。全部の指が一か所に閉じ込められる感覚も、出っ張った骨をすりつぶすような硬さも好きになれない。歩けなくはないけど靴擦れする。 あと何回靴擦れしたら社会と折り合えるのか。靴擦れを痛いと思わなくなったとき、わたしはどうなっているのか。そのことを考えて涙が止まらなくなった。 「履き方にコツがあるんだよ」と教えてくれる人もいる。「もう少しの辛抱だよ

          「毎回サイゼでもいい」って言ったけど

          「毎回サイゼでもいい」と「ケチくさい人は嫌い」は両立する。してしまうからめんどくさい。 わたしは好きな人とごはんが食べたい。わたしがおいしいと思ったもの、その人がおいしいと思うものを一緒に食べたい。 その人の「おいしい」の感性を知りたくて、おいしく食べるわたしをちゃんと見てほしい。「おいしいね」って嘘でも言ったあと、おいしいと思う隙もないくらいにいろんなことを喋りたい。笑わせたい。生意気言って怒られたい。 ごはんはただの口実で、何時間も目的なく一緒にだらだら過ごせればいい。

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          人生の主人公にはならないほうがいい

          「君の人生の主人公は君しかいない!」って言うじゃないですか。 その通り!って思いたい自分と、ほんとに?って思う自分がどっちもいるんです。今も昔も。どうしたってモブにならなきゃ生きていけない場面はあるし、脇役に甘んじる自分を呪ったりもしてきました。可愛い子ランキングから逃げて変人キャラに走った中学時代も。掃除の時間、明るい子たちが談笑するなか黙ってゴミ捨てに行った高校時代も。 だけど、脇役として流されてきたから出会えた素敵なものも間違いなくあって。与えられるまま勉強して大学に

          人生の主人公にはならないほうがいい

          月末は自己嫌悪の決算期

          普段から情緒がとっ散らかりやすいのだけれど、月末は特にぐっちゃぐちゃしてしまう。 身体の周期のせいか、今月いっぱいのあれこれが一気に脳天まで押し寄せてくる。あれはまずかったなとか、こんなこと言わなきゃよかったなとか。それをかき消すために意味もなく他人に絡んでしまったりもする。いや、意味がないわけではないのだけど。だって何かしらの形で好きで、そういうときでも繋がってたい人にしか絡まないもの。 自分の中で完結させられたらいいのに、その余白がわたしにはないみたい。手に負えなくて

          月末は自己嫌悪の決算期