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フランス語(等の)方へ

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主にフランス語・フランス語学に関連する記事を放り込んでいます。
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#語学

deuxièmeとsecond【フランス語の方へ:1】

小手先の記事もちょっと書いてみよう、という試みです。


フランス語には、「2つ目の」と訳しうる形容詞がふたつあります。deuxièmeとsecondです。前者は基数詞deuxに序数詞化標識-ièmeをつけたものです。後者はラテン語secundusに由来します(なおsecundus自体は、sequi「付き従う(suivre)」という意のラテン語の動詞と、根のところでは繋がっているようです。Oxf

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【551】これくらい読めなきゃアウト? Finleyのイヤミを読みとろう

【551】これくらい読めなきゃアウト? Finleyのイヤミを読みとろう

ほんの一節の英文から(ごく禁欲的にやっても)これくらいは読むことになる、ということの実演であり、日本語においても、とりわけ然るべき著者によって力を入れて書かれているものについては似たような態度をとることになる、ということです。

■【母語なら読めるというわけではない】解釈をいちいち書き出すということは稀ですが、極めて大げさな言い方をするなら、一瞬で以下に示すくらいにわかることで、やっと文章を読むた

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【541】固有名詞やアナグラムの「翻訳」は無理だが豊か

【541】固有名詞やアナグラムの「翻訳」は無理だが豊か

『ハリー・ポッター』シリーズ、読まれたことのある方も多いかと思います。私もメインの7巻は全て読みました。小学生の頃は日本語で、その後は度々英語で、更に後にはフランス語やドイツ語や、変わり種ではラテン語や古典ギリシャ語で色々読んだものです。

日本語から英語に行くときには言語的レヴェルを除けばさほど苦労しなかったのですが、仏語やイタリア語に飛ぶといろいろと問題が生じます。


日本語と英語だけで読

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【509】朝顔とあずま屋と蝶:語学学習のわずかな一部

【509】朝顔とあずま屋と蝶:語学学習のわずかな一部

語学学習は結局のところ一定の規模の文章を念入りに読みつづけることが重要になってきますし、それが全てなので、母語だろうが外国語だろうが変わらなくなってきます。世の大半の語学の参考書が必然的に入門レヴェルのものに留まる理由です。

とはいえ語学の勉強であるからこそ、つまり意識的な、突き放された対象に関する学びであるからこそ、積極的に行われる作業もないわけではありません(し、それはある意味で、母語以上の

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【295】単発の理論や知識ではなく、全体性を見せてください

【295】単発の理論や知識ではなく、全体性を見せてください

Twitterで私のアンテナに引っかかるのは友人伝いで見られる学習系のアカウントです(というより、殆ど見ないからそうしたアカウントしか目に入らないという成り行きです)。

驚くべきことでもないのかもしれませんが、やはり半角280字という制限の中では、役立つことになっている単語やその意味を示しておしまい、ということになりがちです。それはそれできわめて意義のあることですし、それ以上を求める必要もないの

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【239】「火の取り分」を決めることで、燃やしてはならぬものが見えてくる

【239】「火の取り分」を決めることで、燃やしてはならぬものが見えてくる

簡単には消し止められない火事があると、私たちは消防車が水を撒くことに期待するものだ、と言えるかもしれません。

とはいえそれは、もちろん歴史上ごく最近にできた期待であって、かつては必ずしもそうではありませんでした。

そんなことをとっかかりにして。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が毎日書く、地味で堅実な、それゆえ波及効果の高い、あらゆる知的分野の実践に活かせる内容をまとめた

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【174】息抜きにフランス語を読めるようになった経緯から振り出される、あなたへのシンプルな問い

【174】息抜きにフランス語を読めるようになった経緯から振り出される、あなたへのシンプルな問い

外国語はどこまでも外国語ですが、外国語を読むことが息抜きになっている人種もいるわけで、それは私のことです。

今回はそういうことについて書いてみたいなと思います。

※記事の【まとめ】は一番下にありますので、サクっと知りたい方は、スクロールしてみてください。


研究をやっているとは言っても、息抜きで小説や教養書なども読みます。特にフランス語や英語やイタリア語で、研究にまるで関係のない通俗小説や

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