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休職日記

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2022年9月の記事一覧

日記のようなお手紙Ⅱ

日記のようなお手紙Ⅱ

ゲストハウスでの出会いは運命的だった。
東京に到着した日。ドミトリーのドアを開けた瞬間、目線が衝突した。隣同士の私とあなた。「はじめまして」と言いながら、昔から見知っているような感覚がした。きっと魂が近いところにいる。自然と私たちはカフェに行く約束を交わした。

音楽をしているあなたは、言葉よりも音がコミュニケーション手段。私も何か音楽をしていればと一瞬後悔した。その一瞬の後悔も忘却するほどに心地

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“働くこと”と“生きること”は違うらしい

“働くこと”と“生きること”は違うらしい

“働くこと”と“生きること”は、違うということを新卒1年目の私は分かっていなかった。

入社時研修で、自分にとって“働くこと”とは何なのかについて、考えるワークがあった。たしか私は「自分の人生の生きがいの一つ」だと答えたと思う。社会人として働いたことがない私は、仕事とは人生そのもの(=“生きること”)になるんじゃないかと思っていたようだ。

しかし休職してから私は、“働くこと”に対して異なった捉え

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自由とは、フェスで雨に打たれながら体を揺らすことだと思う

自由とは、フェスで雨に打たれながら体を揺らすことだと思う

心の友とも呼べる親友とフェスに行った。横浜の赤レンガ倉庫で開催された「ODD BRICK FESTIVAL」だ。

結論から言うと、とにかく最高だった。“何が?”って聞かれても“全てが!”としか答えようがない。今までどうしてもっと早く行かなかったんだろうかって、後悔したほどよかった。特に私の心が動いた3名のアーティストを紹介させてほしい。

①Awich
彼女目当てにこのフェスに参加したと言っても

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“うつくしい”という感性の正体

“うつくしい”という感性の正体

“うつくしい”ってなんだろう。
この感性はどこから来ているのだろう。

自分の心がどんなときに、なぜ“うつくしい”と感じるのか。深堀したくて、今この文章を書いている。

私は大きく分けて、人・風景・音楽に対して“うつくしい”と感じることが多い。それぞれについて考えてみる。

①人

曇りのない笑顔をする人に心が動く。目が真っすぐでキラキラと輝いているのが分かる人。有名人で言うと、水原希子さん・キア

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“生きづらさ”はHIPHOPが救ってくれた

“生きづらさ”はHIPHOPが救ってくれた

みなさんは今まで“生きづらい”と感じたことはないだろうか?
私は24年間ずっと感じてきた。

“生きづらい”の最初の記憶は、幼稚園の頃だ。当時通っていた中国の幼稚園でのこと。(中国人の母親にとって、身内のいない日本での育児は大変だったようで、生後9ヶ月~4歳まで中国の祖母の家で過ごした。)日本語もろくに喋れないのに、入園当初から「日本人」というレッテルを貼られ、意味不明な待遇を受けていた。物珍しさ

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香りは一瞬だが、記憶には一生残り続ける

香りは一瞬だが、記憶には一生残り続ける

香水はメイクと並ぶほどの魔法だ。

一昨日、散歩でたまたま通りかかったセレクトショップで新しい香水を購入した。『Senteur et Beaute(サンタールエボーテ)オードトワレ ブラックティー』という紅茶をモチーフにした香水。甘い紅茶の香りが控えめに上品さを引き立たせる。男性にも使えそうなユニセックスな香りだ。さっそくその日から心躍らせながら、首や手首に吹きかけている。

購入の際、お店のお姉

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余命3ヶ月をどう過ごすか

余命3ヶ月をどう過ごすか

みなさん余命3ヶ月と言われたら、どう過ごすだろうか?
実は休職が11月末までなので、過ごし方を考えているところ……。
余命1ヶ月の花嫁ならぬ、休職余命3ヶ月の会社員なのである。

「絶対に外せないこと」「やってみたかったこと」「余裕があればやりたいこと」の3つに分けて、考えてみようと思う。

▶絶対に外せないこと

・SHElikesの勉強。
 →6月に入会したものの、仕事で精一杯で手付かずだった

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満月しか美しいと思えない先生

満月しか美しいと思えない先生

休職をする前のお話。

私は医者に帯同し、夜遅くまで患者さんのご自宅へ診療に回っていた。(在宅医療の現場で、医療従事者の医療行為以外のサポートをするお仕事をしていた)
信号待ちをしていたとき。ふと見上げた先に、大きな三日月がとても綺麗に夜空で輝いていたもんだから、思わず先生に声を掛けた。

私「先生!見てください!今日は月がとても大きくて綺麗です!」

先生「なんだ。満月じゃないのか。」

がっか

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これだけで十分なのです

これだけで十分なのです

こんにちは。
とある昼下がりの日向ぼっこのおはなし。

2ヵ月前までは目の前の業務に忙殺され、日々の生活の営みを疎かにしてきた。そうして、いつしか自分の心が感じていることにすら気付けなくなってしまって。

仕事を離れてからは、随分と自分の心の動きを感じられるようになった。モンブランのケーキを食べるとき心は踊っているし、窓から差し込む光が美しいと心は感動する。最近は、家の出窓に腰掛けて、日向ぼっこを

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自分のわがままを認めてあげたい

自分のわがままを認めてあげたい

「頑張る、努力する意味はあるのか」

大学3年生の就活時期に、ずっとその問いを考えていた。
結局、私も私の周りの人も、もっと言えば人類や地球でさえも永遠なものなんてなく、滅んでいく運命。虚無に向かっているのなら、自分が頑張ることも無意味なのではないかと。
例えば私が天才かつ努力家で、将来エジソン並みに人類の生活の発展に貢献したとして。その地点と数百年だけで言えば、価値はあるのかもしれない。しかし、

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象眼師に魅せられて

象眼師に魅せられて

先日、自宅に一通のハガキが届いた。好きな人からだ。と言っても一度しかお会いしたことはない(笑)先月購入した象眼ネックレスの作家さん、伊藤恵美子さんだ。詳しくは下のインタビュー記事を読んでください↓

三越で暇つぶしにぶらぶらしていたときに、見たこともない綺麗なアクセサリーに目が留まった。熊本の伝統工芸である肥後象眼とスペインの伝統工芸であるダマスキナードを組み合わせた作品だという。鉄の漆黒と金とい

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サファリパークに友人を見に行った

サファリパークに友人を見に行った

先日、なんとも気持ち悪い偶然が起きた。

会社の同期と富士サファリパークへ行った時の話だ。
自宅から距離があったため、車を借りて行くことにした。二人ともそこそこの方向音痴なため、行きの高速道路で間違えて反対方面へ車を走らせてしまった。そのせいで30分程時間をロスすることに…。

ようやくサファリパークへ到着すると、夏休み最終日とあってか家族連れやカップルで長い列ができていた。動物のいるサファリエリ

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未来のことが考えられない

未来のことが考えられない

「5年後、10年後の自分を想像してください。何をしていますか?」
就活生ならいやというほど聞かれただろう質問。大丈夫、社会人になってからも問われ続けるよ。そんなこの質問が私は大嫌いだ。未来なんて分かるわけないだろ、今を生きたいんだ私は!といつも反抗的になってしまう。

先日、産業医の先生による月1定期のカウンセリングがあった。仕事を離れて1ヶ月、そろそろ心の状態も落ち着いてきたため、この問いを発動

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日記のようなお手紙

日記のようなお手紙

「海のにおい」と呟くあなたは海のないところで生まれ育った。島を旅先に選んでよかったと早くも満足気な私。

船が私たちを目的地へ運んでくれる。まるで私の輪郭のない不安を溶かすように、船の足跡は拡がっては消えていった。

島の猫がお出迎え。見知らぬ顔が島へ上陸することにはもう慣れっこみたいだ。
民宿で借りた古びた自転車を力一杯漕いでみる。肌を摩る海風が心地よい。トンボともハチとも並走。トンビが空高く飛

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