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『世界と僕のあいだに』タナハシ・コーツ (著), 池田年穂 (翻訳) アメリカの国の根幹にある病理を、息子への手紙という形で、強く訴えかけた本。同じ著者の小説を読みあぐねて、手に取った。こちらのほうが分かりやすかった。
『世界と僕のあいだに』
タナハシ・コーツ (著), Ta-Nehisi Coates (著), 池田 年穂 (翻訳)
Amazon内容紹介ここから僕の感想 直前、感想文を書いた、同じ著者の小説『ウォーター・ダンサー』が、あまりに読み進まなかったために、ちょっと目先を変えようと、前に買って、ちょっとだけ読んで積読状態にあった本書を手に取り直してみた。というのが読んだ経緯。
そうしたらば、今
『ウォーターダンサー』タナハシ・コーツ(著)上岡伸雄(翻訳) なんでこんなに僕の心の中に抵抗感があり読み進むのがつらかったのだろう。その理由を考えた。ほぼ脱線だらけの感想文。
『ウォーターダンサー』 (新潮クレスト・ブックス) 2021/9/28
タナハシ・コーツ (著), Ta-Nehisi Coates (著), 上岡 伸雄 (翻訳)
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Amazon内容紹介ここから僕の感想 正直「あんまり好きじゃあないなあ、読みにくいなあ」と思いながら読んでいたのである。なかなか進まなかった。アメリカの奴隷制を批判的に描く小説、と
『アナロジア AIの次に来るもの』 ジョージ・ダイソン(著)服部桂(監修)橋本大也(翻訳) 著者の個人史・家族史語りがそのまま「オッペンハイマー」や「三体」からIT革命につながるびっくり本でした。でもアナログの話は??でした。
『アナロジア AIの次に来るもの』 2023/5/20ジョージ・ダイソン (著), George Dyson (著), 服部 桂 (監修), 橋本 大也 (翻訳)
Amazon内容紹介
ここから僕の感想 僕にデヴィッド・グレーバーを教えてくれた広告業界きっての教養人、月村さんがFacebook投稿で紹介していた本。「かなり変わった本だけれど、原さんがどう読むか感想を聞きたい」というような形で薦
光る君へ (15)おごれる者たち 感想つれづれ 人違いの場合、するべきか、せざるべきか、それがシェークスピア的に問題なのである。
光る君へ (15)おごれる者たち 感想つれづれ
やはり、ここまでの主役が藤原兼家=段田安則であったことが、その不在で露わになったなあ。ドラマの筋がヘロヘロになってしまった。混沌とした回であった。
道隆=井浦新がまったく権力者の器でないこと丸出しになるし、道兼=玉置玲央は操り人形の操ってくれる人がいなくなってただの飲んだくれになるし。
この前、段田安則と玉置玲央は、今、リア王の舞台で共演
『光る君へ (14) 星落ちてなお』感想つれづれ。一部R18な深読みあります。
「光る君へ (14)星、落ちてなお」感想つれづれ。
吉高まひろの演技のキモは、姿勢と歩き方走り方にあるよな。道長に遭ってしまった後の背中をまるめてちょこちょこと歩く姿、かわいくてかわいそう。かわいいとかわいそうは同じ語源だからな。そもそもおかあさん殺されたのも、子役まひろが走ったせいって本人思っちゃってたり。道長に呼び出されても走るし。「光る君へ 走るまひろ」が原題である。ウソ。
段田安則
『オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集』~ (光文社古典新訳文庫) 自然主義の自然は、ほんとは「自然科学」のことで、ゾラの場合特に「遺伝学」にもとづいて、生物学的に決定されちゃう人間を描くものなんだそうだ。知らなかったな。
オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~ (光文社古典新訳文庫) Kindle版ゾラ (著), 國分 俊宏 (翻訳)
Amazon内容紹介本を読んだ経緯
ゾラについては「ゾラ=居酒屋=自然主義」くらいの受験用文学史知識しかなくて、全く読んだこともなかったし、興味も無かったのである。
話は大脱線するが、僕にとって「ゾラ」といえば、20年前くらいのサッカー、ロンドンの強豪チェルシ
『死の講義』橋爪 大三郎 (著) 宗教について死について「中学生にも分かるように」しかし根源的網羅的に知識を整理しつつ、「自分の死」についてどう考えたらいいのか「自分で決める」ためのガイドをしてくれるものすごい本でした。国民的必読書だぞ。
『死の講義』 2020/9/30 橋爪 大三郎 (著)
Amazon内容紹介Amazonにはいろんな人の推薦文もあるけど、僕もそう思ったのだけ引用する。
この人、本の帯では〈語彙が消失するほどよかった。〉とも書いているが、同感である。
ここから僕の感想 というか読んだきっかけというのが。先日、さとなおくん (佐藤 尚之くん 広告業界関係じゃない読者の方に紹介すると、 『ファンベース』などコミ
『【改訂完全版】アウシュヴィッツは終わらない これが人間か』 (朝日選書) プリーモ・レーヴィ (著)ふ 「アウシュヴィッツは終わらない」という副題は、つまり、どういうことなのかについて考えた。
【改訂完全版】アウシュヴィッツは終わらない
『これが人間か』 (朝日選書) 2017/10/10プリーモ・レーヴィ (著)
Amazon内容紹介ここから僕の感想 先日感想を書いたレーヴィの短編集『周期律』は、強制収容所体験についてはごく一部だった。今回読んだのは、収容所体験そのものを書いた、レーヴィの代表作、出世作である。
以前、いろいろなnoteで繰り返し書いてきたが、基本的に僕はホロコ
「光る君へ (12) 思いの果て」について「純文学は性的表現の最後の砦」視点から感想文を書いてみる。なぜか村上春樹『ノルウェイの森』と、トルコのノーベル賞作家オルハン・パムクについて論じています。
小説はまだ書く準備は整わないが、とりあえず、性的なことを「お下劣」とか「不適切」とか言うのはやめることにする。そうではない。性的表現に真正面から取り組むのが純文学の大切な役割なのである。その点で今季の大河ドラマ『光る君へ』と、TBS金曜ドラマ『不適切にもほどがある』は実に純文学的な傑作ドラマなのである。
僕の性的表現に関するスタンスを「純文学は性的表現の最後の砦」と呼ぶことにした。という決意
『周期律』プリーモ・レーヴィ (著), 竹山 博英 (翻訳) 枕詞として「アウシュビッツ収容所の体験を書いた」と言われるレーヴィですが、本作では化学を志し学んだ学生時代から化学者として様々な仕事をして戦中、戦後を生き抜いたその半生を、元素名をタイトルとした21の短編で多角的に描いたもの。それもありだがそれだけじゃない。
『周期律』 2017/10/19
プリーモ レーヴィ (著), 竹山 博英 (翻訳)
Amazon内容紹介本の帯
ここから僕の感想「ホロコースト、アウシュビッツ収容所を生き残った、その体験を書いた」というのがプリモ・レーヴィの枕詞のように使われちゃうので、全篇、そういう本なのか、と身構えると全然そうではありません。一部、そのことは人生の一部として書かれていますが、それ以外、それ以上の、人生の全
『死なないための暴力論 』森 元斎 (著) アナキストにしてデヴィッド・グレーバー大好きな著者による「アナキズムと暴力」論でした。グレーバー著作背後に常に感じられるアナキズムをどう考えるか、その補助線を頭の中に引くのに役に立ちました、僕にとっては
『死なないための暴力論 』(インターナショナル新書) 2024/2/7
森 元斎 (著)
Amazon内容紹介ここから僕の感想。 ちょっと関係ない話からスタート。映画「スターウォーズ」の世界ではジェダイの騎士たちが使う力は「フォース」っていうじゃん。あれ、暴力「バイオレンス」とは違って、正義の力だっていうことなんだと、映画製作者は主張したいんだなと理解していたのだな、僕。 ジェダイは銀河共和国の
『有閑階級の理論』ソースタイン・ヴェブレン (著)村井章子(訳)ポストモダンな消費論の先駆けの本かと思ってまあいいかと読んでいなかったのだが全然違った。デヴィッド・グレーバー的アプローチの100年先駆けであり、平安貴族大河『光る君へ』理解にも有益な凄い本でした。
『有閑階級の理論』[新版] (ちくま学芸文庫 ウ 9-2) 文庫 – 2016/11/9
ソースタイン・ヴェブレン (著), 村井 章子 (翻訳)
Amazon内容紹介このちくま学芸文庫版のAmazonページには内容紹介がないので、講談社学術文庫版 長いけれど正確な要約なので。
ここから僕の感想 タイトルと装丁写真からは、なんかポストモダン消費論を先駆けたような、ブランドとかなんとかそういう
『ポーランドの人 』 J.M.クッツェー (著), くぼたのぞみ (翻訳) 本文200頁ほどの中篇だが味わい深し。かなり高齢(70代後半)単身男性ピアニストと49歳の知的な家庭ある女性の恋(というか男性側からの一方的な恋)を女性視点側から描く。クッツェーは執筆時82歳高齢男性なのだが、その手際は。
『ポーランドの人 』 2023/6/1
J.M.クッツェー (著), くぼた のぞみ (翻訳)
Amazon内容紹介 があまりに長いので初めの方だけ
本の帯のほうが、小説の雰囲気を伝えているなあ。
ここから僕の感想 高齢のノーベル賞作家が、死に近いくらい高齢の老人男性主人公の恋(と性)を描いた小説、というのを、昨日のガルシア・マルケスの『わが悲しき娼婦のたちの思い出』に続いて、二日連続で読ん
『わが悲しき娼婦たちの思い出』 ガブリエル・ガルシア=マルケス (著), 木村 榮一 (訳) 90歳老人の14歳娼婦への、性というより恋の話。マルケスらしく明るく前向き元気なのだこれが。川端の『眠れる美女』に触発されて書かれたというが印象は正反対。
『わが悲しき娼婦たちの思い出』 単行本 – 2006/9/28
ガブリエル・ガルシア=マルケス (著), 木村 榮一 (翻訳)
Amazon内容紹介
って最近なくなったのかな。ネタバレ禁止仕様になったのかな。なので本の帯まず表面を引用します。(一部改行変更しています。)
裏面
ここから僕の感想 本の帯に「淫らに過ごしたい」と書いてあるからと言って、すごく淫らな小説かと言うと全然そんなこと