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『フェリシアの旅』ウィリアム トレバー (著), 皆川 孝子 (訳) 単純で純粋な人物を、リアリティある魅力ある人物として描くというのは、難易度が高いと思うのだよな。短篇小説の名手は、長編小説もうまかった。
『フェリシアの旅』 (角川文庫 ト 14-1) 文庫 – 2000/2/1 ウィリアム トレバー (著), William Trevor (原名), 皆川 孝子 (翻訳) ◆Amazon内容紹介は、なし。なので、「あとがき」の冒頭を引用。 でね、僕は最近、ウィリアム・トレヴァーの小説の感想文をいくつか書いているのだが、今や「ウィリアム・トレヴァー・コレクション」という選集が発行されているくらい、日本でも評価が高くなって、「世界最高の短篇小説家」と言われたりしているのだ
『土にまみれた旗』ウィリアム・フォークナー (著), 諏訪部浩一 (訳) フォークナーの作品の多くが「ヨクナパートファ・サーガ」と呼ばれる連作、ひとつの架空の町の長い歴史と多くの人々を描いているのだが、その第一作がこれ。超重量級の大作でした。
『土にまみれた旗』 ウィリアム・フォークナー (著), 諏訪部浩一 (翻訳) Amazon内容紹介 ここから僕の感想 今年に入ってから、今まで全然知らなかったフォークナー作品を続けて読んでいるわけだが、初めに読んだ『アブサロム・アブサロム!』(池澤夏樹=個人編集世界文学全集)での池澤夏樹氏の解説で、フォークナーの作品の多くが、架空の街、ヨクナパートファ郡ジェファソンという街を舞台にした、大連作群「ヨクナパートファ・サーガ」というものであるということを知ったのだな。で、本作
『精霊たちの家』 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-7)イサベル・アジェンデ (著), 木村 榮一 (翻訳)マジック・リアリズムの傑作ということで『百年の孤独』文庫話題の今、読んでみたら、マジックな導入からチリ現代史のリアリズムに着地していく傑作でした。読後感とても清々しい。おすすめ。
『精霊たちの家』 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-7) 単行本 – 2009/3/11 イサベル・アジェンデ (著), 木村 榮一 (翻訳) Amazon内容紹介 作者紹介 ここから僕の感想 ガルシア=マルケス『百年の孤独』と比較されることが多いらしい本作、あちらの文庫化話題のときに、こっちを(8年前に買ったまま積読だったのを)ひっぱりだして読んでみた。 いやまあ、面白かったよ。予想を超えた展開、小説を読み進めると読み初めと印象がどんどんと変わっていく
『2034 米中戦争』エリオット・アッカーマン (著), ジェイムズ・スタヴリディス (著) 元NATO軍最高司令官が書いた近未来軍事小説だぞ。日本はまる出てきませんが、アメリカにとっての悪夢のような最悪のシナリオがずんどこテンポよく進んで、あっという間に読んじゃいました。
『2034 米中戦争』 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション) 2021/11/11 エリオット・アッカーマン (著), ジェイムズ・スタヴリディス (著), 熊谷千寿 (翻訳) ふだん僕はあんまり読まないタイプの、近未来戦争シミュレーション小説なんだが、Facebook友人の菊地さんが「佐藤優氏が先月2泊4日でイスラエルに強行渡航した際に現地イスラエル高官から薦められた本」ということで紹介してくれたので、読んでみた。 これがね、すごく面白かった。著者がね、二人いる
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『夜のみだら鳥』ドノソ(著) 鼓直(訳) 『百年の孤独』文庫発売時期に、あっちが「陽」なら(わやくちゃだけれど読んでいると楽しい気分になるんだよな、あれは)こっちは「陰」の極みのようなラテンアメリカ小説の名作らしいので、読んだら、ほんとに鬱々としてしまいました。
『夜のみだら鳥』 ドノソ(著) 鼓直(訳) 集英社 ラテンアメリカの文学11 1984年7月刊 Amazon内容紹介が無いので、本の帯 ここから僕の感想 七月のはじめにガルシア=マルケスの『百年の孤独』文庫が出版されてTwitterでも大騒ぎになったときに、何人かの人が「ラテンアメリカ文学なら私は『夜のみだらな鳥』が好き」というようなツイートをしていた。一人ではなかったんだな。そうか、知らなかったな。と思っていたら、読書師匠のしむちょんが、ドノソの別の本についての感想文
『「論理的思考」の文化的基盤 4つの思考表現スタイル』渡邉雅子(著) いやもう歴史的名著。僕はこの本の内容を若者に伝道する仕事を余生全部かけてもいいと思ったくらい。自分が「感想文教育」の申し子であることも痛感自覚しました。
『「論理的思考」の文化的基盤 4つの思考表現スタイル』 2023/9/26 渡邉 雅子 (著) ◆Amazon内容紹介◆ここから僕の感想 この前、フライングで読書途中で興奮して投稿してしまったけれど、ノートを取りながら読み進め、読了。 この前「今年読んだ本の中でNO1」と書いたけれど、訂正。これまでの人生で読んだ本の中でベスト3に入るすごい本でした。かなり興奮状態にある。 どれくらい興奮しているかと言うと、おそらくこの本は高校から大学教養課程くらいの人、それは文系
昨夜(8/17)、再放送されていたNHK BS「パクス・ヒュマーナ 〜平和という“奇跡”〜」(初回放送日は2024年2月23日だったそうだが、見ていなかった)素晴らしい内容だった。
昨夜、再放送されていたNHK BS 「パクス・ヒュマーナ 〜平和という“奇跡”〜」 (初回放送日は2024年2月23日だったそうだが、見ていなかった) 素晴らしい内容だった。 番組HPから ここから僕の感想まずは番組前半。 十字軍の時代に奇跡の十年間の平和な時代を築いたフェデリコ2世。シチリア島パレルモに生まれ育ったのだが、父はドイツの神聖ローマ帝国皇帝(母がシチリアの女王)で、神聖ローマ帝国皇帝を継いじゃったもので、ローマ教皇に十字軍を率いることを誓わせれ、第六回十字
パリ五輪 男子バスケットボール決勝、スティーブ・カー監督と最後の3分間のステフォン・カリーの活躍を見て、だいぶ昔2015年6月NBAファイナル前に書いたブログを思い出し、転載します。レブロンvsカリーのファイナルだったのだな。
スティーブ・カーとステファン・カリー NBAファイナルに寄せて 今期のNBAファイナルは、メディア上ではステファン・カリーVSレブロン・ジェームスの新旧MVP対決!という話題で盛り上がっていたが、私個人的には、スティーブ・カーの采配、というか「スティーブ・カーの夢、やりたかったことの実現」と、その素材としてのステファン・カリーいう点に興味の中心があって、ずっと見ていた。 スティーブ・カーと、ステファン・カリー。日本語表記通称だとスティーブとステファンだが、どちらも同じs
なんで私はこんなに一生懸命、柔道についてあれこれ書いているのかな。フランスが強いのはなんでなの。Facebook投稿から転載。
(不適切かなと非公開にしていた投稿に、手を加えて、復活させてみた。でもまあ不適切だが) 阿部一二三にフランスのギャバがかけた肩車を「タックルで柔道じゃない」とSNSが騒ぎになっていることを取り上げた日テレ「ミヤネ屋」で、番組スタジオで梅沢富美男さんもその意見に同調するのに対して、「足取り禁止ルールが採用されて以降に開発研究された(ほんとは古くからあったがそのとき以降に改良され多用されるようになったというのが正確だが)、足を取らない下半身に触らない変則肩車という高度で立派な
2024パリ五輪 柔道競技・観戦しながら感想分析などFacebookに投稿した長文転載。その10 団体戦でフランスに負けて、思うこと。
だめだ。柔道競技の総括をしようと何度もいろいろ書いているが、言いたいことがたくさんあるのと差し障りがたくさんあるのとで、全部非公開にして途中でやめてしまっている。 次の五輪の代表選考や、そのときのメディアの振る舞いについて、また今回と同じ轍を踏まないために、これだけは書いておかなければと思うのだが。 体操の東京五輪のときというのは、直前までのメディアが扱う主役はレジェンド・内村航平だった。しかし、はじめの団体予選でぼろぼろになって、橋本大輝に主役交代。橋本がヒーロー
2024パリ五輪 柔道競技・観戦しながら感想分析などFacebookに投稿した長文転載。その9 男子100キロ超級女子78キロ超級。出場できなかった世界選手権優勝・冨田若春や、影浦心・原沢久喜・中野寛太の悔しさを思う。
試合前日 ドンマイ川端さんと鈴木桂治監督の動画を見ながら、100キロ超級選手選考について考えた 今日の100キロ超級の斉藤立だけは、鈴木桂治監督の「個人的気持ち」が、ちょっと代表選考、早めの決定に入っちゃったよなあと僕は思う。批判しているのではない。人間だから。心があるから。この動画を見れば、僕の言うことは分かってもらえると思う。 鈴木桂治監督は代表選考に関して「公平であるように、絶対に国士舘出身をひいきしたと言われないように、むしろ国士舘出身者には厳しく見た」という
2024パリ五輪 柔道競技・観戦しながら感想分析などFacebookに投稿した長文転載。その8 男子100キロ級女子78キロ級の翌朝。柔道界の深い闇、ジュリー制度について。主審を責めるのはお門違いということについて。
柔道界の一番の闇。「ジュリー制度」「スーパーバイザー(審議員)」について。 今回、ツイッターとかで裏事情を知らない人が、主審、特に女性主審を批判しているが、それ、なんの意味もないからな。ピント外れも甚だしい。 会場正面メインテーブルでビデオ見ながら試合に好き放題に口を出している人の名前が全然出てこない、あれは誰がどういう権限でやっているのでしょうか? 他の競技、サッカーでもラグビーでもビデオ判定する人、その担当の審判の名前は試合前にちゃんと表示公表される。そしてあ
2024パリ五輪 柔道競技・観戦しながら感想分析などFacebookに投稿した長文転載。その7 男子100キロ級女子78キロ級の日。ウルフアロンと高山莉加、メダルには届かなかったけれど、ここまでの道のりを思うと、素晴らしかったと思う。
予選ラウンドをTverで見ながら今日はなんでだか柔道の予選ラウンド放送がないので、TVerで観戦中。 男子100キロ級 ウルフアロンがポルトガルの世界チャンピオン経験者フォンセカを凄まじい内股で投げ飛ばして準々決勝進出。 女子78キロ級はNHK配信(すぐ止まる)で観戦中 高山がドイツのワグナーと準々決勝対戦中 いや、指導3で負けた。 すぐ止まる。テレビ放送しないからサーバーがパンクしたんだと思う。 決勝ラウンド終わり 柔道、男子100キロ級ウルフアロン、女子78キ
2024パリ五輪 柔道競技・観戦しながら感想分析などFacebookに投稿した長文転載。その6 ちょっと脱線、真面目な話。イスラエル選手がトルコの選手を追いかけてまで握手した姿を見て思ったこと。
オリンピック真っ最中。イスラエル選手は柔道で男女とも強い。上位にたくさん進出して、今回はメダル争いにも絡んでくる。 イランやトルコという、イスラエルと戦争一歩手前の国の選手もたくさん柔道には参加している。これまたなかなか強い。 あのね、古代オリンピックの時代、ギリシャの都市国家ではね。 Wikipediaから 2022年、ウクライナ戦争、プーチンでさえ、北京冬季五輪(戦争準備していたわけだが)が終わるのを待ってから戦争侵攻おっぱじめたんだわな。五輪期間中の開戦は避
2024パリ五輪 柔道競技・観戦しながら感想分析などFacebookに投稿した長文転載。その5 男子90キロ級女子70キロ級の日。柔道が技による難易度芸術度の違いと実施の出来映え点を採点する体操競技のような採点競技なら。村尾が優勝していた。
村尾選手の決勝、悔しい「技ありなし」判定について。 村尾三四郎は悔しかったけれど。、本当に立派な内容であった。審判が判定がということは言うまい。きれいに浮かせても回しても「背中がつくかどうか」が投げ技ポイントの条件という現行ルールの中では「疑惑の判定」は無かった。 柔道が体操競技やフィギュアスケートやサーフィンのように、技の種類による難易度点と実施出来映え点により、一定時間内の総得点を競う(サーフィンのように)というルールならば、村尾三四郎が勝っていただろう。 僕は以前か