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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2018年3月の記事一覧

跳び箱から見える景色

跳び箱から見える景色

はじめてのことに対して、多くの人は恐怖を感じるものだ。多かれ少なかれ程度はあるけれど、まったく怖さを感じたことがない人はいないだろう。そもそも、「怖い」という感情は、自衛のために必要なものだ。

ただ、その怖さに飛び込んでいかなければ、人はいつまで経っても進歩できない。

息子は、なかなかのビビリだ。跳び箱も鉄棒も不得意で、「できないもん」と言っている。

得意不得意はあって当たり前。ただ、彼の「

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老害予備軍はそこら中にいる

老害予備軍はそこら中にいる

老害、ということばがある。わたしは、このことばがあまり好きではない。……いや、好きな人の方がきっと少ないかな。「少ないよね?」と思いたい、ネガティブなことばだ。

そもそも、「老害」と呼ばれるような人たちは、歳を重ねて害を放つようになったわけではない人が大半ではないのかな。

他人に対して失礼な言動や価値観を持っている人は、その多くが10代20代から一端を垣間見せていると思っている。

他人に優位

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その“やさしさ”は本当にやさしいの?

その“やさしさ”は本当にやさしいの?

やさしさは、時にむずかしい。

大学時代、非行少年・少女と関わるボランティアをしていた。はじめての活動を迎えるにあたり、先輩から「絶対に連絡先を交換しないように」と厳命される。「関わりは、あくまでもボランティア活動中のみにしなきゃダメ」と口を酸っぱくして言われた。

彼ら彼女らに「助けて」と頼られたとき、ただの学生であるわたしたちには、何もできないからだ。

更生途中の彼ら彼女らは、精神的に不安定

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オセロの黒ばかりを見つめてしまう

オセロの黒ばかりを見つめてしまう

春は出会いと別れの季節。

今のわたしに、年度末に訪れる別れはほとんどない。それでもどこか胸がざわざわするのは、何年も繰り返してきた出会いと別れが心に刷り込まれているからかもしれない。

出会いと別れ。終わりとはじまり。

オセロの白と黒のように、両者は表裏の関係だ。はじまったものは、いつか終わる。別れるから、また出会うことができる。

どうせなら、出会い、はじまる方にばかり意識を向けられたらいい

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自信のカケラ

自信のカケラ

子どもの自己肯定感は、親をはじめ周囲の人たちによって育まれる。

いくらがんばっていたとしても、いくら結果が出ていたとしても、誰にも褒められたり認められたりしないままでは、がんばったり結果を出したりした自分を認められる力は得られないのではないかなと思う。

自己肯定感は、そもそも「できた自分もできない自分もまるまるOKと認められること」だ。だから、殊更結果を褒めるのは逆効果だと聞いたこともある。「

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微熱の思考回路

微熱の思考回路

微熱を出して、臥せっていた。

恐らく原因は花粉症。ヤツとは中学生頃からの付き合いだけれど、発熱したのははじめてだ。

薬を飲んでも鼻炎は解消せず、ここのところ痛みを抱えていたのどは、飲み会+カラオケでトドメを刺され、すっかりひどい声に。

味覚障害状態のため、食欲もいまいち湧かない。困ったものだ。

ほぼ一日中臥せりながら、鼻炎でぼーっとした頭は、いろんな思考が浮かんでは消えるを繰り返す。体が動

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子育て第1章、閉幕。

子育て第1章、閉幕。

長男が卒園した。未就学児のためのプレからお世話になったので、ほぼ四年の付き合いだった。

次男をいかに静かにさせ続けるかに気を張っていたので、予想通り泣くどころの騒ぎではなかった。けれども、一番早い子で1歳の頃から付き合いのある息子の友だちを含め、「たったの3年間」が、子どもたちにとってどれほど大きな3年間であったのかを実感して胸が熱くなる卒園式だった。

さて、わたしはどうだろう。この3年間で成

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「思い立てる」のはありがたい

「思い立てる」のはありがたい

「フットワークが軽いよね」といわれることが増えた。そうなのか、と思う。

わたし自身、あまりフットワークが軽い方だとは思っていない。むしろ、本質は出不精だ。放っておけばひとりで何時間でも引きこもれる。むしろ、「ひとりならば」引きこもれる。

わたしが外に出るのは、誰かに会うためがほとんどだ。誰かの話を聴きたくて、誰かと話がしたくて、わたしはいつでも外に出る。

***

ライター仲間の大城あしかさ

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それは「ネタ」か、それとも「ヒト」か

それは「ネタ」か、それとも「ヒト」か

ものを書く人間には、「あ、これはネタになるな」と思うことが多々あるだろう。自分の失敗談をはじめ、「こういう人がいた」「こんな会話を聞いた」など、アンテナを張り巡らしている人は少なくないだろうと思う。

これは創作でも同じだ。「こんな変わった仕事があるんだ」「こんな変わった人がいるんだ」という出会いは、発想力や執筆モチベーションの原動力になる。こうした気持ちは、当たり前のものでもある。

しかし、そ

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競走するためのベクトルの向き

競走するためのベクトルの向き

競争社会で生きていくためには、絶対評価より相対評価の方がいい。

そんな意見を見聞きしたのは、中学生頃。通知表の成績は、中二の終わり頃まで絶対評価だった。(中三からは内申点を出さねばならないために相対評価に切り替わった)

なお、わたしは中高通してテストの点数の貼り出しを経験したことがない。親は「ああいうのがあった方が励みになって伸びる成績もあるのではないか」と言っていたけれど、わたしは「いや、わ

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映画「インサイド・ヘッド」のカナシミ

映画「インサイド・ヘッド」のカナシミ

ディズニーの「インサイド・ヘッド」を、子どもたちが何度も見ている。以前、放映されたときに録画したものだ。

これまでわたしはきちんと見ていなくて、ながら見や、ながら聞きをするだけだった。なぜか耳に入ってくるのは毎回同じシーンばかり。繰り返され続けるうちに何となくあらすじはわかったけれど、それくらいのものだった。

日曜日に、また子どもたちが「インサイド・ヘッド」をつけた。(長男はデッキのハードに録

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要領の悪いファーストペンギン、兄姉に恵まれる

要領の悪いファーストペンギン、兄姉に恵まれる

兄弟において、下の子は要領がよいものだとよく言われる。

年の差がある兄弟では、どうなのかわからないのだけれど、年が近いと目の前に見本がいるようなものだから、(あ、あれはやめておこう)と学べるのは確かだろう。

実際に、わたしは要領が悪いとよく叱られ、二歳年下の妹はよく褒められていた。事実、妹は要所を押さえるのがうまかったし、手際も良かったのだろうなと思う。

この間、こんなツイートをした。

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伸びきったゴムは戻らない

伸びきったゴムは戻らない

息子に引っ張られ続けた園帽子のゴムが、すっかりゆるゆるになってしまった。

すっかり弾力性を奪われてしまったゴムは、情けなく彼のあごの下で垂れ下がっている。へろへろ、という言葉がしっくりくる心許なさだ。

無理な力を加え続けることは、長い目で見るといいことがないんだなあ、なんて思う。

新しい環境では、誰しも多かれ少なかれ気を張るものだろう。だからこそ、はじめのうちは疲労感が強いし、ストレスを感じ

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世界は人間のサラダボウル

世界は人間のサラダボウル

世の中には、本当に多種多様な人がいる。そんな当たり前のことを、肌で感じるのが好きだ。

母親になり、年齢が異なる友達が増えた。ライターの仕事を始めて、出会う人の性別・年齢・バックボーン・興味関心・仕事内容のバリエーションが、さらに広がった。

頭で「いろんな人がいる」と思っていることと、実際に周囲にさまざまな人がいることとは、大きく異なる。人間は、どうしたって環境に順応しようとする生き物だ。頭だけ

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