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伸びきったゴムは戻らない
息子に引っ張られ続けた園帽子のゴムが、すっかりゆるゆるになってしまった。
すっかり弾力性を奪われてしまったゴムは、情けなく彼のあごの下で垂れ下がっている。へろへろ、という言葉がしっくりくる心許なさだ。
無理な力を加え続けることは、長い目で見るといいことがないんだなあ、なんて思う。
新しい環境では、誰しも多かれ少なかれ気を張るものだろう。だからこそ、はじめのうちは疲労感が強いし、ストレスを感じることも多い。
ただし、それはずっと続くわけではない。新しい環境に慣れ、人間関係が築かれていくのに従って、ピーンと張り詰めていた心は少しずつ普段どおりの姿を取り戻す。
その後も、必要なシーンではピンと張ることもあるのだけれど、その頻度はそこまで多くはない。
緩急やメリハリという言葉のとおり、何事にも緩める時間は必要なのだと思う。
「がんばろう」と思いすぎて、無理な力を加え続けてしまうと、正しい形が失われてしまう。
実際のところはわからないのだけれど、ときどき、「この人、ゴムをずーっと引っ張り続けているのではないかな」と心配になることがある。もしかしたら、わたしの思い違いかもしれないけれど。
でもね、もし精一杯力を加え続けているのなら、どうか手を離してもう少し緩める時間を増やしてね。緩めた状態でもがんばれるし、緩めた状態の方が長く続けられるとも思うから。
引っ張り続けたゴムは、伸びっぱなしになるか、傷んで切れるかするだけだ。再起不能になるよりも、緩急をつけながら自然にやり続けられる力具合の方が、きっと長い目で見ると、よりよいところに到達できる気がするのだ。
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