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アフリカのビジネス環境

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アフリカに古着を送るべき?送るべきでない?古着をめぐるさまざまな視点

アフリカに古着を送るべき?送るべきでない?古着をめぐるさまざまな視点

先進国で使用済みとなった古着の一部は、アフリカなどいわゆる途上国に輸出されています。寄付として送ったはずの古着が、環境破壊をもたらしたり現地産業の成長を阻害しているのではないかという意見や、大量に生産してはすぐに廃棄され他所の国で処理されることになるアパレル産業の慣行への批判もあります。

アフリカの中でも、さまざまな意見があります。古着を巡ってどんな意見があるのか、テーブルの上に並べてみたいと思

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カーボンクレジットはアフリカの経済的な救世主となるか

カーボンクレジットはアフリカの経済的な救世主となるか

世界でカーボンクレジット、とくに民間のボランタリークレジットの取引が活発化しています。排出量の多い特定産業以外でも社会や投資家からカーボンゼロ/カーボンニュートラルを求められるようになり、早く安価に炭素削減を行いたい先進国の企業と、新たな収益源を見つけた途上国などの思惑がマッチした形です。

アフリカでも同様にブームの兆しで、昨年のCOP27のあとアフリカの政府などが参加して結成された団体は、20

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「動かぬ巨人」ナイジェリアにポジティブな異変。ビジネス環境改善なるか

「動かぬ巨人」ナイジェリアにポジティブな異変。ビジネス環境改善なるか

ナイジェリアの動向に、いまめちゃくちゃ注目が集まっています。

ナイジェリアは人口2億人を抱え、OPECのメンバーでもあるアフリカ最大の産油国です。アフリカ54カ国を言えなくても、大国ナイジェリアを知らない人はいないでしょう。

しかしナイジェリアは、その恵まれた資源があるがゆえに、原油に依存した経済構造です。苦労して製造業などにより外貨を得なくても、原油を売れば手に入りますし、国家歳入も潤います

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2022年を振り返るーアフリカビジネス、今年の重大ニュース

2022年を振り返るーアフリカビジネス、今年の重大ニュース

2022年もあとわずか。今年の重大ニュースを選びました。

【スタートアップ投資】BNPLやSHS、B2Beコマースなどが順調に調達しホットな調達環境、来年は・・・

世界でスタートアップの調達に逆風が吹き始めたなか、アフリカについては今年も引き続き調達環境はホットだった、と言ってもよいでしょう。上半期のみですでに前年の半分以上の調達額を達成し、下半期になってもシリーズCやDの調達も行われました。

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アフリカ視点のCOP27-2つのキーワード

アフリカ視点のCOP27-2つのキーワード

エジプトの保養地、シャルム・エル・シェイクで行われていたCOP27(第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が閉幕しました。アフリカでの開催となったCOP27は、アフリカ視点でみると2つの成果がありました。

「損失と損害」開催前から今回の大きな目玉とされていたのは、「損失と損害(Loss and Damage)」に関する基金の設立でした。これは、気候変動の原因を作り出してきた先進国などが、排出

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携帯通信最後のフロンティア、エチオピアがモバイルマネーを開始

携帯通信最後のフロンティア、エチオピアがモバイルマネーを開始

アフリカというと、ケニアのモバイルマネーM-pesa(エムペサ)が有名なので、どこでもモバイルマネーを使っているような印象がありますが、実は、違います。

モバイルマネーは金融と通信のはざまにあるだけでなく、結局は銀行口座に帰結するなんとかPayと違って既存の金融システムと並列に存在することになるため、法整備や規制の構築が大変なのです。

中央銀行も既存の銀行も既得権益が削がれますから抵抗します。

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アフリカは親日?日本の印象は?

アフリカは親日?日本の印象は?

アフリカは親日なのか、アフリカでは日本はどう見られているのか、というのはよく聞かれる質問です。ひとことでいうと、

「未知だけど印象がよい国」

技術力がある(主としてトヨタ車からの連想)、いい人達(まじめで規律が効いている)、豊かな国(ミラクルな経済成長を成し遂げた)というのが日本の三大印象だと思います。アフリカで日本人だと言って嫌な思いをしたことはほとんどありません。

ただし、みんな実際のと

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アフリカ54カ国がひとつの市場になる?アフリカ自由貿易圏協定が運用開始

アフリカ54カ国がひとつの市場になる?アフリカ自由貿易圏協定が運用開始

今年の1月1日から、アフリカで54カ国(エリトリア除くすべての国)が参加する、自由貿易協定(FTA)が運用を開始しました。アフリカ自由貿易圏(AfCFTA)協定といい、エーエフシーエティーエーと読みます(アフリカFTAとかの方が言いやすくないですか?そのうちそう呼ばれるようになる気がします)

これってすごいことですよね。WTO創設以来最大の貿易協定で、域内人口13億人です。アフリカ版EUと言われ

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番外編:アフリカの携帯メーカーシェア、国別でみると?

番外編:アフリカの携帯メーカーシェア、国別でみると?

アフリカ、とひとくちに言っても、54もの国があります。

ビジネスチャンスがあるかどうかは、市場や競争、事業の経済性によって違いが生じます。市場とは、顧客の購買力の差、商品の普及段階や使用シーンの違いなどです。経済性とは、可能なビジネスモデル、メーカーから最終顧客までどうやって販促し、どうやって商品を届けることができるかという流通構造の違いや、港からの距離、規制や関税、為替などで決まります。

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アフリカで携帯はどの程度普及しているの?通信環境は?

アフリカで携帯はどの程度普及しているの?通信環境は?

(2023年10月追記)この記事で取り上げている情報を更新し、2023年時点の最新情報を以下にまとめました。現時点での決定版です。以下からご覧ください。

コロナ禍以降、アフリカでも、オンラインや遠隔サービスの成長が期待されています。そのインフラとなる「携帯電話」の普及率や通信環境について、基礎的な情報をまとめてみたいと思います。

ちなみにサムネイルは、ノキアのフィーチャーフォンを持つ人が私のF

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米大統領選-アフリカ各国大統領の反応

米大統領選-アフリカ各国大統領の反応

バイデン氏、ハリス氏の当選がほぼ確実となった昨日から今日8日にかけて、アフリカ各国の大統領・首相からもお祝いツイートが相次ぎました。

いまや、ツイッターは政権の広報を担う重要なメディアとなっており(トランプ氏もツイッターを多用してきました。頻度と内容をみるに、完全にツイ廃です)、国家元首が個人アカウントから祝辞や謝辞、お悔やみなどを伝えるのが普通になりましたが、アフリカにおいても同様です。

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GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)はアフリカで何をしている?

GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)はアフリカで何をしている?

世界で強いGAFAですが、アフリカではどうなのでしょうか。プラットフォーマーとして次々市場を狩っていくこれら企業、アフリカはまだ無傷なのでしょうか。また、これら企業は、アフリカ市場をどう捉えているのでしょうか。

実はGAFA4社とも、今年になって、動きが活発化しています。コロナ感染拡大は、アフリカでの機会を掴むむしろチャンスだと捉えているのだと思いますし、実際そうなるでしょう。

1社ずつみてみ

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中国と米国、アフリカの人にとってどちらの印象がよい?世論調査より

中国と米国、アフリカの人にとってどちらの印象がよい?世論調査より

世界中が米中対立の影響を受けていますが、アフリカも例外ではありません。

アフリカにとって世界の大国である米国は、特に軍事上で、また政治上、経済上でも重要な国です。ケニアは米国との二国間貿易協定締結を目指すことに踏み切り、現在交渉が行われています。

一方で、中国は、インフラから日用品まで広く供給し、アフリカの製品を輸入してくれ、雇用を生み、製造業にも投資してくれる重要な国です。コロナ禍の初期に中

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10年間発行しつづけたメルマガが500号になりました

10年間発行しつづけたメルマガが500号になりました

「週刊アフリカビジネス」という、アフリカのビジネスニュースをまとめたニュースレターを毎週発行しています。

この6月に、なんと気づけば500号を迎えました。2010年10月に第1号を創刊して以来、10年間、年末年始を除く毎週発行し続けてきたことになります。

10年!めまいがします。。私も10年若かったということだ。。

週刊アフリカビジネスは有料のニュースレターですから、続けられたのはひとえに購

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