【解説!アフリカビジネス】梅本優香里@アフリカビジネスパートナーズ

日本で唯一のアフリカに特化したコンサルティングファーム代表 ( https://abp…

【解説!アフリカビジネス】梅本優香里@アフリカビジネスパートナーズ

日本で唯一のアフリカに特化したコンサルティングファーム代表 ( https://abp.co.jp ) / ケニア・南ア在住。インタビュー記事:「アフリカビジネスにハマり起業。不確実性を乗りこなすが成...:https://journal.meti.go.jp/p/29145/

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アフリカの日系スタートアップ、注目すべき7社(下)

アフリカで日本人が個人で立ち上げた企業は約100社ほど存在します。そのうち、これまで累計1億円以上を調達したスタートアップ7社をご紹介します。 この記事は、7社のうち3社を取り上げた「アフリカで立ち上げられた日系スタートアップ、注目すべき7社(上)」からの続きです。残る4社を取り上げます。 この7社の情報は、弊社が作成した「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト(2024年・最新版)」がもとになっています。個人が立ち上げた約100社の企業名は、すべてこちらからご覧になれま

    • アフリカの日系スタートアップ、注目すべき7社(上)

      アフリカで個人が事業を立ち上げようと奮闘する動きが活発になったのは、10年ほど前。「BOPビジネス」や「ビジネスで社会課題が解決できる」という考えが広まったことが大きな契機だったと思います。 どこの国でも新しく立ち上げた企業が5年、10年と生き残るのは大変ですが、スタートアップならなおさら、アフリカならなおさら。2024年現在、生き残り、さらに累計1億円以上を調達したスタートアップ7社をご紹介します。 弊社が作成した「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト(2024年・最

      • アフリカの縫製工場を巡る旅:日本企業の委託先となりうる国は?

        私はアフリカで、紡績・テキスタイル工場や縫製工場をかなりの数訪問しています。日本企業から、中国やバングラデシュの次の委託先を探したいという要望が多いこともありますし、それ以外にも自主的に多くの工場を訪問してきました。アフリカにとって、軽工業や輸出産業は、経済発展に非常に重要だからです。 以前、これまで訪問した工場数を数えたら、余裕で100を超えていました。欧州のハイブランドのドレス(工程が多い)を作っているような工場もあれば、あまりよい環境とはいえないなかで生産している家族

        • 中国、ロシアだけではない。アフリカへ積極進出するUAEの動き

          アフリカの資源やインフラを狙う国として中国の名前がよく上がりますが、中国の資源や鉄道、道路といったインフラへの投資は、2016年をピークに大幅に減少しています。アフリカ側は、計画していたインフラ整備への融資を中国から断られて困っているくらいです。 とはいえ、中国はいまはより狙いを絞って資金を入れており、民間の動きも活発で、アフリカにおける中国の影響が減ったというわけでもないのですがそのことはまた次にするとして、今回は中東、とくにUAE(アラブ首長国連邦)企業のアフリカへの積

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        • アフリカのスタートアップ/ベンチャー
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        • アフリカの日本企業
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        • アフリカの現地企業
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        • アフリカのコロナの状況
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          南アフリカ総選挙、ANCは支持を減らしたのか

          今週は南アフリカで総選挙が実施されました。南アフリカはアフリカを代表する国であり、BRICSの1国であり、グローバルサウスの雄であり、現地通貨ランドはグローバル通貨のひとつです。結果は世界でも日本でも注目されていました。 5月31日現在で95.5%の開票が完了し、ほぼ結果が判明しました。ANCが42%、DAが22%、MKが13%という結果です。 (その後99%の調査結果が発表されましたので、最後尾に追記として最終結果を記載しています) 今回の選挙では、30年前にアパルトヘ

          ケニア、南アフリカ、ナイジェリア、エジプト。アフリカのビッグ4へ進出するにあたって知るべきこと

          アフリカには54カ国もあるのですが、日本企業が進出するという観点でみたときに注目するべき国は、ケニア、南アフリカ、ナイジェリア、エジプトの4カ国といえるでしょう。 それぞれ、東アフリカ、南部アフリカ、西アフリカ、北アフリカに位置しています。 アフリカは-とにかく国数が多い! そのなかでこの4カ国は、人口規模、工業化の水準、一人あたりGDP、ビジネスチャンス、外資企業の受け入れ、進出のしやすさなどにおいて、魅力がある国です。 たとえばケニア。日本企業に一番人気がある国で

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          日本とアフリカの意外なサカナ交流

          アフリカ在住の日本人が、もっとも夢に見る日本食、それは「鮨」でしょう。私も日本に帰国する際は、もう到着した成田空港でお鮨を食べます。 ところがその鮨ネタである魚介類、けっこうアフリカから輸入されているのをご存知でしょうか。 たとえばまぐろ。セーシェルやモーリシャスといった東アフリカのインド洋の遠洋漁業でも穫れるし、チュニジア、モロッコのあたりの北アフリカの地中海では養殖がさかんです。まるまる冷凍されて輸入され、日本で鮨ネタになります。 そういえば、セーシェルなどインド洋

          アフリカに古着を送るべき?送るべきでない?古着をめぐるさまざまな視点

          先進国で使用済みとなった古着の一部は、アフリカなどいわゆる途上国に輸出されています。寄付として送ったはずの古着が、環境破壊をもたらしたり現地産業の成長を阻害しているのではないかという意見や、大量に生産してはすぐに廃棄され他所の国で処理されることになるアパレル産業の慣行への批判もあります。 アフリカの中でも、さまざまな意見があります。古着を巡ってどんな意見があるのか、テーブルの上に並べてみたいと思います。 先進国から途上国への古着の流通の実際そもそも、古着はどのようなルート

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          「みたことがない大規模な詐欺」ナイジェリアのスタートアップのティンゴをSECが起訴

          ナイジェリアのスタートアップで、ナスダック上場まで登りつめた農業スタートアップ・ティンゴ(Tingo)。6月に以下の記事で取り上げたあとの新展開です。 SECが「大規模な詐欺」と起訴、「見たことがない」とヒンデンブルグ、ティンゴは冤罪と主張空売りヒンデンブルグが「極めて明白な詐欺会社」「財務諸表を完全に捏造」というレポートを発表したあと調査を行っていたSEC(米証券取引委員会)が、創業者ドジー・ムモブオシ氏とティンゴグループ他2社を起訴しました。 ヒンデンブルグがレポート

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          アフリカのスタートアップにもやってきたバブルの終焉

          2022年初頭以降、世界でスタートアップの調達環境は様変わりしました。以前は、まだ早い段階のスタートアップでも、ユニットエコノミクスが成立していない事業でも、多額な調達を行いとにかくトップラインを伸ばすのが善という風潮がありましたが、がらりと変わりました。 アフリカでは、2022年の上半期くらいまでは調達も絶好調で、「アフリカは大丈夫」「アーリーステージは大丈夫」と言われたりしていました。しかし、2022年下半期頃から調達が不調に終わる老舗スタートアップがでてきて、2023

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          アフリカのチャイナタウンは今日も大盛況

          (ケニアのチャイナスクエアの新店舗、ABP撮影) 「世界の工場」中国で製造した雑貨や生活用品は、日本だけでなく、アフリカにも流れ込んでいます。 ケニアのナイロビではこのたび、チャイナ・スクエアの2号店がオープンしました。 大盛況でした。 なにがすごいって、このチャイナ・スクエア、今年1月に1号店を開店してすぐに人々が殺到し、同時に政治家を巻き込んだ大論争になったのです。 あまりにもの人気に、雑貨を昔から扱っている市場の商人たちが抗議し、ロビー活動をして政治家が動き、

          ついにユニ・チャームがケニアに。アジアでの日本企業の成功は再現されるか

          ユニ・チャームの生理用ナプキンが、ケニアの店頭に並び始めました。日本と同じ、SOFYブランドでの展開です。 紙おむつや生理用品は、日本がアジアで成功を収めてきた商材です。若年人口が増加するアフリカでの販売可能性は、長年注目されてきました。 アフリカで紙おむつや生理用品を開拓してきたのは、P&Gです。パンパースはおむつの代名詞になっていますし、アフリカのどこでもナプキンブランドAlwaysは手に入ります。人々が最初に使った商品はP&Gでした。 ところが2010年代以降は、

          ついにユニ・チャームがケニアに。アジアでの日本企業の成功は再現されるか

          日本のラーメンが再びケニアに。双日がインスタントヌードルの製造販売を開始

          双日がケニアで販売を開始したインスタントラーメンNalaが、店頭に並び始めました。サムネイルの写真は、私が今日ナイロビで撮影した写真です。 6月末に発表された、現地企業との合弁による製造販売です。双日が関係が深いタイの麺トップ企業、MAMAで知られるタイプレジデントと組むのでも話題になりました。 ケニアのインスタントラーメン市場は現在2強で、トップ企業が1袋120gを45シリング(約45円)、2番手が40シリング(約40円)で販売しているところ、双日の製品は38シリング(

          日本のラーメンが再びケニアに。双日がインスタントヌードルの製造販売を開始

          カーボンクレジットはアフリカの経済的な救世主となるか

          世界でカーボンクレジット、とくに民間のボランタリークレジットの取引が活発化しています。排出量の多い特定産業以外でも社会や投資家からカーボンゼロ/カーボンニュートラルを求められるようになり、早く安価に炭素削減を行いたい先進国の企業と、新たな収益源を見つけた途上国などの思惑がマッチした形です。 アフリカでも同様にブームの兆しで、昨年のCOP27のあとアフリカの政府などが参加して結成された団体は、2030年までに60億ドル、2050年までに1200億ドルのクレジット収入を上げると

          カーボンクレジットはアフリカの経済的な救世主となるか

          「動かぬ巨人」ナイジェリアにポジティブな異変。ビジネス環境改善なるか

          ナイジェリアの動向に、いまめちゃくちゃ注目が集まっています。 ナイジェリアは人口2億人を抱え、OPECのメンバーでもあるアフリカ最大の産油国です。アフリカ54カ国を言えなくても、大国ナイジェリアを知らない人はいないでしょう。 しかしナイジェリアは、その恵まれた資源があるがゆえに、原油に依存した経済構造です。苦労して製造業などにより外貨を得なくても、原油を売れば手に入りますし、国家歳入も潤います。 こういった経済は、原油が順調に生産され価格が高いときはプラスに回りますが、

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          ナスダック上場のナイジェリアのアグリテックが詐欺疑惑-ヒンデンブルグがレポート

          ナイジェリアのスタートアップについて、超驚級の不正が報じられています。 6月6日、空売り投資で知られるヒンデンブルグリサーチが、ナイジェリアでアグリテック・フィンテック事業を行う、ナスダック上場米国企業のTingo Groupについて、「財務諸表を完全に捏造」しており「極めて明白な詐欺会社」とレポートを発表しました。 同社が展開している(と主張している)事業は、小規模農家に種や肥料を提供し、収穫した農作物を、仲買人を排してオンラインで市場に直接販売する事業です。農家向けデ

          ナスダック上場のナイジェリアのアグリテックが詐欺疑惑-ヒンデンブルグがレポート