【解説!アフリカビジネス】梅本優香里@アフリカビジネスパートナーズ

日本で唯一のアフリカに特化したコンサルティングファーム代表 ( https://abp…

【解説!アフリカビジネス】梅本優香里@アフリカビジネスパートナーズ

日本で唯一のアフリカに特化したコンサルティングファーム代表 ( https://abp.co.jp ) / ケニア・南ア在住 Newspicks https://newspicks.com/user/486073

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日本とアフリカの意外なサカナ交流

アフリカ在住の日本人が、もっとも夢に見る日本食、それは「鮨」でしょう。私も日本に帰国する際は、もう到着した成田空港でお鮨を食べます。 ところがその鮨ネタである魚介類、けっこうアフリカから輸入されているのをご存知でしょうか。 たとえばまぐろ。セーシェルやモーリシャスといった東アフリカのインド洋の遠洋漁業でも穫れるし、チュニジア、モロッコのあたりの北アフリカの地中海では養殖がさかんです。まるまる冷凍されて輸入され、日本で鮨ネタになります。 そういえば、セーシェルなどインド洋

    • アフリカに古着を送るべき?送るべきでない?古着をめぐるさまざまな視点

      先進国で使用済みとなった古着の一部は、アフリカなどいわゆる途上国に輸出されています。寄付として送ったはずの古着が、環境破壊をもたらしたり現地産業の成長を阻害しているのではないかという意見や、大量に生産してはすぐに廃棄され他所の国で処理されることになるアパレル産業の慣行への批判もあります。 アフリカの中でも、さまざまな意見があります。古着を巡ってどんな意見があるのか、テーブルの上に並べてみたいと思います。 先進国から途上国への古着の流通の実際そもそも、古着はどのようなルート

      • 「みたことがない大規模な詐欺」ナイジェリアのスタートアップのティンゴをSECが起訴

        ナイジェリアのスタートアップで、ナスダック上場まで登りつめた農業スタートアップ・ティンゴ(Tingo)。6月に以下の記事で取り上げたあとの新展開です。 SECが「大規模な詐欺」と起訴、「見たことがない」とヒンデンブルグ、ティンゴは冤罪と主張空売りヒンデンブルグが「極めて明白な詐欺会社」「財務諸表を完全に捏造」というレポートを発表したあと調査を行っていたSEC(米証券取引委員会)が、創業者ドジー・ムモブオシ氏とティンゴグループ他2社を起訴しました。 ヒンデンブルグがレポート

        • アフリカのスタートアップにもやってきたバブルの終焉

          2022年初頭以降、世界でスタートアップの調達環境は様変わりしました。以前は、まだ早い段階のスタートアップでも、ユニットエコノミクスが成立していない事業でも、多額な調達を行いとにかくトップラインを伸ばすのが善という風潮がありましたが、がらりと変わりました。 アフリカでは、2022年の上半期くらいまでは調達も絶好調で、「アフリカは大丈夫」「アーリーステージは大丈夫」と言われたりしていました。しかし、2022年下半期頃から調達が不調に終わる老舗スタートアップがでてきて、2023

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        • アフリカの日本企業
          30本
        • アフリカのビジネス環境
          21本
        • アフリカのスタートアップ/ベンチャー
          16本
        • アフリカの現地企業
          11本
        • アフリカのコロナの状況
          22本

        記事

          アフリカのチャイナタウンは今日も大盛況

          (ケニアのチャイナスクエアの新店舗、ABP撮影) 「世界の工場」中国で製造した雑貨や生活用品は、日本だけでなく、アフリカにも流れ込んでいます。 ケニアのナイロビではこのたび、チャイナ・スクエアの2号店がオープンしました。 大盛況でした。 なにがすごいって、このチャイナ・スクエア、今年1月に1号店を開店してすぐに人々が殺到し、同時に政治家を巻き込んだ大論争になったのです。 あまりにもの人気に、雑貨を昔から扱っている市場の商人たちが抗議し、ロビー活動をして政治家が動き、

          ついにユニ・チャームがケニアに。アジアでの日本企業の成功は再現されるか

          ユニ・チャームの生理用ナプキンが、ケニアの店頭に並び始めました。日本と同じ、SOFYブランドでの展開です。 紙おむつや生理用品は、日本がアジアで成功を収めてきた商材です。若年人口が増加するアフリカでの販売可能性は、長年注目されてきました。 アフリカで紙おむつや生理用品を開拓してきたのは、P&Gです。パンパースはおむつの代名詞になっていますし、アフリカのどこでもナプキンブランドAlwaysは手に入ります。人々が最初に使った商品はP&Gでした。 ところが2010年代以降は、

          ついにユニ・チャームがケニアに。アジアでの日本企業の成功は再現されるか

          日本のラーメンが再びケニアに。双日がインスタントヌードルの製造販売を開始

          双日がケニアで販売を開始したインスタントラーメンNalaが、店頭に並び始めました。サムネイルの写真は、私が今日ナイロビで撮影した写真です。 6月末に発表された、現地企業との合弁による製造販売です。双日が関係が深いタイの麺トップ企業、MAMAで知られるタイプレジデントと組むのでも話題になりました。 ケニアのインスタントラーメン市場は現在2強で、トップ企業が1袋120gを45シリング(約45円)、2番手が40シリング(約40円)で販売しているところ、双日の製品は38シリング(

          日本のラーメンが再びケニアに。双日がインスタントヌードルの製造販売を開始

          カーボンクレジットはアフリカの経済的な救世主となるか

          世界でカーボンクレジット、とくに民間のボランタリークレジットの取引が活発化しています。排出量の多い特定産業以外でも社会や投資家からカーボンゼロ/カーボンニュートラルを求められるようになり、早く安価に炭素削減を行いたい先進国の企業と、新たな収益源を見つけた途上国などの思惑がマッチした形です。 アフリカでも同様にブームの兆しで、昨年のCOP27のあとアフリカの政府などが参加して結成された団体は、2030年までに60億ドル、2050年までに1200億ドルのクレジット収入を上げると

          カーボンクレジットはアフリカの経済的な救世主となるか

          「動かぬ巨人」ナイジェリアにポジティブな異変。ビジネス環境改善なるか

          ナイジェリアの動向に、いまめちゃくちゃ注目が集まっています。 ナイジェリアは人口2億人を抱え、OPECのメンバーでもあるアフリカ最大の産油国です。アフリカ54カ国を言えなくても、大国ナイジェリアを知らない人はいないでしょう。 しかしナイジェリアは、その恵まれた資源があるがゆえに、原油に依存した経済構造です。苦労して製造業などにより外貨を得なくても、原油を売れば手に入りますし、国家歳入も潤います。 こういった経済は、原油が順調に生産され価格が高いときはプラスに回りますが、

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          ナスダック上場のナイジェリアのアグリテックが詐欺疑惑-ヒンデンブルグがレポート

          ナイジェリアのスタートアップについて、超驚級の不正が報じられています。 6月6日、空売り投資で知られるヒンデンブルグリサーチが、ナイジェリアでアグリテック・フィンテック事業を行う、ナスダック上場米国企業のTingo Groupについて、「財務諸表を完全に捏造」しており「極めて明白な詐欺会社」とレポートを発表しました。 同社が展開している(と主張している)事業は、小規模農家に種や肥料を提供し、収穫した農作物を、仲買人を排してオンラインで市場に直接販売する事業です。農家向けデ

          ナスダック上場のナイジェリアのアグリテックが詐欺疑惑-ヒンデンブルグがレポート

          真似?リスペクト?アフリカ最大手がユニクロ風衣料小売を開始

          アフリカ最大の小売りチェーンといえばショップライト。南アフリカで安売りチェーンから高級スーパーまで展開している、売上1兆円を超える大企業です。 そのショップライトがこの4月に新しく開発した業態が「衣料小売」。その店舗を見て、びっくりしました。 これは、まさにユニクロでは?店舗デザイン、商品や価格の展示方法、ベーシック衣料という商品ラインナップ、色展開。 そして店舗名はその名もUNIQ(どうしてそこまで似せた・・・) (ユニクロ同様)ダウンをアンカー商品として掲げていま

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          2022年を振り返るーアフリカビジネス、今年の重大ニュース

          2022年もあとわずか。今年の重大ニュースを選びました。 【スタートアップ投資】BNPLやSHS、B2Beコマースなどが順調に調達しホットな調達環境、来年は・・・ 世界でスタートアップの調達に逆風が吹き始めたなか、アフリカについては今年も引き続き調達環境はホットだった、と言ってもよいでしょう。上半期のみですでに前年の半分以上の調達額を達成し、下半期になってもシリーズCやDの調達も行われました。 今年特に資金が集まったのは、融資まわりと小売まわりのスタートアップです。BN

          2022年を振り返るーアフリカビジネス、今年の重大ニュース

          アフリカ視点のCOP27-2つのキーワード

          エジプトの保養地、シャルム・エル・シェイクで行われていたCOP27(第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が閉幕しました。アフリカでの開催となったCOP27は、アフリカ視点でみると2つの成果がありました。 「損失と損害」開催前から今回の大きな目玉とされていたのは、「損失と損害(Loss and Damage)」に関する基金の設立でした。これは、気候変動の原因を作り出してきた先進国などが、排出量が少ないにも関わらずその被害を大きく受けている途上国に補償するべきという考えに

          10年分のデータベースからまとめた「アフリカスタートアップ白書」を発行しました

          アフリカのスタートアップに関する情報を目にすることが増えました。それに連れて、なんか盛り上がっている!というだけでなく、具体的にどんなスタートアップがあるのか、アフリカならではのビジネスモデルとはどのようなものか、投資家は誰でいくら程度の投資が行われているのかなどについて、知りたい人が増えていると感じます。 しかし、これらについてまとめられたレポートはとても少ないです。とくに、事業会社でアフリカスタートアップへの投資や提携を考えられている方にとっては、事業領域別にどのような

          10年分のデータベースからまとめた「アフリカスタートアップ白書」を発行しました

          アフリカにおける日本企業の知名度-中国、日本、どっち? 

          トヨタやソニーといった日本が誇る世界のブランドは、アフリカでもよく知られています。先日こちらでご紹介したように、アフリカでブランド調査を行うと、いくつかの日本ブランドが100位以内に入ってきます。 ただし・・・アフリカの人たちは、これらを日本のブランドだって認識してくれているのでしょうか?実は、中国のブランドと思っていない?また、アフリカといっても国によって違いがあるはず。そこで、 ・日本企業ブランドの認知度 ・それが日本のブランドだと理解されているのか? ・中国のブラン

          アフリカにおける日本企業の知名度-中国、日本、どっち? 

          アフリカ業界地図・ケニア編(ケニアの産業実態と現地パートナー候補)

          アフリカで事業を行うとき、困ることのひとつが「現地にどのような企業がいるのかわからない」ことです。いや、その前に「うちの業界・産業ってアフリカにも存在しているの?」というところからかもしれません。 日本だと、業界の全体像を捉えたり、シェアの高い主要企業を把握するために、東洋経済や日経がだしている「業界地図」のようなものを見る人も多いと思います。業界地図に書かれている内容は、ビジネスパーソンの基礎知識といえます。 アフリカにおいて同じ役割を果たすものを作れないか?ということ

          アフリカ業界地図・ケニア編(ケニアの産業実態と現地パートナー候補)