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日本とアフリカの意外なサカナ交流

アフリカ在住の日本人が、もっとも夢に見る日本食、それは「鮨」でしょう。私も日本に帰国する際は、もう到着した成田空港でお鮨を食べます。

ところがその鮨ネタである魚介類、けっこうアフリカから輸入されているのをご存知でしょうか。

たとえばまぐろ。セーシェルやモーリシャスといった東アフリカのインド洋の遠洋漁業でも穫れるし、チュニジア、モロッコのあたりの北アフリカの地中海では養殖がさかんです。まるまる冷凍されて輸入され、日本で鮨ネタになります。

そういえば、セーシェルなどインド洋でまぐろを漁獲している企業がありました。

いかも、まぐろと地域的に似たモロッコ、ケニア、ソマリア(!)あたりで漁獲され、冷凍の上、輸入されています。

量でいうと、日本にもっとも輸入されている魚は、ずばり、たこ。たこ焼きの築地銀だこは、たこの安定供給のため、モーリタニアに工場を置いています。マルハニチロも、モロッコでたこ加工工場を稼働させています。

たこ焼きも、日本に帰ったら真っ先に食べる、夢にでてくるたべもの。アフリカから輸入しているならアフリカでそのままたこ焼きを売ってほしいところですが、現地の人はあまりたこを食べないようです。

ギニアやギニアビサウ、さらにはモザンビークからも、日本にたこが輸入されているとは、意外。

アフリカから日本に輸入されている魚介類トップ5(数量順)

2023年貿易統計からABP作成

めかじきのソテーなんて、めちゃくちゃ食べたいんですが、こりゃセーシェルまで行って漁をするしかない!

伊勢海老のほか、5位までには入りませんでしたが、かにあわびもアフリカから輸入されています。そういえば、うなぎ不足の年は、モザンビークから輸入していました。お弁当のおかずの白身魚フライになったり、日本のスーパーでも最近はそのまま売られているナイルパーチは、ケニアやタンザニア、ウガンダの湖に生息する淡水魚です。

さらに意外なことに、日本はアフリカに魚介類を輸出してもいます

日本からアフリカに輸出している魚介類トップ5(数量順)

2023年貿易統計からABP作成

もっともたくさん輸出されているのは、さば。総輸出量のうち6割強がさばです。輸出先をみると、地理的にアフリカのかなり広範囲をカバーしていますね。北のエジプト、西のナイジェリア、コートジボワール、ガーナ、東のタンザニア、ルワンダ、南のモザンビークや南アフリカ。それぞれの国の料理は違うのに、アフリカ中の台所で同じように日本のさばが調理されているのかと思うと、胸熱です。

え、どこにどの国があるのかわからないのですが・・・という方に、アフリカの地図はこちら

どうやら日本は、国内で食べるさばは輸入していて、近海でとれる小ぶりのさばは、アフリカに輸出しているようです。いわしは、日本で食べられるだけでなく、輸出されています。

ところで、すけとうだらのお腹のなかには、たらこがあるはずでは!?アフリカに輸入されたたらこ、もしかして捨てられている可能性・・・ダメ!

6位はぶりなんですよね。照り焼きにぶり大根・・・。私あてに直接輸出してほしいです。

日本がアフリカから輸入している魚介類の数量と、アフリカに輸出している数量は、実はいうほど差がありません。日本にとってアフリカは、魚の買い手、お客さんでもあったのでした。

南アフリカのファストフードレストランの回転寿司レーン。後ろ姿はアフリカの鮨職人さん(ABP撮影)

上の写真は、南アフリカの回転寿司。ちゃんと回っています。鮨は外食やデリバリーで広く普及している人気メニューで、南アフリカは、アフリカにおいてもっとも鮨に近い国といえます。まぐろとサーモンのカリフォルニアロール的なグローバルお鮨ならば、わりとどこでも食べられます。でも、サバやコハダ、甘エビやほたてにいくらは、成田空港までおあずけです。

今回とりあげた日本とアフリカの魚介類の貿易について、週刊アフリカビジネスの法人版では、10位までの品目とそれぞれの貿易量を掲載しています。週刊アフリカビジネスを毎週読んでいると、点と点のニュースがつながり、アフリカビジネスへの知見を得られます。どんなニュースが取り上げられているか、以下からみてみてください。

魚介類以外に、日本とアフリカの間で主に貿易されているのは、こんな品目です。



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