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日本のラーメンが再びケニアに。双日がインスタントヌードルの製造販売を開始

双日がケニアで販売を開始したインスタントラーメンNalaが、店頭に並び始めました。サムネイルの写真は、私が今日ナイロビで撮影した写真です。

6月末に発表された、現地企業との合弁による製造販売です。双日が関係が深いタイの麺トップ企業、MAMAで知られるタイプレジデントと組むのでも話題になりました。

ケニアのインスタントラーメン市場は現在2強で、トップ企業が1袋120gを45シリング(約45円)、2番手が40シリング(約40円)で販売しているところ、双日の製品は38シリング(約38円)、競争する気まんまんの価格設定です。

周囲のケニア人に食べてもらったら、評判良かったです。少し大人な滋味のある味です。

ところで、アフリカって、わりと最近まで麺を食べる習慣がなかったんですよ。ヤツがくるまでは・・・アフリカにインスタントラーメンの文化をつくり、いまに至るまで断トツシェアトップであるのは、日本でもおなじみ、インドミーです。

アフリカでもっとも人気があるのはチキン味

インドネシアのインドフード社のこのインスタントラーメン、アフリカで初めて販売されたのはナイジェリアです。親戚がナイジェリアに住んでいたシンガポール人が、ふと「このラーメン、ナイジェリアでも売れるのでは?」と合弁を作って販売を開始したのは、1988年のことでした。

麺やスープを食べる文化がない国で、インスタントヌードルを売ろうとするとは、かなりクレイジーな人ですが、実際、最初の10年は、まったく利益がでなかったそうです。

それがなんと、いまではインドミーはナイジェリアの国民食といっていいものになりました。年間約16億食が販売され、世界のインスタントヌードル販売量で11位につけています(ちなみに日本は2位で、中国が1位です)。

ナイジェリアは、2050年には人口が世界4位の4億人に達する国です。中国や日本に迫る市場となるでしょう。

いまではインドミー以外にも参入企業が増え、スーパーにはラーメンがずらりと並びます。ただ、それでもインドミーが断トツ1位。

箱買いしている人もよく見ます。下の段に箱で売られていますね。子どもがとくに好きで、朝ごはんに食べています。

ナイジェリアのラゴスにてABP撮影

道端には、インドミーを作って売る屋台もあります。卵を落としてくれます。立ち食いそばならぬ、立ち食いインスタントヌードル。おいしいです。

ナイジェリアのラゴスにてABP撮影

ナイジェリアの好調な販売を見て、90年代にインドフード親会社がエジプトでインドミーを売り始めます。そして2011年、ケニアでも販売を開始しました。

インドミーはとにかく販促が上手で、目標に向けてスタミナ強く攻め続ける騎馬部隊みたいな人たちなんです。なにしろ誰も麺もスープも食べていなかった国で、30年かけて国民食にした人たちです。ケニアでも、まったく売れていない初期の頃から数億円の販促費をかけ、サンプリング、訪問営業といった、非常に地味で、しかしもっとも効果がある販促を行っていました。

その頃は、ケニアの人たちが集まるイベントにいくと、必ずインドミーがいたものです。小さなパパママショップが多い国で、店舗1店1店に営業を行います。

この写真はエチオピアですが、展示会や物産展にも必ずこうやって出店し、とにかくまず食べさせるのがインドミーの手法です

そうして、とうとうケニアでも、インドミーは小売店には必ず置かれる国民食となりました。オフィスの昼食にインドミー。子どもが食事をしないときはインドミー。どこの国でも親は子どもに食べさせるのに苦労していますが、そんなときはインドミーが救世主、つい買ってしまうのです。

そう、双日のケニアでの最大のライバルは、このインドミーです。インドミーがシェア1位、食用油メーカーが製造するNoddiesが2位で続いています。これら先行製品のシェアをどう奪い、市場をさらに拡大していくかが、双日がこれから挑む勝負です。

インドミーとNoodies、そして双日のNala(右下)が並ぶスーパーの棚。ケニアのナイロビでABP撮影

実は、インドミーがケニアに進出した2011年とちょうど同じころ、日清食品もケニアにやってきました。ただし、2018年に撤退しています。そのころインドミーは黒字化を達成し、工場を設立していました。

インドミーと日清食品のラーメン、食べ比べをしたならば、きっと日清食品を選ぶ人も多かったでしょう。ただし、消費財は、とくにアフリカのような分散した流通構造の地域では、売るための販促に費用と時間をかけなければ、なかなか売りが立ち上がりません。

アフリカの消費財販売のキングのようなインドミーと競争できるのは、ほんとうに胸躍る機会ですね。双日のインスタントヌードルの販売は、日本企業がアフリカで消費財の販売をどのように進めていくべきか、ひとつの先行事例となるかと思います。

追記:

ケニア在住の日本の方の意見。アフリカでは実は、インスタントヌードルは汁を捨てて焼きそばとして食べられることも多いのです。焼きそばとして食べてもおいしい味は、双日も目指したところでしょうね。

ウガンダでも発見されました!

日本企業のアフリカでのビジネスの動きを、毎月まとめています。以下からご覧ください。


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