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#生きる
内なる声に聴いた「家」を、本当に見つけてしまうまでのお話 part2
※この記事は前回の続きです。part1はこちらからお読みください。
「俺は信じてねぇからな」
怒ったような大きな声でそう宣言し、彼は僕の前にドタッと座り込みました。廃材の板をリメイクして作ったタロットスペースに、折れ曲がった一万円札を叩くように乱雑に置きます。歳は40前後、灰色の作業着を着ていて、筋肉質の腕に大きな金色の時計が巻いてあります。日焼けした浅黒い肌。ギラギラした油っぽい目で僕を疑
内なる声に聴いた「家」を、本当に見つけてしまうまでのお話 part1
「お前の家が南にある。家を探せ」
5年前のある日、東京のワンルームに住んでいた僕はそんな内なる声を聴きました。
すぐに退去届を出して家財道具をすべて処分、大事なものは段ボールに詰めて北海道の実家に送り、100冊以上持っていた本をすべて中古屋に売り、キーボードやギターも売り払って飛行機代に替え、一人で背負える量の荷物だけを持って沖縄に飛びました。アパートを出る際、一度も振り返らずに駅まで歩い