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映画の思い出

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マチネの終わりに会いましょう。

マチネの終わりに会いましょう。

幼い頃、繰り返し聴いていた曲というものがある。みな、何かしら印象に残っている歌や音楽というものはあるのではないだろうか。

私の場合は、それはマスネの「タイスの瞑想曲」という曲だった。クラシック音楽を聞いて育ったので、自宅には色んな演奏家のCDがあったのだけれど、なぜか私はその中からイツァーク・パールマンというヴァイオリニストのCDを選び、いつもいつも寝る前に「タイスの瞑想曲」を聴いていた。なぜあ

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花束みたいな恋はいらない

花束みたいな恋はいらない

夫と並んでスーパーへ行き、食材やトイレットペーパーを買って帰る。週末はちょっと遠くのスーパーまでお散歩するのが楽しみ。以前は、私が平日に買い物をして帰ることが多かったけれど、最近は二人でスーパーへ行くことが増えたのが嬉しい。そんないつもの買い物からの帰り道に思い出す映画がある。「花束みたいな恋をした」だ。

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2年ほど前に公開された映画で、当時かなり話題になっていたと思う。映画館で観ることがで

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逃げ出してばかりの人生だけれども、ハラゴシラエして歩くのだ。

逃げ出してばかりの人生だけれども、ハラゴシラエして歩くのだ。

7月になった。気が付けば、2023年も下半期に入っていた。今年は、「できるだけ色んなことを難しく考えすぎないようにしたい」と思っているので、まるでテストの採点をするように上半期の振り返りをするのはやめようと思う。

何となく、会いたい人に会い、行きたいところに行き、たまに落ち込んだりしながら春と夏のはじまりを楽しく過ごしている気がするので、それだけで満点だと思う。下半期もこのまま自分のペースで生き

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それでも、たくさんの映画は私を救ってくれた

それでも、たくさんの映画は私を救ってくれた

貪るように映画を観ていた時期があった。あれはたしか、大学終わりごろから社会人になり始めたくらいの頃だったと思う。大学を卒業する頃は、実家の近くのミニシアターでリバイバル上映されている映画をよく見ていた。その頃頻繫に会う友人が映画好きだった影響もあったと思う。

社会人になってからは、同僚がとても映画好きだったこともあって、よく職場で映画の話をしていたし、週末や仕事終わりによく新宿のケイズシネマやシ

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映画館で涙したあの歌のこと

映画館で涙したあの歌のこと

20代後半の頃に何度も繰り返し聞いた歌がイヤホンから流れてくる。冗談抜きに、私は宇多田ヒカルが歌っている時代に生まれてきて幸運だといつも思う。苦しいときも、嬉しいときも、歌はいつだってそこにあったし、まるで心に刻むかのようにその歌詞を何度も何度も繰り返し読んだ。当時、この歌を聴きながらよく川沿いを歩いていた記憶が蘇る。

そういえば、夫はアジカンが好きでよく聞いているのだけれど、アジカンの話をする

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夏至、この夏はこの映画とともに。

夏至、この夏はこの映画とともに。

夏至。5月が活動的すぎたのか、数日前から体調を崩していたので、自宅でぱらぱらと村上春樹の「アフターダーク」を読んでいた。先月から忙しさのあまり、全く本を開くことができていなかったことに気が付く。

こんな台詞に惚れ惚れしてしまう。文章から「美」を感じてしまう瞬間。村上春樹の文章は、うっとりして何度も読み返してしまう。

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夏は苦手だ。私は暑いともれなく体調を崩しやすい。のだけれど、何だか今年は

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