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writer/art/essay/book/movie/wellbeing/思い煩うことなく愉しく生きよ

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夏至、この夏はこの映画とともに。

夏至。5月が活動的すぎたのか、数日前から体調を崩していたので、自宅でぱらぱらと村上春樹の「アフターダーク」を読んでいた。先月から忙しさのあまり、全く本を開くことができていなかったことに気が付く。 こんな台詞に惚れ惚れしてしまう。文章から「美」を感じてしまう瞬間。村上春樹の文章は、うっとりして何度も読み返してしまう。 -- 夏は苦手だ。私は暑いともれなく体調を崩しやすい。のだけれど、何だか今年は季節が巡っていくのが嬉しくて、ちょっとだけ夏が楽しみ。今年は、海の見える美術館に

    • 小説に、救われてきた人生/ただ、待つのみ

      ふっと目が覚め、スマホの画面を見るともうすぐ朝の5時だった。下腹部、みぞおちと左肩に軽い痛みを感じ、これはしばらく眠れないかもな、と思った。しばらく目を閉じてみたものの、やはりどの体勢でもどこかに痛みが生じ、そのまま時間が過ぎていくので、一旦再び眠りに入ることを諦めることにする。昨日は久々にぐっすりと熟睡できたが、臨月に入ってからはそういった日の方が珍しい気がする。しょうがないこととはいえ、やはり寝不足だとすでにお腹が重い体がますます重い気がしてしまう。 いつもは私が目を覚

      • この季節に生まれて(東京国立近代美術館にて)

        神保町駅で電車を降り、地上に出るとあたりはたくさんの桜が花を咲かせていて、みな桜を見上げていた。先週まで肌寒かっただけに、急に春めいた街中の空気に圧倒されてしまう。しばらくぼんやりと桜を見上げた。 近くに女子大があるからか、若い女子学生が多く、みなどこか期待と不安を胸にしたような表情で歩いている。 この駅で降りるのはいつぶりだっけ、と記憶を呼び起こす。そう、以前神保町駅で降りたのはちょうど1年近く前のことだった。どうやら私は春になるとここに来たくなるらしい。 -- 今回

        • 白木蓮の思い出/この街で生きていく

          「あ、白木蓮が咲いているねえ」 買い物の帰りに白木蓮の木を見つけて、夫に話しかけた。 -- ふと数年前の記憶が蘇る。 社会人になってすぐに住んだ街での記憶だ。 私がかつて住んでいたマンションの近くには、大きな白木蓮の木があった。 歩道橋を登ると、白木蓮の木に手が届きそうなほどの高さからその花を眺めることができて、天気が良い青空の日は青空と真っ白な白木蓮の花のコントラストがとても美しかった。白木蓮の花が開いていくことは、この季節の楽しみのひとつだったのだ。 -- その街で

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          こころの春休み/あっという間に妊娠後期

          先日、デザイナーの秋田道夫さんがTwitter(まだTwitterって呼ぶ)でこんなふうに呟かれていた。 「こころの春休み」って良いワードだなぁと思う。 社会人2,3年目くらいから、ずっとこの3月~5月くらいの時期がけっこう精神的にしんどかった。年度末で忙しい時期ということもあったし、部署としての繁忙期ということもあったし、それにプラスして異動に伴うストレスだったり何だったりで5月の終わりくらいに繁忙期が落ち着くと、毎年「1か月くらい休みたい….」と思うようになってしまっ

          こころの春休み/あっという間に妊娠後期

          夢ばかり見る日々/春の始まり

          夢を見た。 夢の中では、私のかつて住んでいた街が雪に覆われていて、寒々とした風景が広がっていた。葉を落とした木にも雪が積もっていて、その木は雪の重さに今にも枝が折れそうだった。 私はその寒々とした街の中を歩いているのだけれど、道の途中にぽっかりと穴が開いていて、その穴はものすごく深い。きっと下を見たら落ちてしまう、落ちてしまったらもう二度と戻ってはこれない…という、まるで「ノルウェイの森」の直子のような気持ちになったところではっと目が覚めた。 -- 夢であることに気がつ

          夢ばかり見る日々/春の始まり

          春はすぐそこ/好きを心に刻み込む

          やっぱりすっきりと晴れた青空はいいなぁ、とゆっくりと歩きながら空を見上げた。1月も半ばを過ぎ、昨日まではかなり寒い日が続いていたけれど、久々にぽかぽかと暖かい陽気の日だった。少しずつだけれど、確実に春に向かっている、そんな気がする1日だった。 -- 気が付けばこのnoteを書き始めてから1年が過ぎた。ちょうど2022年から2023年に年が変わる頃、久々に年末年始に長めのお休みを取っていた私は、何だか文章を書きたい欲に駆られてこのアカウントを作ったのだった。 1年前の文章を

          春はすぐそこ/好きを心に刻み込む

          今年はどんな年になるだろう/穏やかにゆるやかに、そして健やかに

          1月1日の、あのすっきりと晴れ渡った朝の青空が好きで、窓を開けた。 毎年思い出す、川上弘美の「おめでとう」の一文を思い出しながら晴れ渡った空を眺める。私の2024年が始まった。今年はどんな年になるだろう。 去年の今頃は、まさか自分がこんな気持ちで2024年を迎えるなんてことは予想していなかった。大抵、人生は自分の予想を越えて展開していく。 -- 思えば、コロナ禍からの数年は私の人生の中でもかなりしんどい時期だった。 体調を崩してしまい思うように仕事ができなくなったり、転

          今年はどんな年になるだろう/穏やかにゆるやかに、そして健やかに

          東京で一番好きなところ/そして、母になる

          東京で一番好きなところはどこ?と聞かれたら、ここだと答えるだろうなぁと思いつつ、ゆっくりと紅葉の終わりの中を歩いていた。もう12月も半ばで、銀杏も紅葉も少しずつ葉を落としていた。風がさぁっと吹いて、銀杏がはらはらと舞っていく姿が美しくて、しばらく銀杏の木を眺めていた。 今年もここで四季折々の美しさを楽しんだな。そういえば、幼馴染と10年ぶりの再会をしたのも、新宿御苑の紅葉が美しい時期だったな。あの頃はいくつだったっけ。幼馴染は母になり、私ももうすぐ母になろうとしている。時の

          東京で一番好きなところ/そして、母になる

          最近の、よしなしごとを 11/27(どうか、お元気で)

          光陰矢の如し、Time flies。小さい頃は大人たちが「1年ってあっという間だよね〜」と話すことが信じられなかった。1年は果てしなく長くて、次のクラス替えまで待ち切れなくて、1年生のときは早く憧れの6年生になりたくて、6年生のときは早く中学生になりたかった。 でも、やっぱり社会人になると1年は子どものときよりずっと早い気がする。去年の11月に何をしていたかな、とふとカメラロールを見返したら、新海誠監督の「すずめの戸締まり」を見に行っていました。もう、公開から1年か。なんだ

          最近の、よしなしごとを 11/27(どうか、お元気で)

          最近の、よしなしごとを 11/30(そして、師走へ)

          10年以上前に読んだとある本(またタイトルが思い出せません!例のごとく!)の中で、「願いのフックはたくさんかけておくといい」といった一節がありました。あれは何ていう本だったかな。(検索しても出てこないので、もう出回っていないのかもしれない…)この言い回しがとても好きで、ずっと心に留めています。 今年は、久々に「1年でやりたいこと100」を決めた年でした。 何年も前に何回か書いていたんだけれど、「やりたいことを100書く」となると、「100書かないといけない」という気持ちに

          最近の、よしなしごとを 11/30(そして、師走へ)

          最近の、よしなしごとを 11/29(願いを込めて)

          11月も終わりに差し掛かってきた。手帳を開き、11月のリストを見返し、クリアしたことに線を引いていく。ああ、そういえば今月は夫とピクニックに行ったな、新幹線にも乗ったし、美術館も色々行ったな、友達と谷根千散歩したな、なんて今月の思い出に浸りつつ、チェックしていく。(ポカポカ陽気の中、新宿御苑でピクニックしたのも、谷中銀座をぶらぶらしたのも最高でした) この時間がとても好きだ。ついつい、日々のやるべきことでいっぱいいっぱいになってしまう日でも、ふとこの一月のことを振り返ること

          最近の、よしなしごとを 11/29(願いを込めて)

          最近の、よしなしごとを 11/28(そして、日々は繰り返される)

          大学生の頃に読んだ、伊坂幸太郎の「終末のフール」という小説の冒頭に引用されていた言葉をふと思い出した。 もう10年近く前(えっ!?)に読んだ本なのに、ふと一節が頭に浮かぶなんて、言葉と記憶ってすごいなぁと思ってしまう。 そういえば、好きな本の系統が似ている友人と「ねえねえ、〇〇っていうような感じの文が載っている本の名前って何だっけ?」「ああ、あれはね…」みたいな会話をすることが好きです。 「この文よくない?」「わ、いいね!何の本?」みたいな会話をよくしていたな。学生の頃

          最近の、よしなしごとを 11/28(そして、日々は繰り返される)

          最近の、よしなしごとを 11/25(変わりゆくものたち)

          先日、Twitter(未だにこう呼んでる、だってさ慣れないよね)で「明るさは、習慣であり、意思である。」といった内容を呟かれていた方がいて、すごーく色々なことがすっとした。 -- 学生の頃は、どちらかといえばクールなふりをしていた、というか色んなことに怒っていた、というか何だか明るさとは反対のところにいたような気がする。周囲からどのように見られていたかは分からないけれど。 小学生の頃、何度か学校の先生に「笑っている方がいいのに」と言われて、何だかますます笑う気が失せたのを

          最近の、よしなしごとを 11/25(変わりゆくものたち)

          最近の、よしなしごとを 11/26(時には、忘れることも大事ね)

          みなさんは忘れっぽい方ですか?それともよく覚えている方ですか? 夫と昔の話をしていると、「え、そうだっけ?」みたいな反応をされることが多くてびっくりする。(これは男性あるあるなのかもしれない。女友だち、みんなわりと記憶力いいかも)いや、私にとっちゃあ忘れるなんて絶対無理、みたいな出来事もあっさり忘れていて結構驚く。正直、めちゃくちゃ羨ましいです。夫は寝ると嫌なことを忘れてしまうタイプで、私はずーーーーっと覚えていてしまうタイプ。なんか、人生損してる?なんて思ってしまう。

          最近の、よしなしごとを 11/26(時には、忘れることも大事ね)

          最近の、よしなしごとを 11/26(互いのゆるやかな変化を受け入れる) 

          昔、どんな人と結婚したいか?をイメージしたときに、一番最初に出てきた答えは「一緒に公園をお散歩できるような人」だった。あれはいくつのときだったかな。20代も半ばだっただろうか。みんなは将来のパートナーを想像するとき、どんなイメージを持つのだろう? -- 20代を経て、人と人との関係性ってゆるやかに、でも着実に変化していくものだなぁと思う。 この人とはずっと仲良く出来そう、と思っていた人と意外と距離ができてしまったり、疎遠になってしまったなと思っても、またゆるやかに距離感が

          最近の、よしなしごとを 11/26(互いのゆるやかな変化を受け入れる)