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日々

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人って日々感じていることが本当に様々。 だからこそ、他人の考え方に感心したり 共感できれば少し嬉しくなったり。
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#新社会人

8時、バスの車窓から

8時、バスの車窓から

その日の朝もバスで最寄り駅に向かった。満員の車内。身動きも取り辛く、ただ、車窓から外の景色を眺めることしかできなかった。

そのとき目に映った、自転車を漕ぐ女性。いわゆるママチャリで、前にはお子さんを乗せていた。

「お子さんを園に送っているのかな?」

「旦那さんに忘れ物を届けにいっているのかな?」

自転車を漕ぐ女性の姿は必死そのものだった。

気がつくと、バスはあっという間に女性を追い越して

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おばあちゃんが亡くなってから、半年。そして、おじいちゃんは、

おばあちゃんが亡くなってから、半年。そして、おじいちゃんは、

おばあちゃんとおじいちゃんは自宅で洋服直し屋を営んでいた。

色んな人たちから頼まれていた。私の記憶だと、よく学生服を直していた。若い頃は日付が変わるまで働くこともあったらしい。

おばあちゃんとおじいちゃん。24時間、365日、毎日毎日一緒に働いて、それを何十年も続けていた。

今になって冷静に考えてみると、凄いことなんだと思う。

もちろん、時には喧嘩もしていたらしい。

「時にはって...」

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心臓を捧げます。

心臓を捧げます。

最近の土日休みといえば、ベッドの上でアニメ版『進撃の巨人』を観ていることが多い。

というのも、大学の卒業を控えた3月の春休みに、ゼミの友人から「今、一番アツいのは『進撃の巨人』だよ!」とゴリ推しされたのだ。

どちらかというと私はスポーツ漫画の方が好きで、最近だと『ハイキュー!!』を最終巻まで読み切った。古舘先生が選ぶセリフや言葉はどれも胸に刺さり、何度も何度も涙した。いつか、私も古舘先生のよう

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住吉町で、乾杯

住吉町で、乾杯

社会人が始まって、はや2週間。どんなに嫌な今日でも、どれだけ辛い明日でも、気づけば「昨日」になっている。

ゆっくり深呼吸をし、世界を俯瞰して見てみると、その瞬間だけ、この世界を理解できている気がする。全能を手にしたかのように。

そんなに大袈裟なものではないか。少しの間、未知の世界を冒険する、2時間アニメの主人公のような、得した気分というのが正しいかもしれない。

スーッと冷たい風が吹くと、私は

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22歳の【I Love Youの訳し方】

22歳の【I Love Youの訳し方】

「お願い。あと、もう一杯だけ」

少しでも長く、あなたと一緒にいたい。

だから、伝えたい。

「もう少し、一緒にいたいんだけどな」と。

でも、何故か、その一文を言葉にできない。

歳をとって、図体ばかりでかくなって

なのに、肝っ玉はいつまでたっても小さいままだ。

「しっかりしろよ自分。やればできるだろ」と喝を入れても

それは、虚しい心の声。アイスクリームが溶けるように胸の熱さで消えてゆく

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