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じょーじ
2024年6月25日 08:35
「あ〜、これはビジネスとしてはダメだねぇ〜」その言葉に、目の前が真っ白になった。「いや、あくまで、、、」社長さんは続けるが、そのあとの言葉が入ってこない。てっぺいもあんぐり口をあけている。「今日はもうやめとこっか」ニコニコしながら社長が言った。僕はハッとして、「あ、すみません、、、 あの、、、」「いや、わかるよ。 ごめんね、キツイこと言って。 おっちゃんに本気でやれっ
2024年6月24日 09:41
朝、7時に目が覚めた日は、散歩に出ることにした。我が家の朝は遅い。自慢じゃないけど遅い。子育てが始まってから、仕事がないにも関わらず、自分一人で静かにする時間は少なくなっていた。当然だ。でも、静かにする時間は僕にとって必要だった。放っておいたらカラカラと回り出してしまう頭を、空っぽにする時間だからだ。何も考えずに「ただ生きる」ということを、僕は妻から教わった。もちろんな
2024年6月22日 10:51
さっそくロードマップをおっちゃんに見せる。おっちゃんはじっくり見た後、ニヤリと笑って「あとは社長と話せや」と、言った。3人で猪肉を食べて解散した。次の日、河川敷にあの3人が遊びにきていた。宇宙の映像を夜まで眺めていたあの3人だ。町工場に派遣されて3ヶ月ほどが経っていた。数学女子のセナ、パソコンオタクのハマ、日焼け坊主のヤヘイである。昨日に引き続き、河川敷は宴会である。と
2024年6月21日 15:43
二つ目の砂場に着手しはじめた。うちの近くにある公園は、高低の2箇所に分かれる。低いところにあるメインの大きい公園と、僕ら家族が拠点にしている高台にある公園だ。その二つの間に森がある。その森を降ってもう一つの公園を通り、僕らはいつも児童館に行く。その低いところのメイン公園の砂場も、綺麗にすることにした。しかし、骨が折れた。行くのに山を降らなければならないからだ。上
2024年6月20日 10:03
河川敷に着くと、目一杯に紙を広げて、てっぺいが何かを描いていた。牧場で描いていた地図に熱心に書き込んでいるようだった。それが読めない文字なのか、絵なのか、僕にはわからない。でもとにかく思いつくままに書き殴っている。出てくるアイデアに手が止まらないという感じだ。おっちゃんは微笑みながら、その横を通って家に入っていった。僕はてっぺいをずっと見ていた。一時間が経つ。てっぺいはまだ
2024年6月19日 12:08
僕はとにかく、高い山を作ることにした。砂場もすっかり綺麗になって、娘も砂場に飽きてきて、何をしようかと悩んだ末に、でっかい山を作ると決めた。とにかく砂を集めていく。100均で買ったスコップを僕が、冷凍庫で氷を掬う用のスコップを娘が持って、そのプロジェクトは動き出した。これには理由があるんだ。前の梅雨明けに学んだが、砂場は放っておくとどんどん草が生えてくる。雑草の、根っこも種も根
2024年6月18日 07:52
その牧場はハイテクだった。一見、家族経営の小さな牧場に見えたそこには、たくさんの科学技術と哲学が詰まっていた。そこは完全に自給自足になっていたのだ。電気、ガスなどのエネルギーも、だ。ここは本当に日本なのか?僕が学んだ限りでは、日本の食料自給率は世界でも最低水準で、エネルギーに関してはことさらに低いはずだ。それがここでは、、、BBQの後、牧場の全貌を見せてもらった。牧場は思って
2024年6月17日 18:00
公園に"救い"の手が入った。行政だ。公園のボーボーに伸びていた雑草を一気に刈ってくれたのだ。電動の機械で。僕が手動でやった草刈りはなんだったんだと思うけど、まあそれはいい。今がいいならそれでいい。それによって公園がすごく綺麗になった。なるほど、清潔感って大切なんだな。これで「虫がいるからあの公園いきたくない!」って言ってた子どもたちも公園に来てくれるだろう。どうやら僕は公
2024年6月16日 22:49
中学が始まるまでの春休み、僕らは毎日おっちゃんのとこにいた。朝から晩までだ。あれからママがとやかく言うことはなくなった。まだパパとは話せていないけど。おっちゃんはそのことについて、何か聞いてくることはなかった。その日、おっちゃんのナワバリの広さに、さらに驚くこととなった。朝、おっちゃんが「肉が食べたい」とつぶやいたかと思うと、農具を置いて歩き出した。僕らも声をかけられて、おっ
2024年6月14日 08:39
砂場の草はなくならない。だいぶ減ったかと思ったら梅雨に入り、梅雨が明けたらまた生えていた。しかもけっこうしっかりしたやつ。悔しさに混じって、まだ続けられるという安心があることに、僕は驚いた。そろそろ暑くなってきた。夏になったらどうなってしまうのか。まだ草を抜いているのだろうか。終わりの見えない草抜きを、終わりが来るまで続けていく。そのうち何かが見えるはず。そんな時、妻が
2024年6月13日 07:09
「お前は何をしてるんだ」第一声がそれだった。グッと胸が苦しくなる。「この大事な時期に遊びまわって、 中学受験もせず、母親にもそんな態度で、、、」相変わらずこっちの話は聞かない。ろくに家にいないくせに。「僕は公立中学に行きます。 私立受験はしません。まあもう間に合わないけど」カッとなって立ち上がった。前と同じだ。同じじゃダメだ、と思って言葉を絞り出した。「あのさ! 僕
2024年6月12日 07:55
天邪鬼で多動症で注意散漫の僕は、おそらく苦労した人生だった。なにかしなければいけないことがあるときは、なるべく自分を騙して、これは別に大事じゃないと思った方がやれるのだ。なるべく「べき思考」のプレッシャーを減らさなければ、僕は苦しくなってしまう。小学校の時はずっと授業中に小さい声で歌ってたし、中学の数学のケアレスミスは止まらなかったし、高校で受験勉強中、両足で貧乏ゆすりをして、
2024年6月11日 21:35
てっぺいは「教室ビジネス」を急速に発展し始めた。家庭教師が教えてくれたことがある。「良いビジネスモデルは売れる」僕はこのとき、この言葉を理解した。てっぺいはクラスに弟子を作り始めたのだ。「えんぴつけずり」「消しごむハンコ」の注文は増え続けていた。そして自分でもできるんじゃないか、という男たちも出てきていた。それを見て、「教えてやろうか」と声をかけていったのだ。そして注文をそ
2024年6月11日 10:11
日曜の夜、僕にパパとの交渉の場が設けられた。毎日あった家庭教師を半分に減らしたい。できるだけあの河川敷のブルーシートの家で、てっぺいとおっちゃんと過ごしたい。そして門限を6時に設定し、余計な心配をされるリスクを減らしたい。だから、まずてっぺいの話をしてその次、、、「ダメだ」は?なにも言っていない内に放たれたパパの一言目がそれだった。あまりの強引さにイラついた。用意してただけに狼狽