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「天才とホームレス」 第8話

さっそくロードマップをおっちゃんに見せる。

おっちゃんはじっくり見た後、ニヤリと笑って
「あとは社長と話せや」
と、言った。

3人で猪肉を食べて解散した。

次の日、河川敷にあの3人が遊びにきていた。
宇宙の映像を夜まで眺めていたあの3人だ。
町工場に派遣されて3ヶ月ほどが経っていた。
数学女子のセナ、パソコンオタクのハマ、日焼け坊主のヤヘイである。

昨日に引き続き、河川敷は宴会である。
とはいえ、直々おっちゃんと話しに来ていたらしい。
おっちゃんも町工場に顔を出しているらしい。
まあ、当然か。

僕らは久しぶりに話す。
会うのは二度目だが、3人とも本当に普通でないことがはっきりわかる。
高校でも習わない科学の話を平然としているのだ。
ジャイロ、加速度、基盤なんて言葉がスラスラと出てくる。
僕はさすがにまったくわからない。
てっぺいはまたもや目を輝かせている。

3人は大きな荷物を持ってきていた。
なんとそれはセグウェイだった。

「セ、セグウェイ!?」
と言うと、
「あ、セグウェイは商品名だから自動自律二輪車と呼ぶべきかな?まぁパーソナルモビリティとも呼ばれるね」
と早口でハマ。天才ぽい。

それを自作したという。
基盤剥き出しのそれはめちゃくちゃかっこいい。

「おっちゃん、さらに僕らが開発したのはね」
そう言って取り出してきたのはただの木の板だった。
「着脱式セグウェイ化装置なんだ」
??
まったくわからない。でもセグウェイって呼んでるじゃないか、、、
ハマもドヤ顔だからツッコまないであげた。

そして木の板に続いて基盤のついた車輪を出してきた。
「これはね、、、」
そう言って木の板に取り付ける。
そしてリモコンを取り出してスイッチを入れると、
「うお!! これはすごい!!」
と、珍しくおっちゃんが大きな声を出した。

その木の板がセグウェイみたいに自分で立っているのだ。
それがどのくらいすごいことか、僕はすぐにはわからなかったけど、おっちゃんの興奮ぐあいからすると相当すごい。
「このリモコンにジャイロと回転角度のセンサーがついていて、胸ポケットに入れて倒れると、、、」
ウィィィンと動き出す木の板。
「おおー!なるほどなぁ!
 これなら荷物とかにも取り付けて、持ち主の傾きで動き出すわけか!
 そしたら荷物を犬みたいに連れて歩けるっちゅうわけや!
 こらすごいで!!」
「さすが、おっちゃん!話が早い!」
嬉しそうなヤヘイ。

とにかく発明したらしい。
やっぱりこの3人はすごいんだな。

「さて、これをどうビジネスにするかやな、、、」
そうおっちゃんが呟いた時、
なぜか僕はドキッとした。

いよいよ僕らのビジネスを、
あの牧場の社長さんにプレゼンしなければならない。



一話はこちら!


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