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『公園物語』 その4

公園に"救い"の手が入った。

行政だ。

公園のボーボーに伸びていた雑草を一気に刈ってくれたのだ。
電動の機械で。
僕が手動でやった草刈りはなんだったんだと思うけど、まあそれはいい。
今がいいならそれでいい。

それによって公園がすごく綺麗になった。
なるほど、清潔感って大切なんだな。

これで「虫がいるからあの公園いきたくない!」って言ってた子どもたちも公園に来てくれるだろう。
どうやら僕は公園に人が来て欲しいらしい。
なぜだろう。

砂場で遊ぶ娘の隣で草を抜きながら考える。
行政も砂場の草まではやってくれなかったのだ。
むしろ刈った草が砂場の上に落ちてて、砂場は逆に汚くなった。

どうして人が来て欲しいんだろう。

公園に子どもたちが増える。
仲良くなる。
楽しい。

知り合いが増える。
会話が増える。
楽しい。

ダメだ。楽しいにしか結論がいかない。
これは保留だな。

草抜きはいい。
目の前にやることがある。
だからこそ頭が空っぽになる。
空っぽになった頭はよく回る。

「金銀は私にはない。
 私にあるものをあげよう」
こんな言葉が浮かんできた。
そうだ。僕にあるものをあげよう。

「文化を作る」
そんな言葉が浮かんだ。
そうだ。自分あるものをあげる。
そんな文化が作れれば。
きっと僕らは幸せなんじゃないか。

目に見えないけど確かに残る。
そんな文化が作れれば、ここから生まれていけば、
そんなのっていいなぁ。

なんてことを考えていると、あの小4女子たちが遊びにきた。
遠くから僕の名を叫ぶ。
もちろん呼び捨て。

「一緒にあそぼー!」
この遠慮のなさが嬉しい。
友達になるのが驚くほど早く、滑らかで、自然だ。

子どもは友達になる天才なんだ。
と、僕の好きな漫画の嫌いなキャラが言っていたことが、よく理解できた。

夕暮れまで彼女たちと遊んだ。
娘とも遊んでくれるからありがたい。
ブランコをしたり、砂場でままごとをしたり。

彼女たちは来るたびに新しい子を連れてきた。
友達の友達は友達で、僕とも友達になってくれた。

世界が徐々に広がっていく。

そろそろ砂場の草がなくなってきた。
秘密基地に移れるフェーズに入っているのかもしれない。

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