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ともみの部屋 #2

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伊佐知美の、世界一周の旅とエッセイ。2016年10月〜
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#ともみの部屋

旅が、一体何の役に立つというんだろう?【9月、アラサーフリーランス2名・ベルリン2人旅へ】

旅が、一体何の役に立つというんだろう?【9月、アラサーフリーランス2名・ベルリン2人旅へ】

旅が何の役に立つのか、とずっと考えていたのだけれど、どうやら答えはないみたいだ。というのが現時点での結論。

でも、よく考えたら人生の大体の経験において、「意味」とかあるのか、という気持ちもある。もし人生に限りがあるのだとしたら。否、これだけは真実で、「限りはある」のだから。

私はできたら、より心地いい方に進みたい。と思って、これまで旅を続けてきた。私にとって、世界を気ままに移動して、より多くの

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桜、ひらひら季節を変えて。つい「私も」と想うから

桜、ひらひら季節を変えて。つい「私も」と想うから

今までの暮らしが、解体されて、音を立てずにバラバラと崩れてゆく。ううん、崩れたんじゃない、崩したんだし、それは長らく私が思い描いてきた綺麗な未来のはじまりだった。

心は澄んで、そう、映画を観ているのに、途中からどうしてか音が聞こえなくなって、映像だけがただ淡々と流れていくような感覚で。スローモーション。

目の前の出来事たちを動かしながら、静かな胸で待つ。積み上げてゆく準備。

桜、ひらひら。

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【独立します】フリーランスになりました!今後やお仕事募集について

【独立します】フリーランスになりました!今後やお仕事募集について

今日は、お知らせがあってnoteを書き始めました。

2019年4月1日から、これまで勤めていた会社を退職し、フリーランスになりました! 

この話です。そして、今読んでいただいている記事が「詳細note」です。本当は、かっこよく、スッキリ短く「え、これだけ…!?(伊佐さん、退職して変わったね…!)」と思ってもらえるくらいの分量で書きたいと思っていました。でも、会社を辞める、辞めないの話、これ

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「旅をしない私に、価値はないんじゃないか」と思ってしまっていた

久しぶりに、本当に正直にnoteを書きたいと思う。突然だけど、「旅をしない私に、価値はないんじゃないか」と考える瞬間が、増えてしまった時期を過ごしていました。びっくりした。でもそう思えてしまって。

もともと何も持っていなくて、ライターになりたくて、出版社に潜り込んで、けど夢は叶わなくて。副業で1本500円のライターを始めたのが2014年2月。

月に100本書く時期が少しだけあって、報酬を半年で

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旅に出ると決めた心が、次の舞台に連れて行ってくれること【日本→タイ→スリランカ】

旅に出ると決めた心が、次の舞台に連れて行ってくれること【日本→タイ→スリランカ】

長くながく、私はずっと迷っていて、踏ん切りがつかなくて、迷路みたいな小さな道を歩いていた。ううん、迷路なんかじゃなかった。それはいくつか分かれ道が時折あるだけで、そしてその道がしばらく今後、交わらないように見えているだけで。

ううん、きっとどの道を選んでも「同じような場所にたどり着くのが人生」だろうとは知っていた。けれど「すぐ先の未来の変化」がどうしてだかすごく怖くて、それをこの数年愛していたは

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春は出会いと別れの季節。旅人シェアハウス「えいとびたー」解散します!

春は出会いと別れの季節。旅人シェアハウス「えいとびたー」解散します!

こんにちは、インドの南に浮かぶ島国・スリランカ旅、真っ最中の伊佐です。このnoteを書こう、とパソコンを開いた時は、コロンボという街の「03」というエリアの、ギャラリー併設のカフェのテラス席。目の前には太い幹の大きな木が生えていて、その枝を海沿いの風が撫ぜて、そしてリスが歩いている(今気づいたんだけど、アイキャッチのテンションと文章の温度感が違う、気にしないでください、私、こういう感じなのです笑)

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「書き続ける私」を作ってくれたのは、noteだった #noteでよかったこと

「書き続ける私」を作ってくれたのは、noteだった #noteでよかったこと

「ブログをやりたいんだけれど、何のサービスを使ったらいいかなぁ?」と、相談していただくことが、極端に増えた。年が明けて、2月が来れば、ライター歴は6年目に入る。当たり前かもしれない。いつのまにか駆け出しの時期を通り過ぎて、立派な中堅みたいな数字になってきた。驚く(それはもう本当に、心底)。

答えは、いつも一択だった。「世の中にはたくさん『書ける場所』があるから、書いていて一番心地よい場所を見つけ

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夏と冬と春と秋と、めぐる季節の最後に逢えてよかった。また来年

夏と冬と春と秋と、めぐる季節の最後に逢えてよかった。また来年

ひらひら、雪が舞うのを久しぶりにこの目で見た。北海道、福島、新潟。この12月は北国ばっかりだ。

夏を愛している、愛していると思っていた。よく晴れた、気持ちの良い突き抜けるような空と海の景色が大好きだった。海沿いで暮らしたことが、まだないからかもしれない。だからこんなにも、憧れてしまうのかもしれないなぁって。

けれど「降り積もる雪も美しいな」と、結構本気で思えるようになったのが今年だった。大人に

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師走とは、また新しい年を美しく迎えるための、まるで優しい準備のようだ

師走とは、また新しい年を美しく迎えるための、まるで優しい準備のようだ

ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきたのだ。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。――その音にさそわれて僕はギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。(村上春樹『遠い太鼓』より)

遠くで、時間の流れ出す音がした。さらり、砂がこぼれ落ちて、もう止まらなくなってしまうような。一度はきちんと涙で固めたのに、時間が経つというのは恐ろしいことね。

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足裏が地面に数センチ近づいたら、旅が始まる合図【日本・東京→モロッコ🇲🇦】

足裏が地面に数センチ近づいたら、旅が始まる合図【日本・東京→モロッコ🇲🇦】

地面に数センチ近づくと、「旅が始まるのだな」と感じ始める。東京にいると、どうしてもヒールの靴を履いてしまう。それはきっと、まだ背伸びをしたいから。見栄を張って、強がって、それでも私はこの街で生きていくのだと、大勢の中に、混ざってどこか安心をしたいから。

「ヒールの高さだけ、違う世界が見える」みたいなことを、昔誰かから聞いた。数センチ高い距離から見るネオン、階段との距離感、あなたとの顔が近づく、そ

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雨上がりの静けさ、響く夜、連休のおしまい【日本・東京】

雨上がりの静けさ、響く夜、連休のおしまい【日本・東京】

久しぶりに、しんと静まりかえった夜。どこか安心する、小さな耳鳴り。「うるさいくらいの静寂」は、「頭痛が痛い」とは少し違って、日本語として成り立っているように私は想う。静けさや寂しさは、時折音を鳴らしながら私の横を通っていく。

走って走って、どこへ行くのか。何度目かの夏はまた指をすり抜けて、花火をもう一度楽しみたかったのに、秋の風を連れてくる。「順番」は、時に意地悪で、けれどずっと守られるものであ

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【完結しました】伊佐知美の「旅×仕事」のフォトエッセイ『#旅と生きる美しさを 』

【完結しました】伊佐知美の「旅×仕事」のフォトエッセイ『#旅と生きる美しさを 』

このnoteは、2018年5月に「先に目次だけを公開して」有料noteの販売を開始しました。その後、目次に沿って内容を執筆し、有料noteの有料範囲にて都度更新。2019年4月、完結しました。現在「はじまり」部分のみ無料で公開しています。全部で80,000字、写真200枚超のフォトエッセイです。

** 以下本編 **

■はじまり「旅をしながら世界中で仕事をする」

神奈川県川崎市の、いわゆる普

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夏の風秋に近づくこと、お願いもう少しだけ認めさせないでいて【日本・東京→新潟】

夏の風秋に近づくこと、お願いもう少しだけ認めさせないでいて【日本・東京→新潟】

この夏は、いつもより「夏をしていた」気がする。ただそれは、海に足をつけたり花火を見たり、浴衣を着たりしたことだけが理由ではなさそうだった。

今年の夏は、例年よりもずっと暑かった。地球全体で、そう言っていたような。

夜眠る前に冷房を消したのに、やっぱり蒸し暑くて夜中にどちらかが起きて、「ぴっ」と音をさせたこと。扇風機を回すのか、除湿にするのかで少しだけ逡巡したこと。午前中に家の近くのカフェに行く

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時折、すべては嘘なんじゃないかと思う|島本理生『夏の裁断』

時折、すべては嘘なんじゃないかと思う|島本理生『夏の裁断』

時折、すべては嘘なんじゃないか、と思うことがある。嘘、というのが言い過ぎたのなら、本当は求めていない極めて薄っぺらい雲の上に、空想と妄想と願望が抱かせた國に、少しだけ生きたこと。

まともに生きる、という普遍が今の世の中になさそうなことには、私以外のひとも気がついているだろう。であれば「私のしあわせ」を探し定義してゆくしかないのだが、果たしてそれは薄氷に喜劇を積み重ねるようなものであっていいのだっ

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